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2章
12話
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全く……頼んでから、許可されるまでに7日。
その間に俺が自由に動けたのは部屋と風呂。
あとは、カミーユが一緒に行ってくれる範囲であって、カミーユも何か仕事があるのだろう常に一緒にいられるわけではないため、俺は暇をもて余していた。
「やったぁ!」
許可されましたという紙を持ってきてくれたセラフィナについ万歳を見せてしまう。
セラフィナは、俺付きの侍従というものらしく身の回りの世話をしてくれている。
常に気付くと傍にいてくれて、給事などをしてくれるため、会話もするようになり今ではカミーユよりも一緒にいるかもしれない相手だった。
「セラフィナ、直ぐに行っても大丈夫かな」
「大丈夫かと思われますが、その前に軽くお食事に」
「はい」
自分より年下なのだが、しっかりとしているセラフィナは名前からすると女性のようだが、歴とした男性で俺と似た体格をしていた。
違うのはセラフィナは全身が筋肉だと言うこと。
細く見えるが俺よりも力持ちで、俺すら抱えて移動ができる。
俺も農業で少し鍛えていたつもりだったんだけど、骨格の違いかなぁなんて思いながらも庶民のため、慣れない給事に甘えてしまっている。
「セラフィナも行く?」
「はい、お供します」
いや、お供って。
面倒をみてもらっているのは俺なのに、セラフィナはお仕えさせていただいている。と、言う。
この人達が日本語を喋っている訳はないので、俺の中に何か翻訳機能があるのかも知れないのだけれど、それが所々バグっているのかもしれない。
「ねぇセラフィナ、俺の喋っている言葉は何処かおかしくない?」
「いえ、綺麗な公用語ですよ?」
「イントネーションとか……」
俗に言う訛ってない?だ。
「全く」
本当?と、セラフィナをじと目で見るも、セラフィナは目を伏せて頷くだけ。
そうしながらも、手早く食事を並べてくれた。
カミーユがいないときは、テーブルでの食事をお願いしている。
そして、更にお願いしているのは箸だ。
できるだけ堅い木の枝があったら欲しいと告げてあり、できれば合わせて小刀も欲しいと。
暇な時にはそんな細工も作りたいと思っていたのだ。
だけど、まだその材料は貰えていない。
「セラフィナも一緒に食べる?」
「いえ、私は先にいただいていますので」
「じゃあ、いただきます」
並べられる食事はいつも何種類もあり、俺が好きなものは定期的に出してくれる。
いただきますと、ごちそうさまは日本で手を合わせていたことをしていたら、カミーユに何だそれはと聞かれ、この世の全ての食材に感謝するためだと某美食屋みたいな説明をすると、そうかと不思議そうにしていた。
その間に俺が自由に動けたのは部屋と風呂。
あとは、カミーユが一緒に行ってくれる範囲であって、カミーユも何か仕事があるのだろう常に一緒にいられるわけではないため、俺は暇をもて余していた。
「やったぁ!」
許可されましたという紙を持ってきてくれたセラフィナについ万歳を見せてしまう。
セラフィナは、俺付きの侍従というものらしく身の回りの世話をしてくれている。
常に気付くと傍にいてくれて、給事などをしてくれるため、会話もするようになり今ではカミーユよりも一緒にいるかもしれない相手だった。
「セラフィナ、直ぐに行っても大丈夫かな」
「大丈夫かと思われますが、その前に軽くお食事に」
「はい」
自分より年下なのだが、しっかりとしているセラフィナは名前からすると女性のようだが、歴とした男性で俺と似た体格をしていた。
違うのはセラフィナは全身が筋肉だと言うこと。
細く見えるが俺よりも力持ちで、俺すら抱えて移動ができる。
俺も農業で少し鍛えていたつもりだったんだけど、骨格の違いかなぁなんて思いながらも庶民のため、慣れない給事に甘えてしまっている。
「セラフィナも行く?」
「はい、お供します」
いや、お供って。
面倒をみてもらっているのは俺なのに、セラフィナはお仕えさせていただいている。と、言う。
この人達が日本語を喋っている訳はないので、俺の中に何か翻訳機能があるのかも知れないのだけれど、それが所々バグっているのかもしれない。
「ねぇセラフィナ、俺の喋っている言葉は何処かおかしくない?」
「いえ、綺麗な公用語ですよ?」
「イントネーションとか……」
俗に言う訛ってない?だ。
「全く」
本当?と、セラフィナをじと目で見るも、セラフィナは目を伏せて頷くだけ。
そうしながらも、手早く食事を並べてくれた。
カミーユがいないときは、テーブルでの食事をお願いしている。
そして、更にお願いしているのは箸だ。
できるだけ堅い木の枝があったら欲しいと告げてあり、できれば合わせて小刀も欲しいと。
暇な時にはそんな細工も作りたいと思っていたのだ。
だけど、まだその材料は貰えていない。
「セラフィナも一緒に食べる?」
「いえ、私は先にいただいていますので」
「じゃあ、いただきます」
並べられる食事はいつも何種類もあり、俺が好きなものは定期的に出してくれる。
いただきますと、ごちそうさまは日本で手を合わせていたことをしていたら、カミーユに何だそれはと聞かれ、この世の全ての食材に感謝するためだと某美食屋みたいな説明をすると、そうかと不思議そうにしていた。
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