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【最終話】ハッピーエンドは甘いお仕置き
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エリカちゃんが盛大な舌打ちをして、智正くんをジロリと見遣る。
智正くんはどこ吹く風で、私の口元にアイスを乗せたスプーンを寄越す。
私は二人の板挟みで、どうしたものやらと思案する。
口火を切ったのはやはりエリカちゃんだった。
「どぉして、やよい先輩の目元が腫れてるんでしょうかねぇ~?自称彼氏さん、お答え頂けますかぁ?」
エリカちゃん、もう、元ヤンどころか現ヤンだよ。
何さ現ヤンって。もう、訳がわからないよ。
「昨夜、僕たちの愛を深めたからじゃないかな。ね?やよいさん」
はい、あーん♡とかやってる場合じゃないよ、智正くん。
黒蜜きな粉アイス、すっごい美味しいけどね。大好きなんだけどね。
「けっ!やよい先輩の優しさに漬け込んでるだけの青二才が!今に化けの皮剥がしてやるから覚悟しとけよ!」
「おぉ、こわ。やよいさん、こんな不良と一緒に居たら碌な事がないよ。さっさと帰ってイチャイチャしようね」
「あ、いや、ちょっと、帰る支度しないで。仲良くして、二人とも」
「先輩、マジでコイツ泣かしたかったら言って下さいよ、秒で泣かしますから!」
「わー、こわいなー(棒)こんな野蛮人がやよいさんの側にいるのは心配だなぁ。やよいさん、早く寿退社して沢山イチャイチャしようね」
「あ、いや、待って、これ話がループするパターンじゃない?」
「先輩!」
「やよいさん!」
「やっぱり!!!!」
エリカちゃんは、最後の最後で「でも、忘年会の時にセクハラ野郎から先輩守ったのは褒めてやる」って智正くんに言ってて、智正くんも「アイツを消し飛ばすまでは休戦な」って応えてて、何となく、何となく、何とかなりそう?か、な?
「は~。ようやく、やよいさんに触れる~」
「今日一日、割と触ってたじゃない」
「手を繋ぐとか、頭を撫でるとか、そんなのは触る内に入らないよ。あ、勿論、僕以外の男には絶対そんなことさせないでね」
「ふふふ。おばさんに触りたがる人なんて智正くん位だよ」
「…また言った」
「あ」
私と智正くんは、とある取り決めをした。
私が『おばさん』だとか『年増』だとか、年齢で自分を卑下する度に、智正くんとキスをするルール。
しかも、これは私から智正くんにキスをしないといけない。
「お仕置きとして、キスを使うのは嫌なんだけどさ、こうでもしないと、やよいさんの癖が治りそうにないからね」
「一日二日で治るわけがないよ!」
「治そうとする努力が大事だよ。いくらでも付き合ってあげるから、安心して」
「ううぅ…」
ほら、早く、と目を瞑る目前の恋人の美しいこと。
年嵩の割に恋愛経験の乏しい私は、羞恥心で消えてしまいそうになる。
(こんなおばさんとキスして楽しいのかな…)
そう思った刹那、彼の目が開いてビー玉の様なキラキラした瞳と目が合う。
「今、心の中で自分を卑下したでしょ?」
「ひぃぃぃ。怖い、それは怖いよ智正くん。やっぱり変態だよ、犯罪臭がするよ」
「自分の恋人に言う言葉かな…。良いよ、今回は僕がお仕置きしてあげるよ」
「え、あ、また、大人のキスするんでしょ。あれドキドキするし息も出来ないし変な気分になっちゃうから嫌だ」
「…するよ?」
両腕をガッチリホールドされて、満面の笑みをこぼす彼の唇が近付いてくる。
駄目だ。この恋からは到底逃げられそうにない。
智正くんはどこ吹く風で、私の口元にアイスを乗せたスプーンを寄越す。
私は二人の板挟みで、どうしたものやらと思案する。
口火を切ったのはやはりエリカちゃんだった。
「どぉして、やよい先輩の目元が腫れてるんでしょうかねぇ~?自称彼氏さん、お答え頂けますかぁ?」
エリカちゃん、もう、元ヤンどころか現ヤンだよ。
何さ現ヤンって。もう、訳がわからないよ。
「昨夜、僕たちの愛を深めたからじゃないかな。ね?やよいさん」
はい、あーん♡とかやってる場合じゃないよ、智正くん。
黒蜜きな粉アイス、すっごい美味しいけどね。大好きなんだけどね。
「けっ!やよい先輩の優しさに漬け込んでるだけの青二才が!今に化けの皮剥がしてやるから覚悟しとけよ!」
「おぉ、こわ。やよいさん、こんな不良と一緒に居たら碌な事がないよ。さっさと帰ってイチャイチャしようね」
「あ、いや、ちょっと、帰る支度しないで。仲良くして、二人とも」
「先輩、マジでコイツ泣かしたかったら言って下さいよ、秒で泣かしますから!」
「わー、こわいなー(棒)こんな野蛮人がやよいさんの側にいるのは心配だなぁ。やよいさん、早く寿退社して沢山イチャイチャしようね」
「あ、いや、待って、これ話がループするパターンじゃない?」
「先輩!」
「やよいさん!」
「やっぱり!!!!」
エリカちゃんは、最後の最後で「でも、忘年会の時にセクハラ野郎から先輩守ったのは褒めてやる」って智正くんに言ってて、智正くんも「アイツを消し飛ばすまでは休戦な」って応えてて、何となく、何となく、何とかなりそう?か、な?
「は~。ようやく、やよいさんに触れる~」
「今日一日、割と触ってたじゃない」
「手を繋ぐとか、頭を撫でるとか、そんなのは触る内に入らないよ。あ、勿論、僕以外の男には絶対そんなことさせないでね」
「ふふふ。おばさんに触りたがる人なんて智正くん位だよ」
「…また言った」
「あ」
私と智正くんは、とある取り決めをした。
私が『おばさん』だとか『年増』だとか、年齢で自分を卑下する度に、智正くんとキスをするルール。
しかも、これは私から智正くんにキスをしないといけない。
「お仕置きとして、キスを使うのは嫌なんだけどさ、こうでもしないと、やよいさんの癖が治りそうにないからね」
「一日二日で治るわけがないよ!」
「治そうとする努力が大事だよ。いくらでも付き合ってあげるから、安心して」
「ううぅ…」
ほら、早く、と目を瞑る目前の恋人の美しいこと。
年嵩の割に恋愛経験の乏しい私は、羞恥心で消えてしまいそうになる。
(こんなおばさんとキスして楽しいのかな…)
そう思った刹那、彼の目が開いてビー玉の様なキラキラした瞳と目が合う。
「今、心の中で自分を卑下したでしょ?」
「ひぃぃぃ。怖い、それは怖いよ智正くん。やっぱり変態だよ、犯罪臭がするよ」
「自分の恋人に言う言葉かな…。良いよ、今回は僕がお仕置きしてあげるよ」
「え、あ、また、大人のキスするんでしょ。あれドキドキするし息も出来ないし変な気分になっちゃうから嫌だ」
「…するよ?」
両腕をガッチリホールドされて、満面の笑みをこぼす彼の唇が近付いてくる。
駄目だ。この恋からは到底逃げられそうにない。
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