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【第二話①】小説の中の君は劣情を煽る side蒼
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絶対に、絶対に神様に誓う。
最初からそんなつもりで居た訳じゃない。
生理現象と言うもので、本当に仕方がなくて、だって、最近仕事で疲れてご無沙汰だったから。
いや、ご無沙汰と言っても1人でするしかない生活なんだけど…って、いくら脳内の独り言でも酷いな、これ。
僕は深呼吸をして息を整えると、足元に飛び散った白い跡を見つめる。
(蒼森だって、男の僕にオカズにされたなんて知りたくないよね…。しかも休憩中の会社のトイレでなんて…)
トイレットペーパーを引き出しながら、盛大な溜息を吐き出すと、自分で汚した床を拭く。
(どうしてこんな事になっちゃったんだっけ…)
我が社、株式会社ベルフィーユジャパンは女性下着ブランドを主力としている会社だ。
店舗販売やオンライン販売が主力だが、僕たち営業部は様々なアプローチで販売経路を切り拓いている。
部内の仲は一部を除き良好で、今日も昼休憩以外に設けてある午前休で、とある話に花が咲いた。
「なぁ!お前らの抜きのオカズって何?」
部内一のお調子者の日向が突然とんでもない事を言い始める。
皆んなは一瞬目を見張ったけれど、直ぐに数名がその話題に随行する。
「言い出しっぺのお前は何なの?」
「俺は、最近このインスタ見て抜いてる♡」
「静止画で?せめて動画じゃないときついな~、俺」
「あ、そのインスタ知ってる!有名コスプレイヤーのやつだろ?女王様系専門の」
「まぁ、確かにエロいけど、俺は抜けないわ~」
「俺は最近お気に入りの嬢が出来たから日参してるわ♡」
「多田っち爛れてるぅ~!!!!」
異様な盛り上がりを見せる群衆に、吉澤さんが冷たい一瞥を送る。
吉澤さんの友人でもある、営業の弓削さんも苦笑している。
うちの部内は男性が多数を占めていると言えど、女性が全く居ないわけではない。
何故だか自分が罪悪感を持ってしまい、居ても立ってもいられなくなる。
「ちょっと、そう言う話は女性の居ない場所でしなよ」
ついつい注意をしてしまう。
彼らなりのストレス発散なのかもしれないが、それに女性社員を付き合わせる道理はない。
「ごめ~ん、桐谷!気を付ける!!」
「営業部の仏様に言われたら控えるしかないよな」
「最近、俺は桐谷が母親に見えて来たぞ」
「あ、それ俺も思った」
だよな~と再度盛り上がる彼らは男子高校生のノリを捨てきれない残念な大人だ。
だからこそ、気を付けると言った直後に信じられない質問を投下して来る。
「なぁなぁ、すっっごく興味あるんだけど、桐谷のオカズって何?」
思わず口に運んだコーヒーを吹き出してしまう。
それまで話題に一切の興味を示さなかった蒼森が、ガタンと反応した。
「…ゴホゴホ!…っーー、ごめ、蒼森、そっちまで飛んじゃった?」
「い、いや…」
咽せながら蒼森に声をかけると、何故か気まずそうに目を逸らされてしまった。
最近、目が合っても逸らされることが増えた気がする。
(避けられてるのかな…)
「なぁなぁって!教えて!!桐谷は何をオカズにしてんのって!!!!」
肩を揺すぶられて尚も追撃を受けた。
先ほどまで恐ろしく冷淡な目をしていた吉澤さんも、弓削さんも心なしかこちらに生温かい視線を向けている。
「なぁなぁ!桐谷は動画見るの?」
「…そ、ど、動画と、か、恥ずかし…」
「?見たことないの?じゃあ、俺みたいに写真とかで?」
ズイッとスマホの画面を向けられる。
画面には際どい衣装を身につけた八頭身美女の画像が映し出されていた。
「…!その人に断りもなく、あられも無い姿を見るのが嫌なんだ…!!」
絶叫しながら顔を背けると、吉澤さんと目が合ってしまう。
『尊い』と、彼女の口元がそう発したように見えた。
最初からそんなつもりで居た訳じゃない。
生理現象と言うもので、本当に仕方がなくて、だって、最近仕事で疲れてご無沙汰だったから。
いや、ご無沙汰と言っても1人でするしかない生活なんだけど…って、いくら脳内の独り言でも酷いな、これ。
僕は深呼吸をして息を整えると、足元に飛び散った白い跡を見つめる。
(蒼森だって、男の僕にオカズにされたなんて知りたくないよね…。しかも休憩中の会社のトイレでなんて…)
トイレットペーパーを引き出しながら、盛大な溜息を吐き出すと、自分で汚した床を拭く。
(どうしてこんな事になっちゃったんだっけ…)
我が社、株式会社ベルフィーユジャパンは女性下着ブランドを主力としている会社だ。
店舗販売やオンライン販売が主力だが、僕たち営業部は様々なアプローチで販売経路を切り拓いている。
部内の仲は一部を除き良好で、今日も昼休憩以外に設けてある午前休で、とある話に花が咲いた。
「なぁ!お前らの抜きのオカズって何?」
部内一のお調子者の日向が突然とんでもない事を言い始める。
皆んなは一瞬目を見張ったけれど、直ぐに数名がその話題に随行する。
「言い出しっぺのお前は何なの?」
「俺は、最近このインスタ見て抜いてる♡」
「静止画で?せめて動画じゃないときついな~、俺」
「あ、そのインスタ知ってる!有名コスプレイヤーのやつだろ?女王様系専門の」
「まぁ、確かにエロいけど、俺は抜けないわ~」
「俺は最近お気に入りの嬢が出来たから日参してるわ♡」
「多田っち爛れてるぅ~!!!!」
異様な盛り上がりを見せる群衆に、吉澤さんが冷たい一瞥を送る。
吉澤さんの友人でもある、営業の弓削さんも苦笑している。
うちの部内は男性が多数を占めていると言えど、女性が全く居ないわけではない。
何故だか自分が罪悪感を持ってしまい、居ても立ってもいられなくなる。
「ちょっと、そう言う話は女性の居ない場所でしなよ」
ついつい注意をしてしまう。
彼らなりのストレス発散なのかもしれないが、それに女性社員を付き合わせる道理はない。
「ごめ~ん、桐谷!気を付ける!!」
「営業部の仏様に言われたら控えるしかないよな」
「最近、俺は桐谷が母親に見えて来たぞ」
「あ、それ俺も思った」
だよな~と再度盛り上がる彼らは男子高校生のノリを捨てきれない残念な大人だ。
だからこそ、気を付けると言った直後に信じられない質問を投下して来る。
「なぁなぁ、すっっごく興味あるんだけど、桐谷のオカズって何?」
思わず口に運んだコーヒーを吹き出してしまう。
それまで話題に一切の興味を示さなかった蒼森が、ガタンと反応した。
「…ゴホゴホ!…っーー、ごめ、蒼森、そっちまで飛んじゃった?」
「い、いや…」
咽せながら蒼森に声をかけると、何故か気まずそうに目を逸らされてしまった。
最近、目が合っても逸らされることが増えた気がする。
(避けられてるのかな…)
「なぁなぁって!教えて!!桐谷は何をオカズにしてんのって!!!!」
肩を揺すぶられて尚も追撃を受けた。
先ほどまで恐ろしく冷淡な目をしていた吉澤さんも、弓削さんも心なしかこちらに生温かい視線を向けている。
「なぁなぁ!桐谷は動画見るの?」
「…そ、ど、動画と、か、恥ずかし…」
「?見たことないの?じゃあ、俺みたいに写真とかで?」
ズイッとスマホの画面を向けられる。
画面には際どい衣装を身につけた八頭身美女の画像が映し出されていた。
「…!その人に断りもなく、あられも無い姿を見るのが嫌なんだ…!!」
絶叫しながら顔を背けると、吉澤さんと目が合ってしまう。
『尊い』と、彼女の口元がそう発したように見えた。
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