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英雄の弟子
しおりを挟む「エリクの気持ちを確認しましたか?ロバート様の前では本当の気持ちなど言えませんわ」
「気持ちの確認だと? … どうしたらそんな考えになる エリクの将来を考えれば簡単に分かる答えだ」
コニーは、はぁと呆れたように大袈裟にため息をついた
エリクの将来を考えれば騎士なり生計を立てたほうがいいに決まっている。そんなことジュリーナは理解している、それでもまたエリクの話を本人ではなく他の人から聞くのが気に入らなかったのだ
「お父様の判断に従います」
「そもそもエリクはジュリーナから離れている 気付いていたろ? 話をしただけ感謝して貰いたいものだな」
エリクはジュリーナの従者だ、主人として不合格だという物言いに、ジュリーナはコニーを睨んだ
これ以上話すことはないとその場を去ろうとするば、エリクがマヌエラをエスコートしながら親しげに階段を降りてきた
「あらぁ 萎れた小麦ちゃんじゃない? ごきげんようジュリーナ」
「ごきげんようマヌエラ姉様」
「あぁそうだわ 今度エリクのお披露目があるのよ ロバート様に弟子入りなんて珍しいもの ほんとうに鼻が高いわ」
マヌエラはまるで自分の功績かのように嬉しそうに話す
「残念だけどジュリーナは参加出来ないの ごめんなさいね でも分かるでしょ?」
「ええ」
「それにもう我儘を言うのは止めなさい エリクを困らせないで頂戴ね」
「マヌエラ姉様はエリクの何です? まるで恋人みたいに…マルゴ様に相手にされないからってもう少し慎みをもったほうが宜しいのではなくて?」
マヌエラは眉を寄た、不快感を隠そうと扇子で口元を覆った。つかつかとジュリーナの目の前まて近づき、マヌエラが少しジュリーナを見下ろす位置だ
「エリクの主人として相応しくないのを自覚して欲しいからよ 姉様に言わせないで」
「主人? …。それは私が拾った奴隷です」
―バシン
マヌエラがジュリーナを扇子で叩き、乾いた音が響いた
後ろに控えていたエリクはジュリーナを庇うように間に割行った
その間、ジュリーナは身動きせず前を向いていた
「奴隷ですって? ロバート様のお弟子になったエリクに向かって 二度と言わないで!」
「ジュリーナお前がそこまで愚かだと思わなかったよ 父様に報告する」
黙って遠巻きに見ていたコニーまでジュリーナを非難した
エリクは庇っていた後ろを振り返り赤くなった頬を触ろうと右手を上げたが、ジュリーナはスルりとかわし自室に向かった
赤くなった頬を見たマリアは驚きすぐにメイド長に医師を手配するよう願い出たが、医師が来ることはなかった
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