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散華
しおりを挟むやあ、こんにちは。綺麗な薔薇だろう?
ここに来たということは君も地上の役目を終えたんだね。お疲れ様。
死んでも死にきれない?うん、みんなそう言うね。
でも、残念ながら君の時間はもう終わり。君の想いが何かを遺したのか、それとも何も遺さなかったのか、それはもうわからない。
けれども、これからの時間は遺された人々やこれから産まれる人々が、それぞれの人生という物語を紡いでいくんだ。
君の抱えたままの無念……叶わなかった願いや届かなかった想いは、ここに全て置いておいで。
君が見蕩れていたこの蒼い薔薇たちは、そうやって今は亡き人々が置いていった想いが花となって咲いているんだ。人々の魂がまた無垢な存在となって地上に生まれ変われるように。
さあ、君もそろそろ時間だ。君の遺した想いはここで花として咲かせて、まっさらになってまた新たな生を紡いでおいで。
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