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記憶 セラフィリーア
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気持ちいい…
晴れたある日、ルディアスに誘われてシュクラと一緒に空の散歩に出掛けた。
シュクラもだいぶ大きくなって抱き上げるのにも少し難儀するようになってきた。
長距離はまだ飛べないが、離宮の中なら移動できるくらいにはなっており、ルディアスと毎日楽しそうに遊んでいる。
今日は少し長い距離を飛ぶとルディアスに言われたため、いつものごとく、ルディアスの手の中での飛行だ。
ぐんぐんと眼下に見える山河が後ろに流れる。
飛竜の中でも1、2の速さを誇るルディアスの羽ばたきは力強い。
ルディアスの負担になるのではと思ったが、本人は何ともない。
むしろ、飛ぶのは気持ちいいと言ってくれる。
それより、たぶんシュクラと一緒にいるのが嬉しいのだとアイヴィスが笑っていた。
ゆっくりとルディアスが下降を始める。
着いたのはキラキラと水面の輝く湖のほとりだった。
「ディア、ありがとう」
『いや、問題ない。セラは大丈夫か?』
「うん。気持ち良かった…ディアの手の中は安心できるから」
本当ならば鞍を付けての騎乗が望ましい。
ルディアスならばセラフィリーアを落とすことはないし、背中にも乗せてくれるだろうが、やはり気が引けてしまう。シュクラをもいるからとルディアスが手の中の散歩をさせてくれる。
「ディア、シュクラとゆっくりして?俺も木陰にいるからさ」
『うむ、ならば少しの間な?』
シュクラを任せると、持たせて貰ったバスケットとシートを手に木陰に向かう。
足元には小さな花が沢山咲いていた。
少し向こうには湖面に光が反射して光っている。
シートの上に座り込むと風が吹き抜けていくのを感じる。
ふと、足元の花がシロツメクサに似ていることに気付き、花をいくつか摘むとゆっくりと花冠を編んでいく。
幼い頃に作った記憶が甦る。
あれ、誰かに編んであげたような…思い出せるような思い出せないような記憶。
誰だったのだろうか。
思い出せないけれど幸せな記憶。
出来上がった花冠はシュクラの頭上に。
晴れたある日、ルディアスに誘われてシュクラと一緒に空の散歩に出掛けた。
シュクラもだいぶ大きくなって抱き上げるのにも少し難儀するようになってきた。
長距離はまだ飛べないが、離宮の中なら移動できるくらいにはなっており、ルディアスと毎日楽しそうに遊んでいる。
今日は少し長い距離を飛ぶとルディアスに言われたため、いつものごとく、ルディアスの手の中での飛行だ。
ぐんぐんと眼下に見える山河が後ろに流れる。
飛竜の中でも1、2の速さを誇るルディアスの羽ばたきは力強い。
ルディアスの負担になるのではと思ったが、本人は何ともない。
むしろ、飛ぶのは気持ちいいと言ってくれる。
それより、たぶんシュクラと一緒にいるのが嬉しいのだとアイヴィスが笑っていた。
ゆっくりとルディアスが下降を始める。
着いたのはキラキラと水面の輝く湖のほとりだった。
「ディア、ありがとう」
『いや、問題ない。セラは大丈夫か?』
「うん。気持ち良かった…ディアの手の中は安心できるから」
本当ならば鞍を付けての騎乗が望ましい。
ルディアスならばセラフィリーアを落とすことはないし、背中にも乗せてくれるだろうが、やはり気が引けてしまう。シュクラをもいるからとルディアスが手の中の散歩をさせてくれる。
「ディア、シュクラとゆっくりして?俺も木陰にいるからさ」
『うむ、ならば少しの間な?』
シュクラを任せると、持たせて貰ったバスケットとシートを手に木陰に向かう。
足元には小さな花が沢山咲いていた。
少し向こうには湖面に光が反射して光っている。
シートの上に座り込むと風が吹き抜けていくのを感じる。
ふと、足元の花がシロツメクサに似ていることに気付き、花をいくつか摘むとゆっくりと花冠を編んでいく。
幼い頃に作った記憶が甦る。
あれ、誰かに編んであげたような…思い出せるような思い出せないような記憶。
誰だったのだろうか。
思い出せないけれど幸せな記憶。
出来上がった花冠はシュクラの頭上に。
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