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49話

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「シルフェ様、あの……」
「ん?どうした?」
自分の額にふわりと息が掛かる。
甘いシルフェ様の香りに、心拍数が上がり本来目を閉じると眠りにつくのが早い俺はなかなか寝付けないでいた。
「やはり、俺があちらの寝台で」
「あちらは、汚してしまっただろう?それに、ソファーで寝るのは駄目だ」
背中を流しているうちに、シルフェ様に誘われてしまいその場と上がってきてから数回寝台の上で交わると、流石にこんな時間に寝台を直してもらうのは申し訳ないとその場で俺だけ眠ろうとしたら、シルフェ様に抱き上げられて二人で別の寝台で横になっている。
同じ寝台ではしっかり眠れないだろうと告げると、騎士はどんなに状況が悪くても眠ることはできると言われてしまい、挙げ句の果てには俺と一緒に眠るのは嬉しすぎて心拍数が上がるのだと。
確かに抱き締められているシルフェ様の胸からは少し早い鼓動が聞こえる。
「眠れないなら、なにか飲み物でも貰おうか?温めたミルクでも」
「シルフェ様、俺もう大人ですよ?」
「もう直ぐだろう?まだ、誕生日は迎えていない筈だが……っと、そうなると未成年に手を出していることになる……のか?」
今頃気付いたと額に手を当てたシルフェ様に、俺はクスクス笑ってしまった。
「俺、実は公にしている誕生日と実際の誕生日が違うんです……婚約者より年上だと外聞が悪いと言われ、春の誕生月から冬の誕生月へと無理矢理変えられてしまって……年齢は同じなんですが。なので問題ありません……婚約を破棄された時には年齢的にはもう大人の仲間入りをしていましたから」
発情があれば成人とする風潮もあるが、国が定める基準としては18歳で成人としている。
「俺は、ヒートも遅くて不安定でしたが……無かった訳では無いので。ただ、婚前では交わる事は良しとしなかったため、その……シルフェ様が初めての方で……」
喋っていて、段々と恥ずかしくなってきてしまい、最後の方はもごもごしてしまう。
「そうか、ルーカスには誕生日が二回もあるならこれから毎年祝うのが楽しみだな。今度くる成人の誕生日は盛大に行おう?それとも本来の誕生日二戻したいかい?」
恐らく、戸籍を操作されて俺の誕生日は書類上は変えられているだろう。
婚姻する時には全て明らかにされることなのだから。
「俺は特に……どちらでもいいですが、シルフェ様と実は本当の誕生日が近いのですよ。10日くらいの差異です」
確か、公式のガイドブックに記載されていた日付けは、春の桜が咲く頃。
桜に良く似た花弁を散らす下でのシルフェ様のスチルは綺麗だったななんて思い出していた。
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