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転生者同士の暗躍
しおりを挟む「すみません、瑠璃先輩…」
ファミレスに向かう前に、家族からの電話を受けた彼が、これ以上ない位に眉根を下げて謝ってくる。
「幼馴染が夕飯の準備をしてくれてるらしくて…。今日、僕ん家の両親が居ないから。幼馴染の所と仲良くて、向こうの両親と一緒に旅行に行ってて…。それで、その…」
アワアワしながら説明してくれる小鳥遊くんに、大丈夫だよと伝える為にニッコリと微笑んで、頭を撫でようとした手を何とか抑える。
彼の両親と、彼の幼馴染の両親は大学時代からの親友グループで、家もお隣同士だったはずだ。
両親同士が旅行に行っちゃったから、彼の夕食のお世話を幼馴染ちゃんが仰せ使ったと言うことだろう。
確か彼らの両親は、我が子同士が結婚するのを期待していて、何かにつけて絡ませたがるのだ。
いやいや、その結婚フラグは私がへし折りますけれど。
この幼馴染ちゃんが、ゲームでは私のライバルとなり、小鳥遊くんとの恋路を邪魔に邪魔してくれるのだ。
小鳥遊くんルートに入るなら、遅かれ早かれ出逢う事になる。それなら、早目に出逢っておきたい。
「そっかぁ、残念。もしもお邪魔じゃなかったら、私も小鳥遊くんの家に行ってお手伝いしたいな~」
しょぼん、と尻尾と耳を垂らしていた小鳥遊くんが、パァッ!っと瞳を瞬かせる。
「え?え?本当ですか?大歓迎です!瑠璃先輩が家に来てくれるなんて、その、すごく光栄です!!」
「あ、でも、幼馴染の子は大丈夫かな?」
「問題ありません!夕飯もカレーだし、人数が増えても大丈夫ですし!」
「ありがとう。でも、ちゃんと幼馴染の子に連絡しておいてね」
まるでメジャーデビューが決まったアイドルの様な歓喜の彼に、幼馴染ちゃんへの連絡を促すと、さすがの現役高校生。顔面の表情筋を緩ませっぱなしで、高速入力で連絡を取り合ってくれた。
(アポ無しで押し掛けて印象悪くしたくないし)
今からが本戦なのだけど、取り敢えずの試合運びに胸を撫で下ろし、彼の家に向かう前に化粧直しをしておこうとポーチを取り出した。
瑠璃が化粧直しの為に準備を始めた同じ頃、黄金色の瞳を持つ【橘 菜々花】は一人燃えていた。
「遂に来た…。ヒロインの瑠璃ちゃん訪問イベント。…ゲームよりも展開が速い気がするけど、遅いよりは良いよね」
自分を落ち着かせる様に深呼吸をすると、軽く頬を叩いて気合いを入れる。
「上手くやらなくちゃ…。圭人くんルートに入ったからこその訪問だけど、もっと圭人くんを瑠璃ちゃんに売り込まないと!」
カレーの具材を握り締めながら、迫り来るイベントのゴングを心待ちにした。
願わくば、このイベントが成就してヒロインと圭人くんが結ばれますように。
そして、私と圭人くんの結婚なんてバカな話が無くなりますように。
そして、そして、これが本願です、神様。
現世では、私と彼が結ばれますように。
ファミレスに向かう前に、家族からの電話を受けた彼が、これ以上ない位に眉根を下げて謝ってくる。
「幼馴染が夕飯の準備をしてくれてるらしくて…。今日、僕ん家の両親が居ないから。幼馴染の所と仲良くて、向こうの両親と一緒に旅行に行ってて…。それで、その…」
アワアワしながら説明してくれる小鳥遊くんに、大丈夫だよと伝える為にニッコリと微笑んで、頭を撫でようとした手を何とか抑える。
彼の両親と、彼の幼馴染の両親は大学時代からの親友グループで、家もお隣同士だったはずだ。
両親同士が旅行に行っちゃったから、彼の夕食のお世話を幼馴染ちゃんが仰せ使ったと言うことだろう。
確か彼らの両親は、我が子同士が結婚するのを期待していて、何かにつけて絡ませたがるのだ。
いやいや、その結婚フラグは私がへし折りますけれど。
この幼馴染ちゃんが、ゲームでは私のライバルとなり、小鳥遊くんとの恋路を邪魔に邪魔してくれるのだ。
小鳥遊くんルートに入るなら、遅かれ早かれ出逢う事になる。それなら、早目に出逢っておきたい。
「そっかぁ、残念。もしもお邪魔じゃなかったら、私も小鳥遊くんの家に行ってお手伝いしたいな~」
しょぼん、と尻尾と耳を垂らしていた小鳥遊くんが、パァッ!っと瞳を瞬かせる。
「え?え?本当ですか?大歓迎です!瑠璃先輩が家に来てくれるなんて、その、すごく光栄です!!」
「あ、でも、幼馴染の子は大丈夫かな?」
「問題ありません!夕飯もカレーだし、人数が増えても大丈夫ですし!」
「ありがとう。でも、ちゃんと幼馴染の子に連絡しておいてね」
まるでメジャーデビューが決まったアイドルの様な歓喜の彼に、幼馴染ちゃんへの連絡を促すと、さすがの現役高校生。顔面の表情筋を緩ませっぱなしで、高速入力で連絡を取り合ってくれた。
(アポ無しで押し掛けて印象悪くしたくないし)
今からが本戦なのだけど、取り敢えずの試合運びに胸を撫で下ろし、彼の家に向かう前に化粧直しをしておこうとポーチを取り出した。
瑠璃が化粧直しの為に準備を始めた同じ頃、黄金色の瞳を持つ【橘 菜々花】は一人燃えていた。
「遂に来た…。ヒロインの瑠璃ちゃん訪問イベント。…ゲームよりも展開が速い気がするけど、遅いよりは良いよね」
自分を落ち着かせる様に深呼吸をすると、軽く頬を叩いて気合いを入れる。
「上手くやらなくちゃ…。圭人くんルートに入ったからこその訪問だけど、もっと圭人くんを瑠璃ちゃんに売り込まないと!」
カレーの具材を握り締めながら、迫り来るイベントのゴングを心待ちにした。
願わくば、このイベントが成就してヒロインと圭人くんが結ばれますように。
そして、私と圭人くんの結婚なんてバカな話が無くなりますように。
そして、そして、これが本願です、神様。
現世では、私と彼が結ばれますように。
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