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2章
7話
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「まずは、着替えろ……着替えは用意してあるし、風呂も入るなら用意させるが」
「風呂!いいな」
日本人は風呂好きが多い。
かく言う俺も風呂は好きで都会にいたときは仕方なかったけど、田舎の風呂は何人かでも入れるような風呂だったし、温泉とかも好きだった。
汗もかいていたし、そのまま訳のわからないことになっているし。
何が訳がわからないのか自分でもわからないけれど、そもそも異世界とか転移?若返った?不可思議な出来事がおこっている。
目が覚めたら病院のベッドの上だったりとか……いや、電車に轢かれていたらぞっとする。
この世界で俺がどんな扱いを受けるのかなんてわからない。
さっきの様子だと、生け贄とかにされる事はなさそうだけれど。
「おい、何を考えているんだ」
声が降ってきて俺は我にかえる。
「悪い」
「ったく、しょうがねぇな。服は用意したから風呂に行くぞ」
カミーユがパンパンと二回手を打つと三人若い女性がやってくる。
「風呂の準備だ」
「畏まりました」
一人が何処かへ行くと、残った二人は奥の部屋に向かいカーテンだろうか布を左右に開いている。
「こっちだ」
カミーユに呼ばれ、その後をついていく。
無駄に広い建物だなと思いながらもカミーユがカーテンの間を通るとそれに習う。
カーテンの奥はひろめの脱衣場のようだった。
日本の風呂とは全く違う?
カミーユが中央辺りに立つと、控えていた二人の女性がカミーユの服に手を掛けた。
それを平然と受け入れるカミーユ。
頭の中にどうして?と思っていると、残っていた一人の女性がやって来て俺の服に手を掛けた。
「えっ!?」
脱がしにかかろうとする女性の手を掴んでしまうが、その行為にも驚き慌てながら手を離した。
若い女性の手を不躾に握ってしまったのだから。
それに、どの女性もかなり美人なのだ。
髪色はそれぞれ違うが、褐色の肌にぱっちりとした目、すっと通った鼻筋。
彫りの深い異国の顔。
「何だ?」
「カミーユ、何で脱がしに……」
「は?」
「俺、自分でできるから大丈夫だ」
誰かに服を脱がされた記憶はない。
いや、付き合っていた女性とそう言うことをするときは……いや、それでも誰かにこうして脱がされた事はない。
「さっさとしろ」
そう言うカミーユは慣れたように全裸になると、前を隠すこともなく早くしろと腕を組んだ。
「カミーユも一緒に入るのかよ!」
そんなつもりは無かったし、温泉なんかは全く知らない人とも入るからいいが、見ず知らずの女性に見られるのは恥ずかしいのだ。
「いいから支度をしろ。先に行くぞ」
くるりと背中を向けたカミーユは別の扉をくぐって姿を消した。
「う」
置いていかれるのも嫌だと、ボタンに手を掛ける。
本当に自分の身体じゃないみたいだ。背中に女性の視線を感じながら俺は全裸になると逃げるようにカミーユを追った。
「風呂!いいな」
日本人は風呂好きが多い。
かく言う俺も風呂は好きで都会にいたときは仕方なかったけど、田舎の風呂は何人かでも入れるような風呂だったし、温泉とかも好きだった。
汗もかいていたし、そのまま訳のわからないことになっているし。
何が訳がわからないのか自分でもわからないけれど、そもそも異世界とか転移?若返った?不可思議な出来事がおこっている。
目が覚めたら病院のベッドの上だったりとか……いや、電車に轢かれていたらぞっとする。
この世界で俺がどんな扱いを受けるのかなんてわからない。
さっきの様子だと、生け贄とかにされる事はなさそうだけれど。
「おい、何を考えているんだ」
声が降ってきて俺は我にかえる。
「悪い」
「ったく、しょうがねぇな。服は用意したから風呂に行くぞ」
カミーユがパンパンと二回手を打つと三人若い女性がやってくる。
「風呂の準備だ」
「畏まりました」
一人が何処かへ行くと、残った二人は奥の部屋に向かいカーテンだろうか布を左右に開いている。
「こっちだ」
カミーユに呼ばれ、その後をついていく。
無駄に広い建物だなと思いながらもカミーユがカーテンの間を通るとそれに習う。
カーテンの奥はひろめの脱衣場のようだった。
日本の風呂とは全く違う?
カミーユが中央辺りに立つと、控えていた二人の女性がカミーユの服に手を掛けた。
それを平然と受け入れるカミーユ。
頭の中にどうして?と思っていると、残っていた一人の女性がやって来て俺の服に手を掛けた。
「えっ!?」
脱がしにかかろうとする女性の手を掴んでしまうが、その行為にも驚き慌てながら手を離した。
若い女性の手を不躾に握ってしまったのだから。
それに、どの女性もかなり美人なのだ。
髪色はそれぞれ違うが、褐色の肌にぱっちりとした目、すっと通った鼻筋。
彫りの深い異国の顔。
「何だ?」
「カミーユ、何で脱がしに……」
「は?」
「俺、自分でできるから大丈夫だ」
誰かに服を脱がされた記憶はない。
いや、付き合っていた女性とそう言うことをするときは……いや、それでも誰かにこうして脱がされた事はない。
「さっさとしろ」
そう言うカミーユは慣れたように全裸になると、前を隠すこともなく早くしろと腕を組んだ。
「カミーユも一緒に入るのかよ!」
そんなつもりは無かったし、温泉なんかは全く知らない人とも入るからいいが、見ず知らずの女性に見られるのは恥ずかしいのだ。
「いいから支度をしろ。先に行くぞ」
くるりと背中を向けたカミーユは別の扉をくぐって姿を消した。
「う」
置いていかれるのも嫌だと、ボタンに手を掛ける。
本当に自分の身体じゃないみたいだ。背中に女性の視線を感じながら俺は全裸になると逃げるようにカミーユを追った。
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