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三夜目、チャプター選択画面 Chap:ベッド①★
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グズグズにされた私の身体は、脱衣所からベッドまでの十数歩でさえ歩けそうになかった。
へにゃりと床に座り込んだ私を、腰にバスタオルを巻いただけの姿で彼が抱き上げる。
全裸の私と彼の鍛えられた身体が密着する。それだけでも眩暈がしそうになった。
華奢とは言えない私の身体を、お姫様抱っこで寝室に難なく運ぶ彼の横顔を見上げる。
前髪から水滴がポタリと落ちて、彼の唇にかかった。
おいしそう。
私の喉はカラカラだった。
だから早く彼の唇で潤して欲しかった。
「はい、到着♡」
ベッドに優しく降ろされる。
そのまま彼の唇が近付いてきて、額にキスを落とされた。
「寒くない?エアコンの温度上げようか?」
そんな気遣いが出来るなら、早く私の熱を冷まして欲しかった。
プルプルと微かに首を横に振り、私を組み敷く彼を見つめる。
「どーしたの?ちゃんと言ってくれなきゃ分からないよ?」
絶対に嘘だ。
彼は私の欲求を正確に把握しているはずだ。
彼の口付けにどうしようもなく焦がれている私に気付いているはずだ。
その証拠に先程から、やけにニヤニヤしているではないか。
そうまでして私に懇願させたいと言うのか。
絶対に、絶対に、篭絡してやるもんか!
「!?…ぶくくく!…っハハハハ!!希帆さん、何でそんなに膨れてるの?」
フンっ!と怒気荒く鼻息を吐き出しながら、両頬を精一杯膨らませた私に彼が破顔した。
そのパンパンになった頬を指でツンツンと突きながら、本当に愉快そうに笑っている。
「べ・つ・に!!!」
イーッ!と顔をしかめて再び鼻息を吐き出すと、先ほどまで彼の腰元に巻かれていた枕元のバスタオルを、手繰り寄せてボフッと頭から被る。
べ、別に、彼の残り香を嗅ぐためじゃないんだから!
でも、ちょっと嗅いでやろ。クンカクンカ…。
イケメンの残り香はシトラスの香りぃ~~~!!!ひゅぅっ!!
「ぶくくく…希帆さん、かくれんぼでもしたいの?」
「知らなーい!」
「もしかして拗ねちゃった?」
「知らなーい!!」
「ねぇ、希帆さん…」
「知・ら・な・い!!」
えぇ、えぇ。
私は盛大に拗ね散らかしておりますことよ。
最近の若者は年上を敬うと言うことを知りませんのね。
だからこんな風に揶揄ったりしてくるのよ。
良いもん、良いもん。
そんなにキスしたくないなら私の顔面なんて隠してやるんだから。
良いもん、キスなんて、別に。
して欲しくないもん。
「ごめん、ごめん。仲直りしよう?出てきて、希帆さん」
「知らないってば」
「も~。ずっと知らないって言い続けるつもり?」
「知らなーーーい!!!!」
「…そう。じゃあ、今から俺がする事も知らないって事だね?」
「知らな~………い?」
普段より低い声音で彼に尋ねられる。
それに気付く前に勢いづいて「知らない」と言いかけて、語尾が異様に上がってしまう。
「じゃあ、勝手にするね♡」
そう宣言すると同時に、彼は私の身体を反転させた。
簡単に俯せにさせられ、慌てた私は自分で巻きつけたバスタオルを上手に剝がせない。
「背中を流しているときにさ、気になってたんだよね、ここのホクロ♡」
何が起きているのか理解出来ないままの私の背中に、滑った感触がベロンッと伝う。
肩甲骨と脇の境目辺りを執拗に嬲られて、背中にビリリリと電流が走る。
「希帆さんって、エッチな場所にホクロがあるよね。知ってた?ここにもホクロあるんだよ」
ねろん、ねろんっと舐め上げるのは止めずに、今度は臀部と腰元の境目をゾロリと撫で上げる。
「…っ…んっ…」
自分で蒔いた種と言えど、バスタオルで視界を覆われていた私は、彼の動きが読めず、突然与えられる刺激に必要以上に身体を震えさせてしまう。
「それからこっちにも、ここにも…。あぁ、足の方にもあったなぁ…」
彼は私の背筋に爪先を走らせながら、お尻を丸く撫で、お尻と太ももの付け根を甘噛みして、そのまま膝裏まで濡れた舌を、ねろぉーっと這わせてくる。
視界が塞がれている分、肌が敏感になっているのか、彼の行動一つ一つに全身が総毛だつ。
「流石にここにホクロがあるのは知ってるよね?」
びちゅ、びちゅ、とわざとらしい音を立てながら、膝裏を舐めまわす彼。
右手は臀部をいやらしく揉んでいる。
「ぅあっ…ふ…あんっ……ぅうっ…」
「あぁ、そっか。希帆さんは何も『知らない』んだったね♡」
「…っ…ふぁぁあ…っ…」
「それじゃあ、お尻のホクロの場所も教えてあげるね♡」
「!?…ゃだぁっ…!」
「よいしょっと、ちょっと膝立ててね♡お尻のホクロはぁ、ここだよぉ♡」
腰元を持ち上げられ、お尻を突き出す姿勢を作られる。
そのまま、彼の舌が臀裂に押し当てられた。
ぞりゅんっと、そこをひとなめされると、全身の熱が全て下肢に集中する。
「あぁぁぁっ…ゃあぁっ…」
「ほんと、ホクロの場所もエッロいなぁ希帆さんは」
ぴちゃぴちゃと、蜜口に近い場所を入念に舐めながら、彼は、はぁ、と感嘆の息をつく。
「もうやだぁ…そんなとこ…やだぁぁぁ」
「あれ、希帆さん、知らないんじゃなかったの?」
「知らなくない!もう知らないって言わない!!ごめんなさいっ」
太ももを抱え込まれて体勢を崩すことが許されない私は、その恥ずかしい行為を早くやめさせたくて、必死に謝罪の言葉を並べる。
「もうしません!ごめんなさい!!だからやめてください!!!お願いします!!!!!」
いまだにバスタオルを被ったままの私は、まさに『頭隠して尻隠さず』状態で間抜けだが、悠長なことは言ってられない。即刻彼にお尻の割れ目を舐めるのをやめてもらわねば!
年下の美青年に何をさせてるんだ、ポルノ法違反だ!!と世論に責められても仕方ない。
「ハハハ!この状態で謝られると、お尻ペンペンしたくなるね♡」
彼の言葉にゾワリ、と気色ばむ。
お尻を叩かれる…。この綺麗なオスに、お尻を…。
言いようのない渇望が頭を埋め尽くす。
「…な~んて、冗談♡ごめんね?恥ずかしい事して」
「…っ……ん…」
固定されていた体勢を解かれ、安堵よりも喪失感に包まれてしまう。
…ちょっとだけ、残念。
……いや、ちょっとじゃなくて、すごく、残念…?
なんだよ、残念て。
お尻ペンペンなんて嫌じゃん!叩かれなくて良かったじゃん!!
アカン、私の脳内が何かに侵され始めてる…アカーーン!!
自分の心に芽生えた危ない思想を必死で打ち消すために悶々としていると、突き出したままの臀部にそっと手のひらを当てられる。
ゾワリ、と背中を仰け反らせるやいなやパシンッと乾いた音が響く。
「っ…ひんっ……」
ヒリヒリとした痛みの後を追って、ジュクジュクとしたむず痒さが下肢を取り巻いた。
「ごめん、ごめん♡我慢出来なくてお尻ペンペンしちゃった♡あ、でも、一回だけしか叩いてないから、ペンペンって言わない?」
そう言いながら叩いた箇所を撫で回されると、思わず腰が揺れてしまう。
「…お尻叩かれて感じちゃったの?希帆さん♡」
屈辱的だった。
けれど、それと同時に扇情的でもあった。
ヘナヘナと腰を落とし、ベッドに蹲まる。
丸めた背中に、彼の唇が降ってきた。
ちゅっ、ちゅっ、と一つ一つ丁寧に口付けられていく。まるで、先ほどの行為に耐えた私にご褒美を与えるように。
「可愛い♡可愛いね、希帆さんは…。良い子だから、機嫌直して?」
宥めるように身体を揺すられ、仰向けに寝かされる。そして、顔に巻き付けたバスタオルを、そっと取り払われた。
蕩けそうに甘い瞳をした美青年が、愛しむように私を見つめている。
どうしよう。泣きそうだ。
「機嫌、直してくれる?」
「…」
「なぁんで泣きそうな顔してるの?お尻痛かった?」
「…痛かった…し、…恥ずかしかった」
「ついつい可愛いお尻を叩きたくなっちゃって♡ごめんね?でも希帆さんが恥ずかしがってるの興奮するんだもん、俺♡」
「…信っじられない………」
「ごめん、ごめん♡お詫びに、めっちゃくちゃ気持ち良くしてあげるね♡」
鼻先にキスを落としてから、彼は私の片足を優しく拓く。
「あ、ここにはアザがあるね。エッロい♡」
じゅくりっ、と太ももの付け根にしゃぶりつかれた。
そのままそこをレルレルと舐めそぼられて、蜜口がひくひくしてしまう。
「トロトロ♡お預けされてからずっと濡らしてたの?」
ずぷっと指を挿し入れてくる彼の吐息が、露になった肉唇にかかって倒錯的な心地がする。
柔らかな粘膜を内側から擦り付ける感触に、僅かに身震いをしてしまう。
指の感触は正直苦手だ。これまで誰の愛撫でも気持ち良く感じたことはない。
乱暴に指を抜き差しされると、喘ぎ声よりどうしても拒絶の声がでてしまうのだ。
「乱暴にはしないよ。気持ち良い事しかしないからね、希帆さん」
身体を強張らせてしまったからか、宥めるように彼が声を掛けて来る。
ゆっくり奥へ入ってきた彼の指は、臍側にその腹を向けられ、膣肉を優しく擦るように時折くんっくんっ、と曲げられた。
次第にその緩やかな刺激に合わせて、蜜壺が収斂を繰り返す。
「ん…っ…ぁっ…」
「痛くない?嫌じゃない?」
嬌声を止められなくてちゃんと答えられない私は、コクコクコクと何度も頷く。
「ん♡どんどん溢れて来るし、ちゃんと気持ち良いみたいだね♡」
満足気な顔をした彼は指を抜き出すと、その濡れそぼった指の腹で、ずっと硬く勃ち上がったままの花芽をくりゅんっと撫で上げた。
「あぁぁぁっ…っ♡」
暴力的な快感が下肢から全身に伝わる。その甘い痺れは脳内まで伝わって白く爆ぜた。
「ハハ…軽く達っちゃった?こっちの方が好きなんだ?」
クニクニと柔らかく刺激を与え続けながら、口角を上げた彼がこちらを覗き込んでくる。
「今日はここ、舐めても良い?最初の時はシャワーしてないからって嫌がったでしょ?」
私の答えを待たずに、彼はそこに頭を埋めてきた。
唇で肉びらごと咥え込まれ、蠢く舌でねっとりと舐め扱かれる。
包皮が剥がれ、肉粒の芯が彼の濡れた舌先で転がされる。
「く…っ…んんっ…あっ…」
じゅちゅちゅちゅちゅ、ちゅぷんっ
その肉芽に軽く歯を立てられたかと思うと、ベッドのシーツの色を変えるほど垂れだした愛液を吸い上げられた。
その咥内に捕らえられたままの芯まで吸い尽くされ、先ほどとは比べ物にならない痺れが走る。
「うぁっ…あ…ぅうあぁぁぁ…っ!」
腰を揺らしながら、ひときわ大きな声を上げてしまう。
「…ごくりっ……あ~ぁ、びっちゃびちゃ♡…ちゅっ…ちゅるっ……希帆さん、気持ちぃね?」
彼は吸い出した蜜を飲み下し、指先を濡らす汁も舐めしゃぶりながら、情欲に燃えた眼をギラリとこちらに向けて来る。
「気持ち…ぃ……気持ちぃ…ぃ…っ」
眦に涙を溜めて、うわ言のように繰り返す。
「俺とのエッチ、気持ちぃね?」
「…っ……んっ♡」
意識が白濁してしまい、声を出すのが億劫で、何度も何度も頷いて見せた。
「だぁめだよ、ちゃんと言って」
突然に、先程まで自分の中に挿れられていた指を突っ込まれ、グニグニと舌をまさぐられる。
口内に広がるムワンとした雌の匂いに酔ってしまった私は、彼が要求している事が理解できなかった。
「この口で、ちゃんと言って?俺のエッチが気持ち良いって」
「あ…ぅ…ぁ…ぁ…♡」
言おうにも私の舌は、彼の太い二本の指に挟まれて自由に動かすことが出来ない。
そんな状況で私の口に出来ることと言えば、ぼたぼたと唾液を垂らして意味をなさない音を発するだけだ。
「言って」
「…んぅ……ぇっ…ちぃ…ひ…もちぃ…ぃぃ…」
「…ん~、誰とのエッチが気持ち良いかが抜けてるね」
「…ひぃぃん……」
舌の根が攣りそうになってしまい、もう降参しますと両手を上げてみる。
彼は「やれやれ」と肩をすぼめて解放してくれた。
無理やり開かされた顎が痛くて、両手を頬に添わせてしばらく苦悶する。
自分の口元が涎で汚れているのに気づき、ベッドボードのティッシュを取ろうと身体をひねった。
「ん?あぁ、良いよ希帆さん。俺が綺麗にしてあげるから」
彼に素早く肩口を掴まれ、垂れた涎を彼の舌で拭い取られる。
耳裏まで丹念に清められ、ついでに耳孔に硬くした舌先を突っ込まれた。
「ひゅぁっ…ぁあっ…」
にゅぐっ、じゅぼぁっ、にゅぐぐっ
その淫猥な水音が直接耳に響いて、狭い耳孔を尖った舌先で抉られる度に感じ入ってしまって、胴震いが止まらない。
じゅっ、ちゅぅぅぅぅぅ
仕上げに耳殻を吸い上げられて、強烈な刺激に眩暈を起こす。
「はい、綺麗になったね♡」
これだけ淫らな行為を散々しておきながら、清らかな顔で微笑みかけてくる彼は凶悪だ。
本当に、本当に、ほんとぉぉぉぉぉに、顔が良い。
私の思考は汚れきっていて、彼の唇が私の唇に重なる事しか考えられなくなっていた。
「…キス、して」
先ほど篭絡しないと固く決めたのに、彼に絆された決意は粉々に砕け散ってしまった。
もじもじと彼に要求すると、それはすぐに与えられた。
「うん?キス、ね。はい、どうぞ♡」
しかし、啄むようなそれは、私の望む『キス』ではなかった。
ちゅいっ、ちゅいっ、と何度も唇に唇を重ねるだけのキスをされる。
余りの仕打ちに愕然としてしまった。
「…違うっ!キス、ちゃんとしたの、して欲し…」
こんなに願っているのに、どうして叶えてくれないのか。
彼なら私が欲するものは分かっているはずだし、与えてくれるはずだ。
理不尽な怒りがこみ上げ、私を組み敷く彼の胸板をパシパシと叩く。
「ちゃんとしたの、って、どんなキス?希帆さん、教えて…?」
つい今しがた蹂躙したばかりの耳に、重低音を甘く浴びせる彼は悪魔の化身だろうか。
「俺、わかんない。希帆さんが欲しい『キス』が。一昨日まで童貞だったもん♡」
『もん♡』ってなんだこの野郎ぅ!!
顔が良いからって何しても許されると思うなよ!!!!
私は理不尽な怒りが込み上げてきて、目前の魔王に挑むような目を向けたのだった。
へにゃりと床に座り込んだ私を、腰にバスタオルを巻いただけの姿で彼が抱き上げる。
全裸の私と彼の鍛えられた身体が密着する。それだけでも眩暈がしそうになった。
華奢とは言えない私の身体を、お姫様抱っこで寝室に難なく運ぶ彼の横顔を見上げる。
前髪から水滴がポタリと落ちて、彼の唇にかかった。
おいしそう。
私の喉はカラカラだった。
だから早く彼の唇で潤して欲しかった。
「はい、到着♡」
ベッドに優しく降ろされる。
そのまま彼の唇が近付いてきて、額にキスを落とされた。
「寒くない?エアコンの温度上げようか?」
そんな気遣いが出来るなら、早く私の熱を冷まして欲しかった。
プルプルと微かに首を横に振り、私を組み敷く彼を見つめる。
「どーしたの?ちゃんと言ってくれなきゃ分からないよ?」
絶対に嘘だ。
彼は私の欲求を正確に把握しているはずだ。
彼の口付けにどうしようもなく焦がれている私に気付いているはずだ。
その証拠に先程から、やけにニヤニヤしているではないか。
そうまでして私に懇願させたいと言うのか。
絶対に、絶対に、篭絡してやるもんか!
「!?…ぶくくく!…っハハハハ!!希帆さん、何でそんなに膨れてるの?」
フンっ!と怒気荒く鼻息を吐き出しながら、両頬を精一杯膨らませた私に彼が破顔した。
そのパンパンになった頬を指でツンツンと突きながら、本当に愉快そうに笑っている。
「べ・つ・に!!!」
イーッ!と顔をしかめて再び鼻息を吐き出すと、先ほどまで彼の腰元に巻かれていた枕元のバスタオルを、手繰り寄せてボフッと頭から被る。
べ、別に、彼の残り香を嗅ぐためじゃないんだから!
でも、ちょっと嗅いでやろ。クンカクンカ…。
イケメンの残り香はシトラスの香りぃ~~~!!!ひゅぅっ!!
「ぶくくく…希帆さん、かくれんぼでもしたいの?」
「知らなーい!」
「もしかして拗ねちゃった?」
「知らなーい!!」
「ねぇ、希帆さん…」
「知・ら・な・い!!」
えぇ、えぇ。
私は盛大に拗ね散らかしておりますことよ。
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だからこんな風に揶揄ったりしてくるのよ。
良いもん、良いもん。
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良いもん、キスなんて、別に。
して欲しくないもん。
「ごめん、ごめん。仲直りしよう?出てきて、希帆さん」
「知らないってば」
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簡単に俯せにさせられ、慌てた私は自分で巻きつけたバスタオルを上手に剝がせない。
「背中を流しているときにさ、気になってたんだよね、ここのホクロ♡」
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ねろん、ねろんっと舐め上げるのは止めずに、今度は臀部と腰元の境目をゾロリと撫で上げる。
「…っ…んっ…」
自分で蒔いた種と言えど、バスタオルで視界を覆われていた私は、彼の動きが読めず、突然与えられる刺激に必要以上に身体を震えさせてしまう。
「それからこっちにも、ここにも…。あぁ、足の方にもあったなぁ…」
彼は私の背筋に爪先を走らせながら、お尻を丸く撫で、お尻と太ももの付け根を甘噛みして、そのまま膝裏まで濡れた舌を、ねろぉーっと這わせてくる。
視界が塞がれている分、肌が敏感になっているのか、彼の行動一つ一つに全身が総毛だつ。
「流石にここにホクロがあるのは知ってるよね?」
びちゅ、びちゅ、とわざとらしい音を立てながら、膝裏を舐めまわす彼。
右手は臀部をいやらしく揉んでいる。
「ぅあっ…ふ…あんっ……ぅうっ…」
「あぁ、そっか。希帆さんは何も『知らない』んだったね♡」
「…っ…ふぁぁあ…っ…」
「それじゃあ、お尻のホクロの場所も教えてあげるね♡」
「!?…ゃだぁっ…!」
「よいしょっと、ちょっと膝立ててね♡お尻のホクロはぁ、ここだよぉ♡」
腰元を持ち上げられ、お尻を突き出す姿勢を作られる。
そのまま、彼の舌が臀裂に押し当てられた。
ぞりゅんっと、そこをひとなめされると、全身の熱が全て下肢に集中する。
「あぁぁぁっ…ゃあぁっ…」
「ほんと、ホクロの場所もエッロいなぁ希帆さんは」
ぴちゃぴちゃと、蜜口に近い場所を入念に舐めながら、彼は、はぁ、と感嘆の息をつく。
「もうやだぁ…そんなとこ…やだぁぁぁ」
「あれ、希帆さん、知らないんじゃなかったの?」
「知らなくない!もう知らないって言わない!!ごめんなさいっ」
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「もうしません!ごめんなさい!!だからやめてください!!!お願いします!!!!!」
いまだにバスタオルを被ったままの私は、まさに『頭隠して尻隠さず』状態で間抜けだが、悠長なことは言ってられない。即刻彼にお尻の割れ目を舐めるのをやめてもらわねば!
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「…っ……ん…」
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…ちょっとだけ、残念。
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「っ…ひんっ……」
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「ごめん、ごめん♡我慢出来なくてお尻ペンペンしちゃった♡あ、でも、一回だけしか叩いてないから、ペンペンって言わない?」
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「…信っじられない………」
「ごめん、ごめん♡お詫びに、めっちゃくちゃ気持ち良くしてあげるね♡」
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「あ、ここにはアザがあるね。エッロい♡」
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柔らかな粘膜を内側から擦り付ける感触に、僅かに身震いをしてしまう。
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身体を強張らせてしまったからか、宥めるように彼が声を掛けて来る。
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「痛くない?嫌じゃない?」
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包皮が剥がれ、肉粒の芯が彼の濡れた舌先で転がされる。
「く…っ…んんっ…あっ…」
じゅちゅちゅちゅちゅ、ちゅぷんっ
その肉芽に軽く歯を立てられたかと思うと、ベッドのシーツの色を変えるほど垂れだした愛液を吸い上げられた。
その咥内に捕らえられたままの芯まで吸い尽くされ、先ほどとは比べ物にならない痺れが走る。
「うぁっ…あ…ぅうあぁぁぁ…っ!」
腰を揺らしながら、ひときわ大きな声を上げてしまう。
「…ごくりっ……あ~ぁ、びっちゃびちゃ♡…ちゅっ…ちゅるっ……希帆さん、気持ちぃね?」
彼は吸い出した蜜を飲み下し、指先を濡らす汁も舐めしゃぶりながら、情欲に燃えた眼をギラリとこちらに向けて来る。
「気持ち…ぃ……気持ちぃ…ぃ…っ」
眦に涙を溜めて、うわ言のように繰り返す。
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「…っ……んっ♡」
意識が白濁してしまい、声を出すのが億劫で、何度も何度も頷いて見せた。
「だぁめだよ、ちゃんと言って」
突然に、先程まで自分の中に挿れられていた指を突っ込まれ、グニグニと舌をまさぐられる。
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「言って」
「…んぅ……ぇっ…ちぃ…ひ…もちぃ…ぃぃ…」
「…ん~、誰とのエッチが気持ち良いかが抜けてるね」
「…ひぃぃん……」
舌の根が攣りそうになってしまい、もう降参しますと両手を上げてみる。
彼は「やれやれ」と肩をすぼめて解放してくれた。
無理やり開かされた顎が痛くて、両手を頬に添わせてしばらく苦悶する。
自分の口元が涎で汚れているのに気づき、ベッドボードのティッシュを取ろうと身体をひねった。
「ん?あぁ、良いよ希帆さん。俺が綺麗にしてあげるから」
彼に素早く肩口を掴まれ、垂れた涎を彼の舌で拭い取られる。
耳裏まで丹念に清められ、ついでに耳孔に硬くした舌先を突っ込まれた。
「ひゅぁっ…ぁあっ…」
にゅぐっ、じゅぼぁっ、にゅぐぐっ
その淫猥な水音が直接耳に響いて、狭い耳孔を尖った舌先で抉られる度に感じ入ってしまって、胴震いが止まらない。
じゅっ、ちゅぅぅぅぅぅ
仕上げに耳殻を吸い上げられて、強烈な刺激に眩暈を起こす。
「はい、綺麗になったね♡」
これだけ淫らな行為を散々しておきながら、清らかな顔で微笑みかけてくる彼は凶悪だ。
本当に、本当に、ほんとぉぉぉぉぉに、顔が良い。
私の思考は汚れきっていて、彼の唇が私の唇に重なる事しか考えられなくなっていた。
「…キス、して」
先ほど篭絡しないと固く決めたのに、彼に絆された決意は粉々に砕け散ってしまった。
もじもじと彼に要求すると、それはすぐに与えられた。
「うん?キス、ね。はい、どうぞ♡」
しかし、啄むようなそれは、私の望む『キス』ではなかった。
ちゅいっ、ちゅいっ、と何度も唇に唇を重ねるだけのキスをされる。
余りの仕打ちに愕然としてしまった。
「…違うっ!キス、ちゃんとしたの、して欲し…」
こんなに願っているのに、どうして叶えてくれないのか。
彼なら私が欲するものは分かっているはずだし、与えてくれるはずだ。
理不尽な怒りがこみ上げ、私を組み敷く彼の胸板をパシパシと叩く。
「ちゃんとしたの、って、どんなキス?希帆さん、教えて…?」
つい今しがた蹂躙したばかりの耳に、重低音を甘く浴びせる彼は悪魔の化身だろうか。
「俺、わかんない。希帆さんが欲しい『キス』が。一昨日まで童貞だったもん♡」
『もん♡』ってなんだこの野郎ぅ!!
顔が良いからって何しても許されると思うなよ!!!!
私は理不尽な怒りが込み上げてきて、目前の魔王に挑むような目を向けたのだった。
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