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77話
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「ルーカスすまない!」
駆け込んで来たのはシルフェ様だった。
「シルフェ様?」
座り掛けていたソファーから腰を浮かせると、シルフェ様は傍まで寄ってきてギュッと俺を抱き締める。
ふわりとシルフェ様の甘い香りがした。
「何かあったか?」
「……はい、フェイちょっとシルフェ様と二人きりにさせて?」
俺は背後のフェイに言葉を向けるとフェイは静かに応接間を出て行く。
それは、シルフェ様と二人になるのが目的ではなく誰かに会話を聞かれたくないため、部屋の外で待機をして欲しいと言う意味を言葉の外で感じ取ってくれたフェイ。
外に出て行くフェイの気配を感じながら俺は息を吐き出すと、シルフェ様を見上げた。
「まずは、こちらを。俺が焼いてきましたパウンドケーキです。作り過ぎてしまったので皆様で食べてください。毒見が必要ならば俺が食べてみせますが」
「そんな心配はしていないが……ルーカスが疲れていないか?」
シルフェ様の眼下にうっすらと出来た隈に、シルフェ様が睡眠不足なのを物語る。
「シルフェ様こそ、お疲れなのに申し訳ありません。手早くお伝えしてから帰りますね?」
俺はそっとシルフェ様の手を取り語り掛ける。
「ある筋から情報を得ました。開戦はひと月以内だそうです。この情報が外れてくれれはいいのですが……それと、もし開戦があったらこの手紙の封を切ってください……シルフェ様のお力になれると思います」
そう言う俺にシルフェ様は不思議そうな表情を浮かべた。
「父の……影からの情報です」
文房具屋の店主は、父の影の一人だ。それをフェイも知っている。
特殊なニュアンスを言葉の中に隠し、会話をすることで情報を教えてくれるのと同時に本当の文房具屋でもあるため、シルフェ様に買ったペンは最新のもの。
「そうか、アーデルハイド家の裏の情報網は素晴らしいと聞くが……」
「はい。でもあくまでも話半分で聞いていただけると嬉しいのですが……」
全部の情報に絶対は無い。だから、そんな話もあったなというくらいで聞いて欲しいのだ。
「それと、こちらはシルフェ様に……書類仕事をされる時にでもお使いください。中にペンが入っています……インク壺が要りませんのでどこででもお使いいただけますので」
そっとシルフェ様から離れて、机に置いておいたペンの包みを差し出すとシルフェ様はそれを大切そうに両手で受け取った。
「ありがとう、毎日ルーカスだと思って持ち歩くようにする」
「開けてみてください……シルフェ様の好みかはわかりませんが」
「いいのか?」
こくりと頷いた俺を見てからシルフェ様はリボンを解く。
そして箱を開くとシルフェ様は破顔した。
駆け込んで来たのはシルフェ様だった。
「シルフェ様?」
座り掛けていたソファーから腰を浮かせると、シルフェ様は傍まで寄ってきてギュッと俺を抱き締める。
ふわりとシルフェ様の甘い香りがした。
「何かあったか?」
「……はい、フェイちょっとシルフェ様と二人きりにさせて?」
俺は背後のフェイに言葉を向けるとフェイは静かに応接間を出て行く。
それは、シルフェ様と二人になるのが目的ではなく誰かに会話を聞かれたくないため、部屋の外で待機をして欲しいと言う意味を言葉の外で感じ取ってくれたフェイ。
外に出て行くフェイの気配を感じながら俺は息を吐き出すと、シルフェ様を見上げた。
「まずは、こちらを。俺が焼いてきましたパウンドケーキです。作り過ぎてしまったので皆様で食べてください。毒見が必要ならば俺が食べてみせますが」
「そんな心配はしていないが……ルーカスが疲れていないか?」
シルフェ様の眼下にうっすらと出来た隈に、シルフェ様が睡眠不足なのを物語る。
「シルフェ様こそ、お疲れなのに申し訳ありません。手早くお伝えしてから帰りますね?」
俺はそっとシルフェ様の手を取り語り掛ける。
「ある筋から情報を得ました。開戦はひと月以内だそうです。この情報が外れてくれれはいいのですが……それと、もし開戦があったらこの手紙の封を切ってください……シルフェ様のお力になれると思います」
そう言う俺にシルフェ様は不思議そうな表情を浮かべた。
「父の……影からの情報です」
文房具屋の店主は、父の影の一人だ。それをフェイも知っている。
特殊なニュアンスを言葉の中に隠し、会話をすることで情報を教えてくれるのと同時に本当の文房具屋でもあるため、シルフェ様に買ったペンは最新のもの。
「そうか、アーデルハイド家の裏の情報網は素晴らしいと聞くが……」
「はい。でもあくまでも話半分で聞いていただけると嬉しいのですが……」
全部の情報に絶対は無い。だから、そんな話もあったなというくらいで聞いて欲しいのだ。
「それと、こちらはシルフェ様に……書類仕事をされる時にでもお使いください。中にペンが入っています……インク壺が要りませんのでどこででもお使いいただけますので」
そっとシルフェ様から離れて、机に置いておいたペンの包みを差し出すとシルフェ様はそれを大切そうに両手で受け取った。
「ありがとう、毎日ルーカスだと思って持ち歩くようにする」
「開けてみてください……シルフェ様の好みかはわかりませんが」
「いいのか?」
こくりと頷いた俺を見てからシルフェ様はリボンを解く。
そして箱を開くとシルフェ様は破顔した。
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