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118話
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「問題なければこのまま進む」
「問題ございません」
シルフェ様の上げた右手が、前進を促すように前へと出される。
それを受けて、何事も無かったかのように隊列は動き出す。
でも、俺は身体の震えが止まらなかった。
シルフェ様の腕に抱かれて、周囲に手を振っていたが王城まで戻ってきた瞬間、倒れるように意識を失っていた。
そして、目が覚めた時には知らない天井が見えていた。
モスグリーンの天蓋に白や茶を基調とした部屋、そっと頭を起こすとズキンと痛んだ。
「っ!」
「ルーカス、目が覚めたか」
シルフェ様の声がして俺が上体を起こすと、その背中に手が添えられる。
「シルフェ様……」
「無理しなくていいですよ。此処は王宮の私が幼い頃に使っていた部屋なので……あの後意識を失ったから此処へ連れてきましたが大丈夫ですか?」
「はい……」
俺は無意識に首のチョーカーに触れてしまう。
あの男はどうしたのだろうか。
聞きたいようで聞けずに俺は口を閉じた。
「申し訳、ありません。」
俺はその場で頭を下げると、シルフェ様は俺を抱き締めてくれた。
耳の傍で一瞬ギリッと音がしたが、シルフェ様を見上げると優しい笑みを浮かべている。
「体調は悪くはありませんか?」
問われて頷いた。
「あの男を何をしても捉えるよ……約束する……ルーカス」
「無理はなさらないで下さい、俺は大丈夫ですから」
大丈夫。
シルフェ様に抱き締められて幸せなのに身体の奥がシルフェ様を拒否するようにゾワゾワする。
でも、シルフェ様と共にある事を願ったのは自分なのだから、耐えなければならないのだ。
「シルフェ様、愛しています」
「私もだ」
シルフェ様の大きな手が髪を撫でてくれ、シルフェ様の頬が俺の額辺りに触れる。
どのような弊害がでるかわからないと、シルフェ様はそれ以上触れてくることは無い。
シルフェ様に、そう言われて寂しくもあったが胸を撫で下ろす自分がいたのも確かだった。
「失礼致します、シルフェ団長アサドです」
ノックがあり、声がかかった。
声の主はアサド様。
「入れ」
「失礼いたします」
扉が開き入ってきたのは何度か顔を合わせる事があったアサド様だった。
「ご無沙汰しております」
礼をするアサド様に俺も頭を下げたが、アサド様はシルフェ様に近付き何かを耳打ちしシルフェ様は頷いた。
「わかった、支度を頼む」
「はっ」
アサド様は礼をすると、俺に向かって笑みを浮かべそのまま部屋を下がっていく。
「何かありましたか?」
「ええ、あの男を捉えたとの事……敗戦の兵は裁く権限は陛下からいただきましたからね、少し出てきます。この部屋は使っていてください……直ぐに戻りますが、フェイは入れないので他のものをつけておきますから、何かあればこのベルを鳴らしてください。少し行ってきます」
そう言うとシルフェ様は立ち上がった。
「問題ございません」
シルフェ様の上げた右手が、前進を促すように前へと出される。
それを受けて、何事も無かったかのように隊列は動き出す。
でも、俺は身体の震えが止まらなかった。
シルフェ様の腕に抱かれて、周囲に手を振っていたが王城まで戻ってきた瞬間、倒れるように意識を失っていた。
そして、目が覚めた時には知らない天井が見えていた。
モスグリーンの天蓋に白や茶を基調とした部屋、そっと頭を起こすとズキンと痛んだ。
「っ!」
「ルーカス、目が覚めたか」
シルフェ様の声がして俺が上体を起こすと、その背中に手が添えられる。
「シルフェ様……」
「無理しなくていいですよ。此処は王宮の私が幼い頃に使っていた部屋なので……あの後意識を失ったから此処へ連れてきましたが大丈夫ですか?」
「はい……」
俺は無意識に首のチョーカーに触れてしまう。
あの男はどうしたのだろうか。
聞きたいようで聞けずに俺は口を閉じた。
「申し訳、ありません。」
俺はその場で頭を下げると、シルフェ様は俺を抱き締めてくれた。
耳の傍で一瞬ギリッと音がしたが、シルフェ様を見上げると優しい笑みを浮かべている。
「体調は悪くはありませんか?」
問われて頷いた。
「あの男を何をしても捉えるよ……約束する……ルーカス」
「無理はなさらないで下さい、俺は大丈夫ですから」
大丈夫。
シルフェ様に抱き締められて幸せなのに身体の奥がシルフェ様を拒否するようにゾワゾワする。
でも、シルフェ様と共にある事を願ったのは自分なのだから、耐えなければならないのだ。
「シルフェ様、愛しています」
「私もだ」
シルフェ様の大きな手が髪を撫でてくれ、シルフェ様の頬が俺の額辺りに触れる。
どのような弊害がでるかわからないと、シルフェ様はそれ以上触れてくることは無い。
シルフェ様に、そう言われて寂しくもあったが胸を撫で下ろす自分がいたのも確かだった。
「失礼致します、シルフェ団長アサドです」
ノックがあり、声がかかった。
声の主はアサド様。
「入れ」
「失礼いたします」
扉が開き入ってきたのは何度か顔を合わせる事があったアサド様だった。
「ご無沙汰しております」
礼をするアサド様に俺も頭を下げたが、アサド様はシルフェ様に近付き何かを耳打ちしシルフェ様は頷いた。
「わかった、支度を頼む」
「はっ」
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「何かありましたか?」
「ええ、あの男を捉えたとの事……敗戦の兵は裁く権限は陛下からいただきましたからね、少し出てきます。この部屋は使っていてください……直ぐに戻りますが、フェイは入れないので他のものをつけておきますから、何かあればこのベルを鳴らしてください。少し行ってきます」
そう言うとシルフェ様は立ち上がった。
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