33 / 131
32話
しおりを挟む
シルフェ様が気を放ってから少し休憩しながらもう2回交わると、空が少し明るくなり始めた。
「ルーカス嬢、眠っていいですよ」
寝台の上でシルフェ様に抱き締められている。
眠っていいと言われて、気だるく疲れた身体の瞼か重くなっている。
「夜が開けたらお見送りを……」
掠れた声でそう告げたが、シルフェ様からは気にしなくていいと言われた。
そうもいかないだろうと思うのに、身体は眠気に逆らえなかった。
「少しだけ……」
「構いませんよ、ゆっくりお眠りください」
温かい他人の体温が気持ちよくて、直ぐに意識を手放してからどのくらいたったのか、目を開いたその先にシルフェ様がいた。
「っ!」
声を上げそうになって慌てて口許を押さえると、その動いてしまったことでシルフェ様の睫毛が震えてそっと瞳が開いた。
「おはようございます、ルーカス嬢?身体は辛くはありませんか?」
「お、おはようございます……はい、大丈夫……そう?」
疑問系なのは、今は痛みはないけれど、倦怠感が酷いのだ。
「今日はゆっくりしてください」
優しく髪を撫でられると、その指先が気持ちいい。
「シルフェ様……お支度を!」
そう言えば何時だろうかと、時計を探すともう昼近くだった。
どれだけ眠ってしまっていたのだろうかと恥ずかしくなり、身体を起こそうとしてあらぬ場所が痛み起き上がることが出来ずに寝台に沈み込んだ。
「大丈夫でしょうか、私はもう2泊お邪魔しますから……お腹が空いてはいませんか?食事をいただいて来ましょうか。その前に綺麗にはしましたが、身体を拭いますか?」
「だ、大丈夫ですから……シルフェ様こそ、お食事にされるならいただいて参りますから」
「ルーカス嬢、動けないときには動けないと言ってください」
「では、シルフェ様お願いします」
「はい」
寝台から降りたシルフェ様は、手早く脱いであった服を身につけ始める。
しっかりとした筋肉に見惚れてしまっていた自分に気付くと、慌てて目を逸らす。
はしたないと、赤くなっただろう頬に手を当てた。
「パンなら食べられそうですか?」
ふと、声を掛けられて視線を上げると、すぐ傍にシルフェ様の顔があった。
「な、何でも大丈夫です」
上擦ってしまった声に、そうですかと微笑み離れていったシルフェ様は昨夜より少しだけ艶めかしく見えたのは気のせいでは無いと思う。
降りている髪型のせいかもしれない。
「では、行ってきますね」
そう言ったシルフェ様の顔が近付いてきてチュッと額にキスをされた。
まるでそれは物語の中に出てきた恋人たちのようだと思ってしまった。
「ルーカス嬢、眠っていいですよ」
寝台の上でシルフェ様に抱き締められている。
眠っていいと言われて、気だるく疲れた身体の瞼か重くなっている。
「夜が開けたらお見送りを……」
掠れた声でそう告げたが、シルフェ様からは気にしなくていいと言われた。
そうもいかないだろうと思うのに、身体は眠気に逆らえなかった。
「少しだけ……」
「構いませんよ、ゆっくりお眠りください」
温かい他人の体温が気持ちよくて、直ぐに意識を手放してからどのくらいたったのか、目を開いたその先にシルフェ様がいた。
「っ!」
声を上げそうになって慌てて口許を押さえると、その動いてしまったことでシルフェ様の睫毛が震えてそっと瞳が開いた。
「おはようございます、ルーカス嬢?身体は辛くはありませんか?」
「お、おはようございます……はい、大丈夫……そう?」
疑問系なのは、今は痛みはないけれど、倦怠感が酷いのだ。
「今日はゆっくりしてください」
優しく髪を撫でられると、その指先が気持ちいい。
「シルフェ様……お支度を!」
そう言えば何時だろうかと、時計を探すともう昼近くだった。
どれだけ眠ってしまっていたのだろうかと恥ずかしくなり、身体を起こそうとしてあらぬ場所が痛み起き上がることが出来ずに寝台に沈み込んだ。
「大丈夫でしょうか、私はもう2泊お邪魔しますから……お腹が空いてはいませんか?食事をいただいて来ましょうか。その前に綺麗にはしましたが、身体を拭いますか?」
「だ、大丈夫ですから……シルフェ様こそ、お食事にされるならいただいて参りますから」
「ルーカス嬢、動けないときには動けないと言ってください」
「では、シルフェ様お願いします」
「はい」
寝台から降りたシルフェ様は、手早く脱いであった服を身につけ始める。
しっかりとした筋肉に見惚れてしまっていた自分に気付くと、慌てて目を逸らす。
はしたないと、赤くなっただろう頬に手を当てた。
「パンなら食べられそうですか?」
ふと、声を掛けられて視線を上げると、すぐ傍にシルフェ様の顔があった。
「な、何でも大丈夫です」
上擦ってしまった声に、そうですかと微笑み離れていったシルフェ様は昨夜より少しだけ艶めかしく見えたのは気のせいでは無いと思う。
降りている髪型のせいかもしれない。
「では、行ってきますね」
そう言ったシルフェ様の顔が近付いてきてチュッと額にキスをされた。
まるでそれは物語の中に出てきた恋人たちのようだと思ってしまった。
302
お気に入りに追加
903
あなたにおすすめの小説
【完結】攻略は余所でやってくれ!
オレンジペコ
BL
※4/18『断罪劇は突然に』でこのシリーズを終わらせて頂こうと思います(´∀`*)
遊びに来てくださった皆様、本当に有難うございました♪
俺の名前は有村 康太(ありむら こうた)。
あり得ないことに死んだら10年前に亡くなったはずの父さんの親友と再会?
え?これでやっと転生できるって?
どういうこと?
死神さん、100人集まってから転生させるって手抜きですか?
え?まさかのものぐさ?
まあチマチマやるより一気にやった方が確かにスカッとはするよね?
でも10年だよ?サボりすぎじゃね?
父さんの親友は享年25才。
15で死んだ俺からしたら年上ではあるんだけど…好みドンピシャでした!
小1の時遊んでもらった記憶もあるんだけど、性格もいい人なんだよね。
お互い死んじゃったのは残念だけど、転生先が一緒ならいいな────なんて思ってたらきましたよ!
転生後、赤ちゃんからスタートしてすくすく成長したら彼は騎士団長の息子、俺は公爵家の息子として再会!
やった~!今度も好みドンピシャ!
え?俺が悪役令息?
妹と一緒に悪役として仕事しろ?
そんなの知らねーよ!
俺は俺で騎士団長の息子攻略で忙しいんだよ!
ヒロインさんよ。攻略は余所でやってくれ!
これは美味しいお菓子を手に好きな人にアタックする、そんな俺の話。
謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません
柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。
父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。
あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない?
前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。
そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。
「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」
今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。
「おはようミーシャ、今日も元気だね」
あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない?
義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け
9/2以降不定期更新
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。
魔王様の瘴気を払った俺、何だかんだ愛されてます。
柴傘
BL
ごく普通の高校生東雲 叶太(しののめ かなた)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。
そこで初めて出会った大型の狼の獣に助けられ、その獣の瘴気を無意識に払ってしまう。
すると突然獣は大柄な男性へと姿を変え、この世界の魔王オリオンだと名乗る。そしてそのまま、叶太は魔王城へと連れて行かれてしまった。
「カナタ、君を私の伴侶として迎えたい」
そう真摯に告白する魔王の姿に、不覚にもときめいてしまい…。
魔王×高校生、ド天然攻め×絆され受け。
甘々ハピエン。
【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした
エウラ
BL
どうしてこうなったのか。
僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。
なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい?
孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。
僕、頑張って大きくなって恩返しするからね!
天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。
突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。
不定期投稿です。
本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。
【完結】お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません
八神紫音
BL
やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。
そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。
【完結】魔力至上主義の異世界に転生した魔力なしの俺は、依存系最強魔法使いに溺愛される
秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)
BL
【概要】
哀れな魔力なし転生少年が可愛くて手中に収めたい、魔法階級社会の頂点に君臨する霊体最強魔法使い(ズレてるが良識持ち) VS 加虐本能を持つ魔法使いに飼われるのが怖いので、さっさと自立したい人間不信魔力なし転生少年
\ファイ!/
■作品傾向:両片思い&ハピエン確約のすれ違い(たまにイチャイチャ)
■性癖:異世界ファンタジー×身分差×魔法契約
力の差に怯えながらも、不器用ながらも優しい攻めに受けが絆されていく異世界BLです。
【詳しいあらすじ】
魔法至上主義の世界で、魔法が使えない転生少年オルディールに価値はない。
優秀な魔法使いである弟に売られかけたオルディールは逃げ出すも、そこは魔法の為に人の姿を捨てた者が徘徊する王国だった。
オルディールは偶然出会った最強魔法使いスヴィーレネスに救われるが、今度は彼に攫われた上に監禁されてしまう。
しかし彼は諦めておらず、スヴィーレネスの元で魔法を覚えて逃走することを決意していた。
王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる