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74話
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「フェイ、直ぐに降りていくから先に行ってて」
俺は髪を結い上げ、つばの広い帽子と、水色に濃紺の差し色の入ったロングのワンピースを選んだ。
訪問着としてはおかしくは無いはずだ。
清楚に見えるようにと、フェイに頼んで二人で選んだから満足している。
俺はフェイが出ていったのを確認してから机の引出しを開き小瓶の中の薬を飲んだ。
抑制剤。
それに、まだ首に巻いたままのベルト。
シルフェ様以外に噛まれる事が無いと思うけれど、まだ外す決意はない。
シルフェ様が、噛みたそうにしている所も見ないからどうしていいかわからないのだ。
噛んで下さいとも言えず、俺はついそのままにしてしまっている。
「お父様からの処方箋はいつ届くかな、あと7日分……毎日飲まなくてもいいからもう少し持つだろうけど」
俺の抑制剤は他人とは少し違うらしい。
「いけない、フェイを待たせちゃう」
ふと、我に返ると俺は瓶を机の引き出しに戻してから部屋を出た。
フェイに促されて馬車に乗る。
シルフェ様が使う馬車だと聞いて、そんないい物をと辞退しようとしたがダーウェルにもう用意をしてしまいましたからと押し切られた。
2頭引きでも目立つのに、あの時シルフェ様が来てくださった時の馬車とは内装が違う。
乗ればふわりと軟らかい座面。
侯爵家でも、ここまでいい馬車は無いため騎士団長という地位の高さを今更ながらに知った。
「ケーキと、手紙……それとペンはあるから大丈夫」
流石に焼きすぎた感のあるパウンドケーキ6本が入ったバスケット。
本当はこれに何か飲み物をと思ったけれどワイン等は持ち込まない方がいいかと、紅茶の缶を1つ用意して貰っているが、花街のアサド様との一件を思い出して笑ってしまった。
きっと、俺がいれるよりはシルフェ様の方が上手くやりそうな気さえする。
「ルーカス様、向かいます」
フェイの声が掛かると、ガタンと馬車が動き出した。
まだ、何度も見ていない城までの道程。
城に向かう途中から道を変えて進んだ先は城から直結する騎士団が駐屯する建物が見えてくる。
此処に居るのは勤務をする騎士達で、本当の騎士達が居住などをするのは山の端にある建物で、勤務前には通ってくるのだと聞いたことがある。
場社が止まり、フェイが何やら騎士とやりとりをしているのだろう、直ぐに済むと思っていたがそのやりとりに思ったよりも時間が掛かっている?
シルフェ様の手紙には話はしてあると書いてあったが、何かあったのだろうかと不安になったが、その理由は直ぐにわかった。
「フェイ、構いませんよ此処で待たせていただくか、物を預けて帰りましょう」
「ルーカス様」
きっと、ダーウェルの顔ならわかるのだろうが、フェイの顔を騎士達は知らずこの馬車でシルフェ様は出勤をしないのだろう。
きっと、シルフェ様は騎馬で出勤するのだろう。その姿が想像出来て笑ってしまった。
「フェイ、開けて?」
俺はフェイに馬車の扉を開けて貰うよう頼んだのだった。
俺は髪を結い上げ、つばの広い帽子と、水色に濃紺の差し色の入ったロングのワンピースを選んだ。
訪問着としてはおかしくは無いはずだ。
清楚に見えるようにと、フェイに頼んで二人で選んだから満足している。
俺はフェイが出ていったのを確認してから机の引出しを開き小瓶の中の薬を飲んだ。
抑制剤。
それに、まだ首に巻いたままのベルト。
シルフェ様以外に噛まれる事が無いと思うけれど、まだ外す決意はない。
シルフェ様が、噛みたそうにしている所も見ないからどうしていいかわからないのだ。
噛んで下さいとも言えず、俺はついそのままにしてしまっている。
「お父様からの処方箋はいつ届くかな、あと7日分……毎日飲まなくてもいいからもう少し持つだろうけど」
俺の抑制剤は他人とは少し違うらしい。
「いけない、フェイを待たせちゃう」
ふと、我に返ると俺は瓶を机の引き出しに戻してから部屋を出た。
フェイに促されて馬車に乗る。
シルフェ様が使う馬車だと聞いて、そんないい物をと辞退しようとしたがダーウェルにもう用意をしてしまいましたからと押し切られた。
2頭引きでも目立つのに、あの時シルフェ様が来てくださった時の馬車とは内装が違う。
乗ればふわりと軟らかい座面。
侯爵家でも、ここまでいい馬車は無いため騎士団長という地位の高さを今更ながらに知った。
「ケーキと、手紙……それとペンはあるから大丈夫」
流石に焼きすぎた感のあるパウンドケーキ6本が入ったバスケット。
本当はこれに何か飲み物をと思ったけれどワイン等は持ち込まない方がいいかと、紅茶の缶を1つ用意して貰っているが、花街のアサド様との一件を思い出して笑ってしまった。
きっと、俺がいれるよりはシルフェ様の方が上手くやりそうな気さえする。
「ルーカス様、向かいます」
フェイの声が掛かると、ガタンと馬車が動き出した。
まだ、何度も見ていない城までの道程。
城に向かう途中から道を変えて進んだ先は城から直結する騎士団が駐屯する建物が見えてくる。
此処に居るのは勤務をする騎士達で、本当の騎士達が居住などをするのは山の端にある建物で、勤務前には通ってくるのだと聞いたことがある。
場社が止まり、フェイが何やら騎士とやりとりをしているのだろう、直ぐに済むと思っていたがそのやりとりに思ったよりも時間が掛かっている?
シルフェ様の手紙には話はしてあると書いてあったが、何かあったのだろうかと不安になったが、その理由は直ぐにわかった。
「フェイ、構いませんよ此処で待たせていただくか、物を預けて帰りましょう」
「ルーカス様」
きっと、ダーウェルの顔ならわかるのだろうが、フェイの顔を騎士達は知らずこの馬車でシルフェ様は出勤をしないのだろう。
きっと、シルフェ様は騎馬で出勤するのだろう。その姿が想像出来て笑ってしまった。
「フェイ、開けて?」
俺はフェイに馬車の扉を開けて貰うよう頼んだのだった。
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