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2章
19話
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「神子様が着る為のお召し物です。良くお似合いですよ?」
ニコニコと笑うセラフィナ。
だが、俺の顔は引き攣っている。
それはどう見たっておとぎ話に出てくるような踊り子に似た服だった。
薄い布が胸の前で交差しているだけの心許ない上半身に、下は前に布を垂らし、足首までのニッカボッカみたいなズボンはこれまた肌が透けて見える程の薄い布だ。
しかも、布の色は全て白。
色々と大切な部分が見えてしまいそうで焦る。
「嫌だ、こんな服なら神殿なんか行かない」
上半身ならまだ大丈夫だが、流石に……。
「ミオリ様……」
困ったセラフィナの表情を見ると、ズキンと胸が痛むが流石にアラサーの中身の俺が羞恥心が無くてどうするんだ。
「……だって……セラフィナだったらこの服着たいか?」
こんな透け透けの服、ビジュアル的に美人な女性ならいいけれど、確実にアウトだろ。
それに、俺の裸体に近い姿を見て、誰得なんだって……。
「ミオリ?何をぐずぐずしてるんだ?」
部屋に入ってきたのはカミーユで、俺の姿を見ると目を細め視線を逸らした。
ほら、だから見るに堪えないんだってば!
「この格好で神殿に行かなきゃならないのかよ」
「……あぁ、神子はそうなっている」
「でも、俺はこんな格好じゃ行きたくない……歩けないよ」
鏡など無いからどうなっているのかわからない。
あっても見たくないけれど。
「歩かなきゃいいのか?ならほら」
ふわりと抱き上げられたお姫様抱っこ。
何回目だよこれ!
「まっ、カミーユ!」
足をバタバタさせると、セラフィナが慌てて靴を履かせてくれふわりと少し厚手の膝掛けを掛けてくれた。
これ、腰に巻けばいいじやん。
「セラフィナ」
「これからにございます」
「なら、私が手づからしよう」
「御意」
二人はなにやらアイコンタクトをしたようだった。
何をするつもりなんだ?
「はら、暴れると見えるぞ?」
くくっと意地悪く笑ったカミーユ。やっぱりこの服見えるんだろ!!
口を開こうとした瞬間、俺はふわりと軟らかな椅子に座らされた。
「なっ!」
「まだその格好で終わりじゃないからな、大人しく座っていろ」
カミーユがそう言うと、セラフィナが手になにやら大切そうに持ってきた箱を開くと、中には金の装身具。
「神子の為の物だ。ミオリのサイズに誂えてある」
そう言いながらカミーユがひとつずつ手に取り、俺が纏う布を留めるように嵌めていく。
首元から始まり手首や腰、太腿、足首。
シャランと綺麗な音をたてるその金属達。
「ほら、これで風が吹いてもめくれる事が無い。安心しろ」
身体にフィットするその金属は驚いたことにカミーユの言うようにひらひらとしていた布をしっかりと俺の身体に纏わせていた。
ニコニコと笑うセラフィナ。
だが、俺の顔は引き攣っている。
それはどう見たっておとぎ話に出てくるような踊り子に似た服だった。
薄い布が胸の前で交差しているだけの心許ない上半身に、下は前に布を垂らし、足首までのニッカボッカみたいなズボンはこれまた肌が透けて見える程の薄い布だ。
しかも、布の色は全て白。
色々と大切な部分が見えてしまいそうで焦る。
「嫌だ、こんな服なら神殿なんか行かない」
上半身ならまだ大丈夫だが、流石に……。
「ミオリ様……」
困ったセラフィナの表情を見ると、ズキンと胸が痛むが流石にアラサーの中身の俺が羞恥心が無くてどうするんだ。
「……だって……セラフィナだったらこの服着たいか?」
こんな透け透けの服、ビジュアル的に美人な女性ならいいけれど、確実にアウトだろ。
それに、俺の裸体に近い姿を見て、誰得なんだって……。
「ミオリ?何をぐずぐずしてるんだ?」
部屋に入ってきたのはカミーユで、俺の姿を見ると目を細め視線を逸らした。
ほら、だから見るに堪えないんだってば!
「この格好で神殿に行かなきゃならないのかよ」
「……あぁ、神子はそうなっている」
「でも、俺はこんな格好じゃ行きたくない……歩けないよ」
鏡など無いからどうなっているのかわからない。
あっても見たくないけれど。
「歩かなきゃいいのか?ならほら」
ふわりと抱き上げられたお姫様抱っこ。
何回目だよこれ!
「まっ、カミーユ!」
足をバタバタさせると、セラフィナが慌てて靴を履かせてくれふわりと少し厚手の膝掛けを掛けてくれた。
これ、腰に巻けばいいじやん。
「セラフィナ」
「これからにございます」
「なら、私が手づからしよう」
「御意」
二人はなにやらアイコンタクトをしたようだった。
何をするつもりなんだ?
「はら、暴れると見えるぞ?」
くくっと意地悪く笑ったカミーユ。やっぱりこの服見えるんだろ!!
口を開こうとした瞬間、俺はふわりと軟らかな椅子に座らされた。
「なっ!」
「まだその格好で終わりじゃないからな、大人しく座っていろ」
カミーユがそう言うと、セラフィナが手になにやら大切そうに持ってきた箱を開くと、中には金の装身具。
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そう言いながらカミーユがひとつずつ手に取り、俺が纏う布を留めるように嵌めていく。
首元から始まり手首や腰、太腿、足首。
シャランと綺麗な音をたてるその金属達。
「ほら、これで風が吹いてもめくれる事が無い。安心しろ」
身体にフィットするその金属は驚いたことにカミーユの言うようにひらひらとしていた布をしっかりと俺の身体に纏わせていた。
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