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あの頃へ 6 ラーシュ×リアム
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ラーシュが最後の1滴を飲み干して、グラスを置いた。
「美味かった?」
行儀が悪いと言われるだろうが、ラーシュしか見ていないからと思う存分ラグの上でゴロゴロした後でラーシュを見ながら問いかけた。
「あぁ、美味かった。リアムの分まで飲んだからな流石に酔った」
「そうか?見た目は変わらないしそもそもお前は昔から酒飲みだっただろう?」
「そうだったな」
あの頃は……と、ついつい昔を思い出してしまうのは、自分達が歳を重ねたからだろう。
「ラーシュ、腹ごなしに少しだけ散歩をしないか?」
そう提案すると、行くかとラーシュが立ち上がりこちらへと手を差し出した。
「他国から取り寄せた花が綺麗に咲いているし、果実も成るようになった……凄いな、神は」
部屋からでると、手を繋いだまま広い廊下を歩く。
誰かと手を繋ぐなど、もうだいぶ無かったことだ。
「綺麗に手入れをされている」
「庭師が頑張ってくれている」
「ん?王宮の庭を模したのか」
ふと気付いた。
木々は違うが花の配置などはとても良く似ていた。
「あぁ」
頷いたラーシュはきっとそれ以上は何も言わないだろう。だから私も聞かない。
暫くゆっくりと歩いてからラーシュの部屋に戻る。
「静かだな」
ふと、誰ともすれ違わなかったことを思い出して言うと、繋いだ手に少しだけ力が込められた。
「下がらせた。此処で初めての夜を邪魔されたくないから、必要な人間を残して」
「ラーシュ……」
ほんのりとラーシュの耳が赤くなったのは見間違いではないだろう。
「いい年齢をして、心が狭いのは自分でわかっている」
珍しく庭への散歩に誘ったのは、部屋の支度をさせるためだったのだろう。
そんな事に気を使ってくれるラーシュがとても愛しかった。
「ありがとう」
そっと手を離すと、ラーシュを抱き寄せ唇を奪う。
それほど背丈の変わらないラーシュの唇は乾いていて、ふわりと柑橘系の香りがした。
「リアム……」
「嫌なわけあるか、そんな顔をされたら私が困る」
唇を離し、そっと頬を擦り寄せた。
愛しい気持ちが溢れるというのは、こう言うことを言うのだろう。
「ただ、もう随分と昔の事だから上手くできるかはわからないし、なんと言ってももう若いときの身体ではないからな、幻滅してできそうもないなら言え」
「……っ、さっき風呂で見ている……から、問題無い」
そう言ったラーシュは、顔を背けた。
問題無いと言うことは大丈夫だったのだろうか。
「リアム、こっちだ」
連れて行かれた先はラーシュの寝室で、簡素な部屋の中央部に大きな寝台が鎮座していた。
「美味かった?」
行儀が悪いと言われるだろうが、ラーシュしか見ていないからと思う存分ラグの上でゴロゴロした後でラーシュを見ながら問いかけた。
「あぁ、美味かった。リアムの分まで飲んだからな流石に酔った」
「そうか?見た目は変わらないしそもそもお前は昔から酒飲みだっただろう?」
「そうだったな」
あの頃は……と、ついつい昔を思い出してしまうのは、自分達が歳を重ねたからだろう。
「ラーシュ、腹ごなしに少しだけ散歩をしないか?」
そう提案すると、行くかとラーシュが立ち上がりこちらへと手を差し出した。
「他国から取り寄せた花が綺麗に咲いているし、果実も成るようになった……凄いな、神は」
部屋からでると、手を繋いだまま広い廊下を歩く。
誰かと手を繋ぐなど、もうだいぶ無かったことだ。
「綺麗に手入れをされている」
「庭師が頑張ってくれている」
「ん?王宮の庭を模したのか」
ふと気付いた。
木々は違うが花の配置などはとても良く似ていた。
「あぁ」
頷いたラーシュはきっとそれ以上は何も言わないだろう。だから私も聞かない。
暫くゆっくりと歩いてからラーシュの部屋に戻る。
「静かだな」
ふと、誰ともすれ違わなかったことを思い出して言うと、繋いだ手に少しだけ力が込められた。
「下がらせた。此処で初めての夜を邪魔されたくないから、必要な人間を残して」
「ラーシュ……」
ほんのりとラーシュの耳が赤くなったのは見間違いではないだろう。
「いい年齢をして、心が狭いのは自分でわかっている」
珍しく庭への散歩に誘ったのは、部屋の支度をさせるためだったのだろう。
そんな事に気を使ってくれるラーシュがとても愛しかった。
「ありがとう」
そっと手を離すと、ラーシュを抱き寄せ唇を奪う。
それほど背丈の変わらないラーシュの唇は乾いていて、ふわりと柑橘系の香りがした。
「リアム……」
「嫌なわけあるか、そんな顔をされたら私が困る」
唇を離し、そっと頬を擦り寄せた。
愛しい気持ちが溢れるというのは、こう言うことを言うのだろう。
「ただ、もう随分と昔の事だから上手くできるかはわからないし、なんと言ってももう若いときの身体ではないからな、幻滅してできそうもないなら言え」
「……っ、さっき風呂で見ている……から、問題無い」
そう言ったラーシュは、顔を背けた。
問題無いと言うことは大丈夫だったのだろうか。
「リアム、こっちだ」
連れて行かれた先はラーシュの寝室で、簡素な部屋の中央部に大きな寝台が鎮座していた。
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