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23話

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軽々と抱き上げられてから寝台へと戻される。
上気したシルフェ様の顔に触れると、首筋に唇が降ってきた。
触れた唇が熱く感じると同時に快楽が身体を這い、気を吐きそうになる。

「シルフェさま、ダメ……」

あくまでも、自分が満足させる側なのだ。
こんなにもしてもらうなど、いけないことだと思うのに。

「私がしたいことをしているのに駄目なのかい?」
「違……シルフェ様にご満足いただかないと……」

辛うじて絞り出した声に、シルフェの声は嬉しそうに弾んでいた。

「もう、私は満足ですよ?ルーカス嬢の愛らしい姿を見せていただくだけで、願わくばもっともっと見たいのですが?」
「でも……私の初めてをシルフェ様に……」

そう言った瞬間、シルフェはにこりと笑うと無言で覆い被さってくる。
色々な場所に唇が触れて、足を開かされその奥まで。
シルフェの甘いフェロモンに、自分の身体がトロトロに反応して指を受け入れ、更にその奥誰も触れた事のない感点に触れられると、目の前に星が飛んで触れなかった自身から気が溢れる。
口からは自分の声ではないような、甘く鼻に掛かった声が断続的に漏れていった。

「やっ……あぁ……駄目、シルフェさまぁ……」
「それは、イイのですよ。可愛い……」
「また、出ちゃ……」
「たくさん達ってくださいね?」

それからどのくらい経っただろうか。
何度も白濁を吐き出し、あられもない声を上げてしまい、それでもなかなかシルフェの甘い攻め苦は終わらずにいて、とうとう俺は交わる前に意識を手放してしまった。
そして、目を覚ますとシルフェはもう居なかった。
テーブルには食事が一人分乗ってはいたが、冷めていた。
身体は綺麗に拭かれており、寝台も整えられていた。
まるであの激しかった行為が無かったかのように。
全身に気だるい疲れは残っていたが、話に聞く鈍い腰の痛みは無く、やはりシルフェには抱かれなかったのだと落ち込んだ。
やはり俺では満足させられなかったのだろうと。

「次のご主人様に貰われるのかな」

泣き言を言ったって仕方ない。
毎日店に出て買われた先で奉仕をするのが定めなのだから。
食事をして身体を整えて、夜を待つ。
そんな自分に楼主から言われたことは

「次に声がかかるまで、店には出なくていい」

最初は意味がわからずキョトンとしていたが、理解すると血の気が引いた気がした。
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