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因果応報
しおりを挟むお兄ちゃんを虐めていた女子グループはネットに晒してから学校に来なくなったらしい。直接暴力をふるってた男子たちもムカつくけど雑魚だからね。
やっぱり断罪すべきは首謀者でしょ。
首謀者の女子どもが晒されたら、面白半分に男子たちの情報もどんどんネットに出て行った。みんなまとめて人生詰んだね。ざまぁ。
クソ生意気にもうちのお兄ちゃんを虐めた罰だ。下の人間が調子に乗って身の程知らずな事をすれば痛い目を見るんだよ。
それから一か月ほどして、SNSの運営から「発信者情報開示請求について」とかいうメールが来た。どうせ詐欺か迷惑メールだと思って放置していたらそのまま何も起きなかった。
学校ではもちろんイジメの首謀者を晒したの誰? って話題になったけど、同じクラスでイジメられてた連中が順番に疑われてハブられただけで、学年の違うあたしを疑う人はいなかった。
いつの間にか校庭の銀杏も黄色くなり、推薦入試を受けたいって学校に申し出たけどイジメに関与してたから調査書書けないって断られた奴がいたって噂が聞こえてきた。ざまぁ。
自分の悪行は自分に返ってくるんだよ。正義を実行したあたしは学校のヒーローだね。
さすがに自慢すると面倒な事になりそうだから黙ってるけど。
お兄ちゃんは自治体のやってるフリースクールに通うようになって、また少しずつ明るさを取り戻し始めた。
そうだよね。諸悪の根源はやっつけても、クラスにはヤツらが好き勝手するのを黙って見過ごしてたゴミクズが大量に残ってる。
そんなのがウヨウヨしてる学校なんかに来ても、ヤダな気分になるだけだ。だったらお兄ちゃんが気分よく通えるフリースクールの方が良いに決まってる。
もともと成績の良かったお兄ちゃんは受験してイジメをするような下らないヤツの来れない学校に行くと頑張って勉強してた。
色んなことが良い方向に進んであたしもいい気分で学校に通ってた、そんなある日のこと。
ずっと休んでいた佐々木が臆面もなく学校に来やがった。しばらくフリースクールに通ってたけど、これからは学校の方に来るようにするんだと。
久しぶりに奴が来た日の朝の会で、先生が無理矢理作った気持ち悪い笑顔を貼り付けて「佐々木君は心の病気にかかってるかわいそうな子なんだから、みんなで楽しく学校に来れるようにいろいろと面倒みてあげてくださいね」と言った。
佐々木は先生の話の間ずっと立たされて、うつむいて震えていた。キモすぎるにもほどがある。本当にいい迷惑。
きっと先生は本音を言えば佐々木なんかに二度と学校に来てほしくないのに、校長だか教育委員会だかに強制されて無理矢理こんなこと言わされてるんだろう。かわいそーに。
クラスのリーダーのあたしには「心のビョーキになったカワイソウな佐々木君」をみんなに指図して色々と面倒を見てやるように期待されているらしい。
つまり、キチガイに今まで以上にきっちり教育的指導してやって、二度と問題を起こさないようにしなくっちゃね。
まず五分休みには隣の席の奴に佐々木の机に液体のりをぶちまけさせ、そこにみんなで鉛筆の削りかすを捨てた。
佐々木がべそべそしながら雑巾で拭いてる間に休み時間が終わる。
先生は来るなり「何をしているんだ!?」と大声をあげた。ひぃっと佐々木が息を飲むと、近くの席の連中が口々に状況を説明する。
「佐々木君が松田さんの机にノリかけようとして失敗して、自分の机をぐちゃぐちゃにしちゃったんです!」
「俺の机もやられそうだったんですよ。マジやめてほしいです」
先生が「そうなのか?」と怖い声を出してギロリと睨むと、佐々木は縮こまって何も言えずに固まってしまった。ざまぁ。
次の日、佐々木の奴は教室に来なかった。どうやら登校してすぐに保健室に行ったらしい。二度と学校に来なきゃいいのに。
仕方ないので先生がわざわざ保健室まで迎えに行ってやる羽目になった。どこまで人に迷惑かければ気が済むんだろう。さっさと死ねばいいのに。
あんまり時間がかかるからドアをあけて廊下を覗くと、喉を両手で押さえた佐々木が先生にズルズルと引きずられてくるところだった。
みっともない姿はゴミクズにはお似合いだ。ざまぁ。
手間かけられてイラついてる先生には悪いけど、クズがミジメに這いつくばる姿を見れてあたしはちょっといい気分。
「何をしているんだっ!?」
突然響いた鋭い声が、せっかくのいい気分に水を差した。
誰だよ? 空気読まない奴?
そう思って声のした方を見たら怖いと評判の副校長がすごい怖い顔で走って来た。廊下は走っちゃいけないんじゃなかったっけ?
「すぐに離しなさい! なんてことをするんだ!!」
副校長は厳しい顔で先生から佐々木を引き離すと、佐々木には優しい声で話しかけた。
「もう大丈夫、ゆっくり息を吐いてごらん。無理をしなくていいからね」
先生を怒鳴りつけたのとはうってかわって優しい声で、身体を丸めるようにしてうずくまっている佐々木の背中をそっとさすっている。キモッ。
「彼は過呼吸発作を起こしています。私が保健室に連れて行くので君はすぐ教室に戻りなさい。二度とこんな真似はしないように」
副校長は先生に厳しい声できっぱりと言うと、佐々木を抱き上げて保健室へと連れて行き、あたしは先生に気付かれないうちに慌てて席に戻った。
先生は大きく舌打ちをすると一回だけダンっと床を蹴りつけて、何事もなかったかのように教室に入ってきた。
ゴミクズが身の程知らずに出しゃばるから先生もクラスのみんなも大迷惑だ。
早々に始末してやらなきゃクラスの平和が守れない。
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