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19話

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シルフェの唇が触れた瞬間、稲妻が走ったような強い衝撃があり、息が止まるかと思った。
シルフェの目付きが変わる。

「はっ……あぁっ」

発情したような強い衝撃。
今まではこんなにも強い発情は経験がない。
発情も大体は薬で抑えられたため、辛いことも少なかった。
強く甘い香りが鼻孔をくすぐるのは、これがαの発情誘発フェロモンなのだろうか。
息をするのも辛い。
身体が全て敏感になっているのだ。
シルフェの肌を撫でる指が通った道筋に熱い線ができる。
まるで火傷を負ったようにも感じるチリチリとした痛みは快楽へと変わる。

「やっ……ぁ」

これが抱かれると言うことなのか。

「ルーカス嬢?その声……」

声と言われて慌てて口を閉じる。
声をあげてはいけなかったのだ。

「申し訳……っ!」

自然と漏れてしまう声を止めようとするが、そうすると身体が自分の意思とは反対に痙攣をするように跳ねる。


「んっ」

気持ちいい。

「声を我慢しないで……でも、ルーカス嬢の声は私の脳髄まで刺激をするような甘い声ですね」

シルフェの言葉に伏せていた瞳を開くと、其処には淡く美しい黄緑色の瞳があった。
指先に力を入れても、小刻みに震える身体。

「は……ぅあ……」

声を出せると熱も一緒に吐き出すのか、少しだけ身体の痙攣が治まるようだ。

「可愛いですね、気持ちがいい?」

シルフェの大きな手がするりと頬を撫でていく。
顎をあげられて息を吐き出すと、こくりと頷いた。

「……ルフェさま……イイです……おかしくなってしまいま……す」

偽りのない本当の気持ち。
初めての受けたこともない快楽に引きずり込まれてしまいそうな感覚。

「初めてなのに……」
「初めて?」

繰り返された言葉にこくりと頷く。
発情した時だってこんなになることはなかった。
きっと色々な場所が濡れているだろう。
はしたないとは思いつつも、もっとして欲しいと思うのだ。

「なら、特別な夜にしないといけないね。思い出に残るくらい……初めての相手が私だということを後悔させたくないから、少し頑張りますね?」

シルフェが嬉しそうに破願してから、首筋へと吸い付いてきた。
チリッと走る痛みに声を上げる。

「シルフェさま」

鼻にかかり甘ったれた声は、自分の声とは違う気がした。
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