上 下
21 / 131

20話

しおりを挟む
「んっ……ふ、ぁ」

シルフェの唇が首筋から鎖骨を通る。
鋭い刺激が次第に甘やかなものに変化していく。
甘く香っていたフェロモンが、少しだけ薄れた気がした。

「シルフェさま……」
「あぁ、すみません年甲斐もなく暴走するところでした」

顔を上げたシルフェはぺろりと唇を舐める。その仕草が扇情的で無意識に目を伏せた。
αとの情交は皆がこうなるのだろうか。

「ルーカス嬢は、初めてなのですね?」

シルフェが喉のリボンを撫でる。
噛まれることで番になるのを止めるための安全装置。

「はい……んんっ」

シルフェの指先が胸を触り、突起に軽く爪がかかる。
穏やかになりかけていた刺激が強くなった。
片方は指先で転がされ、もう片方にはシルフェの唇が触れて、その赤い舌がちらりと見えた。
一瞬こちらを見たシルフェの長い睫毛に縁取られた瞳が細められた瞬間、チュッと吸い上げられた。

「ひゃあっ!」

侍従たちに入浴を手伝ってもらう事は普通にあるが、こんな感覚は初めてで。
どうしてという困惑と、少しばかりの恐怖。
知識としてはある筈なのに頭がついていかないのだ。
音がするわけではないのにシルフェの指が動く度に頭の中に引っ掛かれるような小さな音がして、摘ままれ舐められる度に断続的に痺れが身体を抜けて行った。

「あ、んぅ」

口からは意味の無い声が漏れるのが恥ずかしくて、それでも声を漏らす度にシルフェのフェロモンの濃さが変わるように感じた。

「凄いな……甘い匂いがしますね、くらくらする」

チュッと、胸に吸い付いていたシルフェが顔を上げこちらを見てくる。
甘い匂いがするのは俺だけじゃない?

「シルフェ様からも甘い香りが……先程から、ずっと……」
「私が?」
「はい……今まで嗅いだことのない……とても甘い香りです」

こくこくと頷くと、シルフェ様は何故か嬉しそうに笑う。
止められてしまった胸への愛撫にもどかしさを感じて小さく腰が揺れた。
それにシルフェが気付いたのか、身体を少しずらすと起き上がり自然な動作で俺の片膝を曲げながら開かせた。
そしてその足の間に身体を滑り込ませるともう片方も膝を曲げさせる。

「っ!」

自分の一番弱い部分が晒されている。
こちらからは服の裾では見えないが、シルフェからは全てが見えているのだろう。

「これは、素敵な眺めですね……ルーカス嬢には白いレースが良く似合う」

するすると脱がされた服の下は1枚の腰を覆う小さな白いレースの下着だった。
伸縮性のある生地でできているのだが、生地は薄く身体のラインに沿ったもので、腰から太股迄を包むようにできている。
もちろん伸縮性があるため、脱がせやすいものではあるのだけれど。

「あまり、見ないでくださ……」

恥ずかしいのだ。
腰の奥に火が灯るような感覚に膝を擦り合わせようとして、その膝の間にシルフェがいる。
どうしていいかわからない。
俺は無意識に敷布を握った。

しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

彼の至宝

まめ
BL
十五歳の誕生日を迎えた主人公が、突如として思い出した前世の記憶を、本当にこれって前世なの、どうなのとあれこれ悩みながら、自分の中で色々と折り合いをつけ、それぞれの幸せを見つける話。

三度目の人生は冷酷な獣人王子と結婚することになりましたが、なぜか溺愛されています

倉本縞
BL
エルガー王国の王子アンスフェルムは、これまで二回、獣人族の王子ラーディンに殺されかかっていた。そのたびに時をさかのぼって生き延びたが、三回目を最後に、その魔術も使えなくなってしまう。 今度こそ、ラーディンに殺されない平穏な人生を歩みたい。 そう思ったアンスフェルムは、いっそラーディンの伴侶になろうと、ラーディンの婚約者候補に名乗りを上げる。 ラーディンは野蛮で冷酷な獣人の王子と噂されていたが、婚約者候補となったアンスフェルムを大事にし、不器用な優しさを示してくれる。その姿に、アンスフェルムも徐々に警戒心を解いてゆく。 エルガー王国がラーディンたち獣人族を裏切る未来を知っているアンスフェルムは、なんとかそれを防ごうと努力するが……。

学園の俺様と、辺境地の僕

そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ? 【全12話になります。よろしくお願いします。】

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

前世が俺の友人で、いまだに俺のことが好きだって本当ですか

Bee
BL
半年前に別れた元恋人だった男の結婚式で、ユウジはそこではじめて二股をかけられていたことを知る。8年も一緒にいた相手に裏切られていたことを知り、ショックを受けたユウジは式場を飛び出してしまう。 無我夢中で車を走らせて、気がつくとユウジは見知らぬ場所にいることに気がつく。そこはまるで天国のようで、そばには7年前に死んだ友人の黒木が。黒木はユウジのことが好きだったと言い出して―― 最初は主人公が別れた男の結婚式に参加しているところから始まります。 死んだ友人との再会と、その友人の生まれ変わりと思われる青年との出会いへと話が続きます。 生まれ変わり(?)21歳大学生×きれいめな48歳おっさんの話です。 ※軽い性的表現あり 短編から長編に変更しています

【完結】浮薄な文官は嘘をつく

七咲陸
BL
『薄幸文官志望は嘘をつく』 続編。 イヴ=スタームは王立騎士団の経理部の文官であった。 父に「スターム家再興のため、カシミール=グランティーノに近づき、篭絡し、金を引き出せ」と命令を受ける。 イヴはスターム家特有の治癒の力を使って、頭痛に悩んでいたカシミールに近づくことに成功してしまう。 カシミールに、「どうして俺の治癒をするのか教えてくれ」と言われ、焦ったイヴは『カシミールを好きだから』と嘘をついてしまった。 そう、これは─── 浮薄で、浅はかな文官が、嘘をついたせいで全てを失った物語。 □『薄幸文官志望は嘘をつく』を読まなくても出来る限り大丈夫なようにしています。 □全17話

ヒロインの兄は悪役令嬢推し

西楓
BL
異世界転生し、ここは前世でやっていたゲームの世界だと知る。ヒロインの兄の俺は悪役令嬢推し。妹も可愛いが悪役令嬢と王子が幸せになるようにそっと見守ろうと思っていたのに…どうして?

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

処理中です...