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91話

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「お帰りなさいませ」
出迎えてくれたのはダーウェル他、この屋敷に居る全ての者達じゃないかと言うくらいの人数が出迎えてくれた。
それも、見る限り全員が正装をしているように見える。
そう言えばと見上げたシルフェ様も騎士団の正装だ。
「帰った。ルーカスと婚姻を結んできた。今後、ルーカスをそのように扱ってくれ」
「おめでとうございます」
ダーウェルの言葉と同時に、その場に居る全員が騎士では無いのに騎士の礼をとった。
「ルーカス様、大変良うございました。誠心誠意お仕えさせていただきます」
「頼む」
「畏まりまして。では、準備をいたしましょう」
ダーウェルが二度手を鳴らすと、全員が一斉に散開する。
「今夜から、ルーカスの寝室は私と一緒になります。もちろん今までの部屋はそのままにしますので一人で眠りたい時などはどちらを使っていただいても構いません。それと、貴方に鍵を。どの部屋でも自由に出入りが出来る鍵をお渡ししますので……宝物庫等の管理をお願いする事も。また、他にも領地がありますので管理をお願いできるようであれば順次慣れていただけると嬉しいのですが……いや、そんなことはどうでもいい……」
シルフェ様は矢継ぎ早に言葉を紡いでいたがふと動きを止めた。
「ルーカス、番っていただきありがとうございます」
そう、シルフェ様は言葉を紡いだ。
「そんな、ありがとうございますと言うのは俺の方……それに、シルフェ様……こんなにしていただくのは間違いではありませんか?」
「ルーカスはまだ妾とか、思っていますか……」
ふうと息を吐いたシルフェ様は困った表情を浮かべた。
「その辺の事もしっかりと話さなければなりませんが、先ずは軽い食事と湯浴みでしょうか。」
シルフェ様は俺を抱いたまますたすたと玄関から中に入っていく。
「あ、あのそれと……俺、王室に嫁いでしまったのですか?」
ふと、先程のシルフェ様の書いたサインを思い出してそう聞いたのだった。
自分で何を口にしたか分かっているようでわかっていない。
だが、どう見てもシルフェ様の横に書いてあった家名は、この国と同じものであり、王族が冠するものであった。
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