完結【BL】紅き月の宴~Ωの悪役令息は、αの騎士に愛される。

梅花

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108話

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「シルフェ様から、明日帰りますと手紙があったよ。ダーウェルにも伝えて?それと、それに合わせてお父様も呼んでいただける?」
「畏まりました」
父には何があったかは事前に話をしてある。
直ぐに逢いに行くと言われて断った。
逢えなかった。
これからを思うと、父様達に申し訳なさしか無かった。
「フェイ、明日シルフェ様を迎える為のドレスを選ぼうか……」
「はい」
俺は立ち上がると、ゆっくりとドレスルームに向かう。
シルフェ様が用意してくれたドレスの中から銀糸の刺繍が入った白いドレスを選ぶ。
それに合わせて銀のチョーカーを付けたいとフェイに頼んだ。
「ルーカス様、服のお直しを致しましょう」
この数日でかなり体重が落ちたらしく、フェイに心配をされてしまう。
「うん。頼める?」
「もちろんです。では、決まりましたからお茶の時間に致しましょうか、今日は冷たいゼリーに致しましょうか。それと甘酸っぱい果実水にいたしましょう」
フェイに支えられて俺は窓際に置かれたソファーとローテーブルにお茶を準備して貰いソファーに座った。
「美味しそう……こんなに沢山果物を使ってくれて……シェフに感謝を伝えて?」
「畏まりました」
小さなスプーンを持ち上げると、たっぷりと果物入ったゼリーを掬って口に運ぶ。
ひやりと冷たいゼリーを口に含むと、その食感を楽しむ事ができた。
「フェイ、ありがとう美味しいよ」
そうフェイに言うと、フェイはゆっくり目を伏せた。
「フェイ、ちょっと眠くなってきちゃったかも……」
「では、少し眠りましょうか」
数日間、お茶をする度に眠くなってしまうのを俺は自分の身体が普通では無いからだと思っていた。
「ルーカス様、そろそろ起きませんとアーデルハイド侯爵様がいらっしゃるお時間に……」
「あぁ、そうだね……おはようフェイ」
身体の意識は覚醒したが、まだぼんやりとしている。
上手く頭が働かないが俺は起き上がり身体をフェイに任せた。
お父様もだが、シルフェ様も戻ってくる。
今の時刻はどのくらいだろうか。そう思うも時間を確認する余裕も無かった。
「ルーカス様、髪から」
「任せるよ」
「少し何かをつまみますか?」
フェイの言葉に俺は頭を振る。
何か喉は通りそうもない。
そうですかと、フェイは残念そうに笑った。
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