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34話
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馬車が止まる。
扉か開いたその先にはずらりと並んだ近衛騎士。
フェンリエッタ達を捕縛できるようにと並んでいるように見えるが、それは心配しなくてもいいだろう。
何せ、そのトップに立つのは馬車と並走してきたラウル叔父様なのだから。
「道を開けろ」
ラウルの言葉に一斉に騎士達は道を作る。
その入口までの道のりを侯爵を先頭に5人が歩いていく。
その扉の前でひとり男性が立っていた。
父親と何やら視線を交わし頷き合うと扉を開けてくれる。
「ゲンティアナ侯爵様並びに婦人、ご令嬢、リコリス卿がお見えになりました」
そう声を掛けてくれた男性は、こちらに軽く礼をすると、くるりと外を向き直した。
赤いカーペットの両脇には騎士が等間隔で立つ。
その間をフェンリエッタは前だけを見据えて歩いていく。
「陛下は中に?」
謁見の間を通り越したその先、応接間の扉が開いている。
立ち止まった侯爵が、入口手前の騎士に聞く。
「いえ、まだいらっしゃっておりません」
「そうか…ゲンティアナ騎士団長、我々は長くは待たない。半刻以上待たせるのであれば、交渉は決裂と伝えてくれ」
「了解」
昨夜のうちに渡してあるのだろう回答を、ラウルはポケットを確認してから行ってくると踵を返した。
「さて、どのくらい待つのか…ゆっくりしようか」
「えぇ、フェンリエッタもいらっしゃい、待たせるのだものお茶くらいはでましてよねぇ?」
ちらりと義母が扉の方を見ると、只今!とばかりに近くに居た近衛騎士が駆けていく。
義母はまだまだねぇとコロコロ笑っていた。
「お父様…」
「直ぐに来なかったから、今日はあちらが待たせてやろうと思っているのだろうけれど、こちらは待たないからね?」
「取り敢えず此処にこちらからの要請は書いてあるから、読んでみる?」
義母がドレスの中…まさか、胸の間?から取り出したのは1枚の紙。
ベルナルドと中を読むと、無理難題が書いてあった。
まさか、本当に?
「あら、フェンリエッタちゃんを虐めたのだもの…許さないわよ?王家のボンクラも、あのヒュアキントスもね?その程度の事ができないのなら潰れておしまいなさい」
赤く染めた唇を弓のようにして笑みを作った義母は扇を口許に当てて嗤う。
父もその義母を見ながら肩を竦めた。
…国家予算の3割を即座に返却すること。
最後の1文にフェンリエッタの背中はゾクゾクした。
扉か開いたその先にはずらりと並んだ近衛騎士。
フェンリエッタ達を捕縛できるようにと並んでいるように見えるが、それは心配しなくてもいいだろう。
何せ、そのトップに立つのは馬車と並走してきたラウル叔父様なのだから。
「道を開けろ」
ラウルの言葉に一斉に騎士達は道を作る。
その入口までの道のりを侯爵を先頭に5人が歩いていく。
その扉の前でひとり男性が立っていた。
父親と何やら視線を交わし頷き合うと扉を開けてくれる。
「ゲンティアナ侯爵様並びに婦人、ご令嬢、リコリス卿がお見えになりました」
そう声を掛けてくれた男性は、こちらに軽く礼をすると、くるりと外を向き直した。
赤いカーペットの両脇には騎士が等間隔で立つ。
その間をフェンリエッタは前だけを見据えて歩いていく。
「陛下は中に?」
謁見の間を通り越したその先、応接間の扉が開いている。
立ち止まった侯爵が、入口手前の騎士に聞く。
「いえ、まだいらっしゃっておりません」
「そうか…ゲンティアナ騎士団長、我々は長くは待たない。半刻以上待たせるのであれば、交渉は決裂と伝えてくれ」
「了解」
昨夜のうちに渡してあるのだろう回答を、ラウルはポケットを確認してから行ってくると踵を返した。
「さて、どのくらい待つのか…ゆっくりしようか」
「えぇ、フェンリエッタもいらっしゃい、待たせるのだものお茶くらいはでましてよねぇ?」
ちらりと義母が扉の方を見ると、只今!とばかりに近くに居た近衛騎士が駆けていく。
義母はまだまだねぇとコロコロ笑っていた。
「お父様…」
「直ぐに来なかったから、今日はあちらが待たせてやろうと思っているのだろうけれど、こちらは待たないからね?」
「取り敢えず此処にこちらからの要請は書いてあるから、読んでみる?」
義母がドレスの中…まさか、胸の間?から取り出したのは1枚の紙。
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まさか、本当に?
「あら、フェンリエッタちゃんを虐めたのだもの…許さないわよ?王家のボンクラも、あのヒュアキントスもね?その程度の事ができないのなら潰れておしまいなさい」
赤く染めた唇を弓のようにして笑みを作った義母は扇を口許に当てて嗤う。
父もその義母を見ながら肩を竦めた。
…国家予算の3割を即座に返却すること。
最後の1文にフェンリエッタの背中はゾクゾクした。
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