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78話
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「では、シルフェ様……無理なさらずに……シルフェ様のお屋敷で、お戻りをお待ちしております」
俺はそっとシルフェ様のジャケットの袖辺りに触れる。
抱きつきたい衝動が込み上げて、シルフェ様を見上げてからそっと問うた。
「抱き締めてもよろしいですか?」
その瞬間、シルフェ様から抱き締められた。
「そんなことは聞かなくてもいい。ルーカスにされる事は何でも嬉しい。本当は帰って欲しくないが仕方ない……」
耳元で囁かれる低音に俺は力が抜けそうになる。
「ルーカス……忙しくて帰れない時もあるだろうが、こうして顔を見せてくれるのは嬉しい。可能なら何日かに一度着替えを持ってきてくれないだろうか?ルーカスが忙しくなければだが」
「勿論です。もしお会い出来なくてもシルフェ様にお渡しいただけるように受付の騎士様にお伝えください。アサド様にお会いできなければ中に入れなかったので……シルフェ様とお会いできて良かったです」
俺はシルフェ様にギュッと抱きつく。
温かい体温を服の上からでも感じられた。
「ルーカス、気をつけて帰ってくれ。フェイにもありがとうと伝えてくれると嬉しいが、また手紙を書くよ」
「俺も書きます。文字は上手くないですが。それと、シルフェ様、一つ買いたいものがあるのですがよろしいですか?できればシルフェ様の香水を1瓶買いたくて。支払いは自分でいたしますが、お店を教えてください。シルフェ様の香水はオーダーメイドですよね」
ふわりと香る爽やかな香り。
それが欲しいとねだってみると、シルフェ様は困った顔をした。
「私は特に何も付けていないんだが……使っている石鹸の香りだろうか」
そう言われて、こんなにも良い香りなのにと鼻を鳴らす。
「あ……」
ふと、思い当たることがあって俺はシルフェ様を見上げた。
シルフェ様がαだから、それを嗅ぎ分けているのかもしれない。
俺が好きな匂いだから、俺がシルフェ様に惹かれているからわかるのだろう。
「シルフェ様と同じ石鹸が欲しいですダーウェルさんにお願いしても?」
「勿論だ、その代わり私にもルーカスの香水が欲しいが」
「俺は、これです……お持ちになりますか?」
俺が取り出したのは小さな袋。
好きな匂いのする花を乾燥させてポプリにしたものをこうして袋に詰めて持っているのだ。
「いくつかありますので」
小袋を首から下げていたのを外すとシルフェ様の手に乗せる。
大切そうに小さな袋を握り締めたシルフェ様と軽いキスをしてから、そろそろ戻りますと俺は部屋を退出したのだった。
俺はそっとシルフェ様のジャケットの袖辺りに触れる。
抱きつきたい衝動が込み上げて、シルフェ様を見上げてからそっと問うた。
「抱き締めてもよろしいですか?」
その瞬間、シルフェ様から抱き締められた。
「そんなことは聞かなくてもいい。ルーカスにされる事は何でも嬉しい。本当は帰って欲しくないが仕方ない……」
耳元で囁かれる低音に俺は力が抜けそうになる。
「ルーカス……忙しくて帰れない時もあるだろうが、こうして顔を見せてくれるのは嬉しい。可能なら何日かに一度着替えを持ってきてくれないだろうか?ルーカスが忙しくなければだが」
「勿論です。もしお会い出来なくてもシルフェ様にお渡しいただけるように受付の騎士様にお伝えください。アサド様にお会いできなければ中に入れなかったので……シルフェ様とお会いできて良かったです」
俺はシルフェ様にギュッと抱きつく。
温かい体温を服の上からでも感じられた。
「ルーカス、気をつけて帰ってくれ。フェイにもありがとうと伝えてくれると嬉しいが、また手紙を書くよ」
「俺も書きます。文字は上手くないですが。それと、シルフェ様、一つ買いたいものがあるのですがよろしいですか?できればシルフェ様の香水を1瓶買いたくて。支払いは自分でいたしますが、お店を教えてください。シルフェ様の香水はオーダーメイドですよね」
ふわりと香る爽やかな香り。
それが欲しいとねだってみると、シルフェ様は困った顔をした。
「私は特に何も付けていないんだが……使っている石鹸の香りだろうか」
そう言われて、こんなにも良い香りなのにと鼻を鳴らす。
「あ……」
ふと、思い当たることがあって俺はシルフェ様を見上げた。
シルフェ様がαだから、それを嗅ぎ分けているのかもしれない。
俺が好きな匂いだから、俺がシルフェ様に惹かれているからわかるのだろう。
「シルフェ様と同じ石鹸が欲しいですダーウェルさんにお願いしても?」
「勿論だ、その代わり私にもルーカスの香水が欲しいが」
「俺は、これです……お持ちになりますか?」
俺が取り出したのは小さな袋。
好きな匂いのする花を乾燥させてポプリにしたものをこうして袋に詰めて持っているのだ。
「いくつかありますので」
小袋を首から下げていたのを外すとシルフェ様の手に乗せる。
大切そうに小さな袋を握り締めたシルフェ様と軽いキスをしてから、そろそろ戻りますと俺は部屋を退出したのだった。
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