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30話

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「ルーカス嬢、いけませんよ」
口許を抑えた手を掴まれて頭上に纏められる。
開かされていた足は、そのままゆっくりと寝台に触れた。
「でも……」
「言ったでしょう?貴方の声を聞きたいのですよ」
そう言われてそっと目を逸らした。
「……っ」
「ほら、唇を噛むのもいけません。ルーカス嬢気持ちよくて声が出るのは良いことですよ?私も気を抜くと声を漏らしてしまうことがありますから」
押さえられた手から力が抜ける。
「シルフェさまも?」
「えぇ、気持ちがいいと思わなければこのような行為は辛いだけですし、ルーカス嬢が気持ちいいと感じてくれるならもっと気持ち良くして差し上げたい……いかがですか?」
身元で囁かれる言葉にぴくりと反応しながら俺はシルフェ様を見上げた。
確かに前回もそうだった。無意識に上げてしまっていた矯声をシルフェ様は咎めなかった。
「それに、声を出した方が気が紛れるとも言いますし?」
そんな会話をしながらも、シルフェ様はタイミングを見計らいながらゆっくりと腰を進めてくる。
それに俺の身体は反応している。
「ルーカス嬢……ふ……っ」
シルフェ様が一瞬息を詰めた。
その時に漏れた声が艶やかな色を纏う。
シルフェ様の語り声も聞き取り安くどきりとした艶があるのだが、その一瞬は格別な声音だった。
「シルフェ様の声、好きです……」
もっと、こんな関係になる前に沢山色々な事をお話できていれば良かった。
俺が王子の婚約者でなければ。
春を売る相手でなければ。
でも、そんなことを言っても仕方がない。
「そうですが、それは嬉しいですね……私がどれ程気持ちいいかわかっていただけそうですね?」
くすりと笑うシルフェ様がぐぐっと最後の距離をつめてきた。
「ひゃあっ!」
ぐんっと押し込まれた感触に一番奥の指すら届かなかった部分が刺激された。
「これで全てですが……最奥に届いていそうですね」
軽く腰を振ったシルフェ様の先端が、お腹の奥に当たっているような感触があるのだが、全てがギリギリまで開き俺はそれどころではない。
快楽も痛みも苦しさもごちゃ混ぜの感覚に襲われて、息すらろくにできず、水上の魚のように口を開いたり閉じたりしかできない。
上手く呼吸が出来ない。
「ルーカス嬢、ゆっくり呼吸をしてください大丈夫ですから」
シルフェ様の声に俺はこくりと頷いてゆっくり呼吸の仕方を思い出すように目を伏せた。
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