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125話

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「何か飲みますか?」
シルフェ様の執務室、綺麗に整えられている部屋をそっと見ながら俺は頭を振る。
「俺がやりますよ?」
ソファーから立ち上がると、シルフェ様に止められた。
「大丈夫だから、座っていてくれ?」
「なら、シルフェ様の隣に居てもいいでしょうか」
少しでもシルフェ様と一緒に居たい。この気持ちはずっと変わらない。
「ええ、ならこちらに」
シルフェ様に促されながらシルフェ様の腕に包まれるようにして簡易キッチンの前に立つ。
シルフェ様の手が吊り戸棚を開けてティーセットを取り出すのや、ポットを火に掛けるのを俺は見ていた。
「いい香りですね」
シルフェ様が開けた紅茶の缶の中から香る甘い香り。
「そうだな、私もこの茶葉は好きだ……ルーカスの香りに良く似ている」
「俺のですか?」
「あぁ、そう言えば……ルーカス……こうされていて、不快ではない?」
耳元にシルフェ様の低い声が吹き込まれる。
「あ、はい……嫌ではありません。あれ……番になった方以外のαと接触した場合、拒否反応が出るのではなかったでしょうか」
ふと、今更かと思うような考え。
「こうして、肌を触れ合わせるのもルーカスには拒絶反応が出ていなさそうだし、さっきもキスをしたな……そう言えば」
シルフェ様は思い出すようにそう言った。
確かにさっき俺からキスをした。
唇に触れるだけだったが……でも、俺には拒絶反応が出にくい体質なのかもしれない。
ヒートもしっかりと出ないからだ。
辛くなったのはあの花街の時のヒートで、薬とシルフェ様に抱かれる事で全くその後は普通にしていた。
「シルフェ様、お仕事が終わって帰ることができたら、俺を抱いてくださいませんか?いえ、項を噛んでいただくなら今此処でも大丈夫かもしれませんが」
俺はぱちりと首に巻いていたチョーカーを外した。
フェイが噛み跡を隠すようにと巻いてくれたチョーカーは、誰にでも外せるもので番が居ないΩの貞操を守るための特殊なものでは無い。
「ルーカス、此処でか?」
「いけませんか?」
「……構わないが、何かあった時に保証ができない」
シルフェ様は火を消すと俺をぎゅっと抱き締めてくれた。
「シルフェ様にご迷惑をお掛けしてしまいますが?」
「いや、だが……ルーカスの身体の事を考えるなら最善な状態でしたい」
頬が触れて、その行為に安堵する。
「わかりました、では今夜必ずしていただけますか?」
俺はシルフェ様に懇願した。
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