【完結】【ＢＬ】空と水の交わる場所～anothersidestory

祈り セラフィリーア③

「仕方ないです…」

セラフィリーアはベッドの中で小さくなった。
原因は午後から行った儀式。
ファレナスでは10歳を迎えた次の夏至
魔力の測定を行うのだ。
魔力量と属性。

神殿に集められた子供は一人ずつ水晶に手を触れる。

水晶が染まった色とその濃さとでどのくらいの力を秘めているかわかるのだ。

もちろん、魔力量なし、属性なしもいる。
だが、王族、貴族は大概が力を持っている。
王も王妃も３属性。
王子３人も２属性以上。
以上と言うのは、子供の時点では開眼していない属性もあるからだ。
だから、末っ子のセラフィリーアにも期待があった。
セラフィリーア自身もワクワクしていた。

だが、その結果は…無属性。

魔力量も不明。

属性の色に水晶が染まらないため、魔力量も測れない。

そう言われた瞬間、セラフィリーアは愕然とした。

その場で泣かなかったのは王族の矜持。
にこりと笑みを浮かべるとありがとうございましたと司祭に頭を下げる。
たが、そのあとベッドに入るまでの間のことをセラフィリーアはあまり覚えていない。
両親も兄達も、大丈夫と言ってくれたが。

誰にもわからないように一人になって泣いた。



魔力が無くても他に何か力が欲しい。
誰かの役に立てるように…

セラフィリーアは毎日水辺に来る。
神殿を流れる水路に手を浸すのは、誰にも気づかれたくないから。
祈りを捧げます。
どうか…お願いします。