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私はフェンリエッタ・ゲンティアナ。
ゲンティアナ侯爵家の長女であり、この王国ルピナスの第2王子であるフェルディナンド・ルビナス王子の婚約者である。
私もフェルディナンド王子も16歳。
貴族ならば必ず入学し社交を学ぶ王立学院の卒業年齢であり、互いに成人の儀式を終えて晴れて結婚となる。
フェルディナンド王子にはこれと言って恋愛感情は無かったが、王国の発展のため国や王子に尽くしていく覚悟はできていた。
それがある日を境に私の運命を変えてしまった。
どうしてこうなったのかしら。何度考えてもわからない。
☆☆☆☆☆☆☆
「フェン、いやフェンリエッタ、お前との婚約を解消する。証人は此処にいる全生徒だ」
何を言い出すのだろうかと、私は目の前の王子を見据えた。
艶やかな金髪を軽く1つに結び、これでもかとゴテゴテした盛装を見せびらかすように纏っているのは、自分が王子だぞアピールなのだろうか。
その王子が右手に持っているのは白い用紙。
細かな文字まで見えなくてもその紋章の色や配置から、婚約証書だとわかる。
そして、左手には可愛らしい少女が腰の辺りにくっつき、それを抱くように支えていた。
「フェルディナンド様、何を仰っているのかわかりませんが……」
フェンリエッタは声音を変えずに口許に扇子を広げた。
「煩い、お前との婚約は破棄をするんだ」
周囲の目が自分に集まるのがわかる。
この場は卒業前夜の舞踏会会場。
王立学院の卒業生全員が一堂に会し、深夜まで踊る最後のイベントだった。
此処で繋がりを広めていくのも良し、恋人を作るのも良し。
卒業してからは作れないような関係を作る最後の場所。
「理由をお聞かせください」
私は驚かなかった。
フェルディナンド様の腰に引っ付いているのはマリア・ヒュアキントス。
ヒュアキントス男爵家の令嬢だった。
明るくくるくると巻いた肩までの茶色い髪。
胸元にたっぷりの花をあしらった鮮やかな黄色のドレスは華やかに、目の前のフェルディナンド王子の衣装と対になる色合いの物だった。
各言う私は王子の方から指定のあった紫を基調にしたドレスだった。
明らかに色が合わない。
ふふんと鼻で笑う王子の表情に、溜め息を吐きそうになるのを堪えるのがやっとで、王子が次に起こす行動を察知できなかったのは私の判断が遅かったのだ。
「理由など、見てわかるだろうに。
お前とは紙1枚での繋がりだが、俺にはマリアという愛する女性がいる。
だから、お前との婚約は破棄する」
マリアの腰から手を離し、フェルディナンド王子は白い手袋を填めた手で、右手に持っていた婚約証書をビリビリと破いたのだった。
ゲンティアナ侯爵家の長女であり、この王国ルピナスの第2王子であるフェルディナンド・ルビナス王子の婚約者である。
私もフェルディナンド王子も16歳。
貴族ならば必ず入学し社交を学ぶ王立学院の卒業年齢であり、互いに成人の儀式を終えて晴れて結婚となる。
フェルディナンド王子にはこれと言って恋愛感情は無かったが、王国の発展のため国や王子に尽くしていく覚悟はできていた。
それがある日を境に私の運命を変えてしまった。
どうしてこうなったのかしら。何度考えてもわからない。
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「フェン、いやフェンリエッタ、お前との婚約を解消する。証人は此処にいる全生徒だ」
何を言い出すのだろうかと、私は目の前の王子を見据えた。
艶やかな金髪を軽く1つに結び、これでもかとゴテゴテした盛装を見せびらかすように纏っているのは、自分が王子だぞアピールなのだろうか。
その王子が右手に持っているのは白い用紙。
細かな文字まで見えなくてもその紋章の色や配置から、婚約証書だとわかる。
そして、左手には可愛らしい少女が腰の辺りにくっつき、それを抱くように支えていた。
「フェルディナンド様、何を仰っているのかわかりませんが……」
フェンリエッタは声音を変えずに口許に扇子を広げた。
「煩い、お前との婚約は破棄をするんだ」
周囲の目が自分に集まるのがわかる。
この場は卒業前夜の舞踏会会場。
王立学院の卒業生全員が一堂に会し、深夜まで踊る最後のイベントだった。
此処で繋がりを広めていくのも良し、恋人を作るのも良し。
卒業してからは作れないような関係を作る最後の場所。
「理由をお聞かせください」
私は驚かなかった。
フェルディナンド様の腰に引っ付いているのはマリア・ヒュアキントス。
ヒュアキントス男爵家の令嬢だった。
明るくくるくると巻いた肩までの茶色い髪。
胸元にたっぷりの花をあしらった鮮やかな黄色のドレスは華やかに、目の前のフェルディナンド王子の衣装と対になる色合いの物だった。
各言う私は王子の方から指定のあった紫を基調にしたドレスだった。
明らかに色が合わない。
ふふんと鼻で笑う王子の表情に、溜め息を吐きそうになるのを堪えるのがやっとで、王子が次に起こす行動を察知できなかったのは私の判断が遅かったのだ。
「理由など、見てわかるだろうに。
お前とは紙1枚での繋がりだが、俺にはマリアという愛する女性がいる。
だから、お前との婚約は破棄する」
マリアの腰から手を離し、フェルディナンド王子は白い手袋を填めた手で、右手に持っていた婚約証書をビリビリと破いたのだった。
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