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初夏 セラフィリーア⑤

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暑い…
太陽が空に輝くと一気に暑さが厳しくなる。
飛竜達は思ったよりも平気なのか、離宮の庭にある池の中で楽しそうにしていた。
離宮も温度調節の魔石で外気よりは涼しいが、それでも肌を射すような陽射しは暑い。
作物の成育にはこの暑さも必要だとわかっているが、やはり苦手で、こんな気温で騎士服など着たくない。
アルトリアの騎士達は慣れているらしく平然としていた。

アイヴィス様に騎士団の夏服を申請しよう。

暑さのせいか、少しだけ…少しだけイラッとしながら、白騎士の夏服(簡易服だよ!)を紙に書き上げると、セラフィリーアは離宮から出た。

アイヴィスに直訴!と思いながら、水浴びをしているルディアスに近付くと話し掛ける

「ディア、アイヴィス様はどちら?王宮かな?騎士団?」

『うむ?セラ、こっちにむかっているようだぞ?』

「え、ありがとう!ディアとシュクラにも氷を用意するからね?」

ラッキーと思いながら、セラフィリーアは建物に入る。
アスランが日に焼けるのを嫌うのだ。
アイヴィスが来ると聞くと、姿見で全身をチェックする。
いくら今日がセラフィリーアの休日だと言っても、だらしなく見られるのは嫌だから。
今日は、ファレナスから持ってきていたノースリーブのマキシ丈ワンピース。
それにシースルーの長袖カーディガンを羽織っている。
珍しくワンピースは薄ピンクから濃ピンクになるグラデーションに、赤いサンダル。
カーディガンは白で袖には赤いラインが入っている。
胸元をタックで寄せて、腰の辺りもリボンで結んであるお気に入りなのだ。

「セラ、暑いな」

建物に入ってきたアイヴィスに頭を下げてから応接間に案内する。
今日も美丈夫だ。

「こちらにどうぞ、ミントティーが冷えていますよ?」

最近のアイヴィスのお気に入り、アイスミントティーをアスランが運んでくるのを待って話を始める。

「アイヴィス様、騎士の夏服を作ってもよろしいでしょうか」

書き上げた下書きを見せると、考えているようで

「作っても構わないけれど、公に許可されるかは今は何とも言えないが、それでいいなら」

アイヴィスの困ったような回答に、そうだよねとセラフィリーアは肩を落とす。
簡単には変えられないけれど、暑いのは暑い。
しかし、勝手に作った騎士の夏服が、飛竜に騎乗するとき及び式典以外での着用を認められたのは直ぐだった。

やっぱり騎士だって暑いんじゃん。
必要だよねクールビズ!
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