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「えっ!あれ、セラ姫」

俺はイベント会場で、レイヤーを二度見した。
すらりと伸びた長身。
背中を覆う水色の髪。
俺が好きなクリーム色の淡い色のドレス。
残念な事に豊かな胸では無かったように見えるが…
それは、ドレスのデザインのせいかもしれない。
その隣を手を繋ぎながら歩くのは、黒髪のキャラクター

誰だろう。

同じゲームのキャラかな。
交流メインのゲームだから、交流がなければ知らないキャラだ。


そう思いながら振り帰ると、人並みに押されぶつかる。

確かにあれは姫だった。
マイナーなゲームだし、違うかな。
違ってもいいから写真だけでも撮らせて貰いたい。

首に下げたデジタルの一眼レフ。
ずっと前からつかっているからそろそろ変え時かなと思っている。

「あの、すみません!」

「はい?」

声を掛けるとセラフィリーアが振り返る。
化粧をしているとは言え、中性的な綺麗な顔をしている。

「あの、良かったら写真を」

「え、あぁ、アイヴィスどうする?大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ」

「じゃあ、1枚だけなら」

セラフィリーアは辺りを見回してから空いたスペース
建物の影を見つけると、其処へ向かう。
光を弾き天使の輪ができる髪はウィッグではなく本物のように見えた。

「こちらでいいですか?」

太陽の位置を気にする仕草は慣れたレイヤーなのだろう。
セラフィリーアが何やら耳打ちをしたのか、男性が頷くとセラフィリーアの腰に腕を回す。
それを嬉しそうにわらうと、カメラを構えた俺の方を指差してあの辺りを見るんだと指示をしていた。

「撮ります」

3...2...1...カシャッ

「ありがとうございます」

撮れた写真を画面で確認すると、二人ともかなり美形だった。

「あの、名刺をいただけますか?」

他にもコスプレをしているのなら、見てみたいと声を掛ける

「ごめんなさい、二人ともはじめてで…撮っていただいてありがとうございます」

では。と、離れていった二人を追いかけることはなぜかできず
俺はその場に立ち尽くしていた。
ハッと我に帰り閉場のアナウンスを聞くと、慌てて辺りを見回した。

それから…

ファイルの整理をしようと自宅でデータを落としたが、撮った筈のあの写真が見当たらなかった。
また、ネットで日時を検索したが、それも引っ掛かってこない
セラ姫が呼んだアイヴィスという名前を検索したら
小さな小さな肖像画だけがゲームデータに残っていた。
黒髪と黒目の美丈夫かは、確認できないくらい小さな画像で。
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