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「姉上、可愛らしいですね、ちいさい」
アルフレッドは、赤子を見るのは初めてだった。
自分には弟も妹も居ないからだ。
ましてや王宮内で子育てをする物がいるわけがないし、まだそれほど王宮の外に出ることもない。
「アルフレッドに抱かせるのは難しいかしらね…見ているだけにしてくれる?」
ごめんなさいねとフェンリエッタは謝った。
子供のことだから、抱きたいだろうが、いくら生まれて1年も経たないと言っても赤子は重い。
どちらに何かあっても困るため、抱くのは断念して貰った。
アルフレッドもわかっているのだろう、頷くとベッドの柵からなかを見ているだけだ。
珍しいものを見ているようで、異母弟も双子も可愛らしい。
「でも、アルフレッドもこんなにちいさかったときもあるのよ?」
「えぇ……そうなのですか?」
信じられないと声を上げたアルフレッドに、フェンリエッタはにこりと笑う。
「でも、それなら僕も義兄うえみたく大きくなれますか?」
「ふふ、どうかしらね?
お父様は大きな方だからなれるかもしれないけれど、アルフレッドが好き嫌いをせずに何でもたくさん食べて良く運動をすればぐんぐんと背が伸びるかもしれないわね?」
だが、フェンリエッタの目にはアルフレッドは父親よりも義母親に似ている気がして、その辺りはどうだろうと思っている。
だが、見た目ではなく本当のアルフレッドの性格を好きになってくれる人ができたらいいなと思っているのだ。
自分達があのような出逢いをしたのだから、辛い思いはしてほしくない。
フェンリエッタはそっとアルフレッドを抱き締める。
「失礼いたします、王妃様。レティシア様がいらっしゃいました」
「あら、レティシア様が?アルフレッド、ベルナルド様の姪で年齢も近い方ですが会ってみる?」
フェンリエッタは、どうするかと問い掛ける。
アルフレッドは少しだけ考えた後で小さく頷いた。
☆☆☆☆☆☆☆
アルフレッドメインでしたがフェンリエッタ目線で進ませました。
次回からはアルフレッド目線で書きますのでお楽しみに!
アルフレッドは、赤子を見るのは初めてだった。
自分には弟も妹も居ないからだ。
ましてや王宮内で子育てをする物がいるわけがないし、まだそれほど王宮の外に出ることもない。
「アルフレッドに抱かせるのは難しいかしらね…見ているだけにしてくれる?」
ごめんなさいねとフェンリエッタは謝った。
子供のことだから、抱きたいだろうが、いくら生まれて1年も経たないと言っても赤子は重い。
どちらに何かあっても困るため、抱くのは断念して貰った。
アルフレッドもわかっているのだろう、頷くとベッドの柵からなかを見ているだけだ。
珍しいものを見ているようで、異母弟も双子も可愛らしい。
「でも、アルフレッドもこんなにちいさかったときもあるのよ?」
「えぇ……そうなのですか?」
信じられないと声を上げたアルフレッドに、フェンリエッタはにこりと笑う。
「でも、それなら僕も義兄うえみたく大きくなれますか?」
「ふふ、どうかしらね?
お父様は大きな方だからなれるかもしれないけれど、アルフレッドが好き嫌いをせずに何でもたくさん食べて良く運動をすればぐんぐんと背が伸びるかもしれないわね?」
だが、フェンリエッタの目にはアルフレッドは父親よりも義母親に似ている気がして、その辺りはどうだろうと思っている。
だが、見た目ではなく本当のアルフレッドの性格を好きになってくれる人ができたらいいなと思っているのだ。
自分達があのような出逢いをしたのだから、辛い思いはしてほしくない。
フェンリエッタはそっとアルフレッドを抱き締める。
「失礼いたします、王妃様。レティシア様がいらっしゃいました」
「あら、レティシア様が?アルフレッド、ベルナルド様の姪で年齢も近い方ですが会ってみる?」
フェンリエッタは、どうするかと問い掛ける。
アルフレッドは少しだけ考えた後で小さく頷いた。
☆☆☆☆☆☆☆
アルフレッドメインでしたがフェンリエッタ目線で進ませました。
次回からはアルフレッド目線で書きますのでお楽しみに!
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