完結【BL】紅き月の宴~Ωの悪役令息は、αの騎士に愛される。

梅花

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112話

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「お父様!」
俺はお父様の言葉を止めようと立ち上がり掛けたのをお父様が止める。
「ルーカス、大切な事なのだから」
「えぇ、ルーカスが私にとってどれだけ大切なものか知っていただくのにも良い機会かなと」
そう言って微笑むシルフェ様を俺はまじまじと見てしまった。
「ルーカスが嫌でないなら離婚するつもりは無いよ?ルーカスを守れなかった私を許せない、顔も見たくないと言うなら仕方が無いけれど……でも、ルーカスを修道院になど行かせるつもりも無い」
シルフェ様の言葉に、俺は胸の内を暴かれたような気がした。
ドクンと心臓が跳ねる。
シルフェ様の声が入ってこない。
「では、お義父様……」
「任せて欲しい」
いつの間にか二人は固い握手を交わしていた。
「ルーカス、父さんは帰るけれどシルフェ様を信じてみなさい」
立ち上がった父様は俺を抱き締めて、チュッと額にキスをした。
「では、私は帰るけれどしっかりと二人で話し合う事だよ?しっかり話し合って未来を掴みなさい」
そう笑うとお父様は部屋を出ていった。
「では、ルーカス話をしようか……」
ルーカス様は俺を抱き上げるとソファーに移動して俺を膝の上に乗せた。
「ルーカス、私は少し怒っているよ?私の愛する気持ちを見くびってもらっては困る。それと、今後どうするかだねもちろんルーカスは私の伴侶であると皆に言うのは良いだろう?」
良いだろう?と、聞かれているのに有無を言わせない程の圧。
「ルーカス……何か希望があれば言って欲しい」
「……あ、ありません。俺はシルフェ様がいてくれるだけで……」
まだ、一緒にいられるなんて思ってもみなかったから。
「そうか、私も仕事以外はできるだけルーカスと一緒にいるようにするから。それと、三日後に凱旋式典があるから一緒に出てくれる?」
「はい」
返事をすると、シルフェ様はにこりと笑う。
「最高に綺麗な伴侶のお披露目でもあるからね……楽しみにしていて」
その意味を知るのは式典前日だった。
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