136 / 160
136話
しおりを挟む
「すみません、サハルです」
「おう、どうした?」
顔を見せてくれたのは、討伐で一緒なったこともある顔見知りの騎士だった。
「あの、30分以内に出入りした人はいましたか?」
「んー……なぁ、いたか?」
「特にはいねぇな。食材の納入業者が来たけどまだ帰ってないくらいだろ」
門番は、当番制で二人一組で行うのだ。
「申し訳ありません、これから外に出る人については全員騎士であっても身体検査をしてください。盗難がありました」
俺は二本のライトを取り出す。
「無くなったものは、付与石100個」
「は?何だその量は」
「俺が次の討伐用に作ったものを袋詰めした物が、先程団長の執務室から盗まれました。団長には伝えてあり印章も預かっていますので、この敷地に入った者について調査する権限をいただきました」
俺は指に嵌った指輪を見せた。
「このライトは、団長と副団長から預かりました。特殊なライトで光を当てた物によってインクが反応して浮かび上がるようになっています。今回は石の入る袋に騎士団の紋章が浮かび上がるようになっていますので、暗い場所でも照らしていただければわかるはずですが、申し訳ありませんお手間をおかけしますが、王様であっても大神官であっても全員一度降りていただきライトを当ててください」
「そこまでか?」
そこまですることなのかと聞かれ、俺は頷く。
「これが無ければ、次の討伐も流行り始めた疫病も防ぐことはできません……なので、お願いします」
俺は頭を下げた。
石は作ればいいいいけれど、見合う裸石は数が揃わない……それに、出立まで数日しかないのだ……
「了解したよサハル、ただどうしても従わない奴がいたら……」
「団長の名前で捕縛していただいて構わないと」
「了解した」
ライトを二人に手渡すと、二人は頷き徐に門を閉め始めた。
「取り敢えずこれで気軽に出入りはできないだろ」
「ありがとうございます」
犯人は騎士なのかそれ以外か……悪意が無ければ団長の執務室から何も言わずに持っていくわけが無い。
それに、仲間を疑いたくはない。
仲間でなければ外から来た人間で、考えられるのは今日の会議参加者、納品業者。見学者などの可能性もあるが。
ただ、思い込みで疑う訳にはいかないのだ。
慎重にならなければいけないと、俺は門番の二人に頼む。
「何か手に負えなくなったら笛をお願いします……」
騎士団独特の信号を送る笛を門番の時に下げている。
「お二人の食事の時は俺が来ますから次の当番以外には話さないでください……誰が犯人かわからないので」
俺はそう告げると、次の仕事を探しに向かった。
「おう、どうした?」
顔を見せてくれたのは、討伐で一緒なったこともある顔見知りの騎士だった。
「あの、30分以内に出入りした人はいましたか?」
「んー……なぁ、いたか?」
「特にはいねぇな。食材の納入業者が来たけどまだ帰ってないくらいだろ」
門番は、当番制で二人一組で行うのだ。
「申し訳ありません、これから外に出る人については全員騎士であっても身体検査をしてください。盗難がありました」
俺は二本のライトを取り出す。
「無くなったものは、付与石100個」
「は?何だその量は」
「俺が次の討伐用に作ったものを袋詰めした物が、先程団長の執務室から盗まれました。団長には伝えてあり印章も預かっていますので、この敷地に入った者について調査する権限をいただきました」
俺は指に嵌った指輪を見せた。
「このライトは、団長と副団長から預かりました。特殊なライトで光を当てた物によってインクが反応して浮かび上がるようになっています。今回は石の入る袋に騎士団の紋章が浮かび上がるようになっていますので、暗い場所でも照らしていただければわかるはずですが、申し訳ありませんお手間をおかけしますが、王様であっても大神官であっても全員一度降りていただきライトを当ててください」
「そこまでか?」
そこまですることなのかと聞かれ、俺は頷く。
「これが無ければ、次の討伐も流行り始めた疫病も防ぐことはできません……なので、お願いします」
俺は頭を下げた。
石は作ればいいいいけれど、見合う裸石は数が揃わない……それに、出立まで数日しかないのだ……
「了解したよサハル、ただどうしても従わない奴がいたら……」
「団長の名前で捕縛していただいて構わないと」
「了解した」
ライトを二人に手渡すと、二人は頷き徐に門を閉め始めた。
「取り敢えずこれで気軽に出入りはできないだろ」
「ありがとうございます」
犯人は騎士なのかそれ以外か……悪意が無ければ団長の執務室から何も言わずに持っていくわけが無い。
それに、仲間を疑いたくはない。
仲間でなければ外から来た人間で、考えられるのは今日の会議参加者、納品業者。見学者などの可能性もあるが。
ただ、思い込みで疑う訳にはいかないのだ。
慎重にならなければいけないと、俺は門番の二人に頼む。
「何か手に負えなくなったら笛をお願いします……」
騎士団独特の信号を送る笛を門番の時に下げている。
「お二人の食事の時は俺が来ますから次の当番以外には話さないでください……誰が犯人かわからないので」
俺はそう告げると、次の仕事を探しに向かった。
94
お気に入りに追加
2,135
あなたにおすすめの小説
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる