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79話

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「フェイ、香水専門店に行きたいんだけど」
俺はシルフェ様の屋敷に戻ってきてからフェイに頼む。
「いつでも良いんだけど、シルフェ様が香水を使っていらっしゃらないと言うから、送りたいなって思って……」
「それは良いかと。でも、調香師を呼びましょうかその方が危険はありませんから」
フェイはそう言うと、何かを手元の紙に書き付けて部屋の外の誰かに託した。勿論、使っているのはあのペンだ。
「ルーカス様が何か欲しいと言うのは珍しいですから……」
「俺が使ってるポプリをシルフェ様にあげてしまったから、何か良い香水を買おうかなって思って。支払いは俺がするから欲しい人には全員に買ってあげたいけど……集まってくれるかな。調香師ならアトマイザーを使ってオリジナルも作れるよね?楽しみだな」
俺は、シルフェ様に似合う香りを想像しながら、フェイに少し疲れたから眠りたいとベッドメイクをお願いしてから、簡易な服に着替えるところりとベッドに寝転がる。
「……シルフェ様のベッドで寝たい」
シルフェ様の匂いに包まれたいなと思いながらも、部屋を移してくれとダーウェルにはそんなことは言えず、俺はコロコロとベッドの上を転がった。
「シルフェ様の伴侶なら伴侶らしくないといけないんだけど……していいのかな」
誰へともなく口にしてから俺はそのまま起き上がった。
「もう一度思い出してみなきゃ」
一度流れを描いてみたが、それが本当にそうだったか。
他の攻略キャラたちの動きはどうか。
アーサー王子とヒロインは……。
やり込んだ訳では無いゲームだから、知らない所ももちろんあるだろう。
だから、やれる事をやりたいのだと俺は机に向かう。
開戦まで30日と思うと、俺は簡単な表を作りながら現状を振り返った。
この後に起こる事。
此処が開戦なら、その前に起こるのが長雨。
毎日雨が続き、漸く晴れ間が見えた瞬間、東の平原から攻められた。
まだ、雨は降っていないがこの先の天気を占術士か星詠みに見て貰わなければ。
この世界には気象予報士など、いないのだから。
それから、雨が降る前には食料が値上がりする。それが今だ。
もっと高くなるのはわかっているから、ある程度の購入と、武器や武具。
これも揃えなければならない。
それは、ダーウェルに頼まなければならないし、この屋敷の中の非戦闘員には戦闘が始まったら逃げ込める先を作っておかなければならない。
この屋敷に、父上が抱えるような影がいたりするのだろうか。
聞かなければならないことと、やらなければならないことを一覧にしながら俺は小さな溜息を吐いた。
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