【BL】かつて大聖女様と呼ばれていた俺は現在男ですが何か。

梅花

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133話

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「面倒だなこれ」
お茶を飲みながら一つ一つ石を袋に詰めていってくれる二人。
「ごめんね」
謝る俺に二人は頭を振った。
「でも、俺たち来なきゃ一人でやる気だったんだろ?」
「だって、こんな事本当はやらせられないじゃん?団長にさせる訳にもいかないし」
「ばっ!団長に手伝ってもらう発想がヤバいって」
そうかなぁと、俺は首を傾げた。
多分、言えば黙々とやってくれると思う。
あの大きな手でちまちまと細かな作業をするミゲル様を想像して笑ってしまった。
「サハル、何笑って……って、そろそろ止めとけ……何個作ってんだよ」
あまりの会話の楽しさに次々と付与は終わっていく。
気付くと予定だった数まであと数個。
「ん~まだまだ大丈夫そうだけど、予定数はここまでにしてあるから。これだけやっちゃうつもり」
石は数えると七個。
付与するにもまだまだ力には余裕がある。
「まだまだってなぁ……」
体力回復と状態異常解除を付与するため、二回付与作業をしなければならない為、少し面倒くさい。
力も倍使うため、どうにかして時間短縮ができないかと頑張ったが、前世ではできなかったのだ。
「でも、大丈夫だよ……お手伝いありがとう」
「ちゃんと休めよ?」
「無理すんな」
二人はご馳走様とカップを片付けてから帰って行った。
「凄い、捗っちゃった……これ、全部やるつもりだったからなぁ」
綺麗に並んだ小袋。
夕方には出掛けなければならないからと、しっかり丁寧に箱に仕舞い、俺は大丈夫だろうとテーブルの上に置きっ放しにしてしまったのが良くなかった。



「無いっ!」
俺は執務室に戻ってきて、顔面蒼白になった。
少しだからと部屋を外し戻ってくると、テーブルの上に置いていた石達が無くなっていたのだ。 
その時間は15分程。
無くなったのは、箱ごと全部。
付与済の石は小袋に入れ、何も入っていない袋も一緒にしてあったのだ。
二箱のうち、片方は自分の部屋に入れてあったからそれは部屋にあったのだが。
「俺、大丈夫だと思って鍵を掛けずに出歩いてしまったからだ……どうしよう……ミゲル様の書類は……無くなっていないかな」
今朝は朝から書類整理はしていないが、元々置いてある書類もある。
確認して貰わなければいけないが、それよりあの箱はどこに行ったのか。
無くすような大きさではない。
でも、誰かがあんな短時間で持っていけたのだろうか。
それとも、ミゲル様が何処かへ運ぶように指示をしたのかもしれない。
「まだ、会議かな」
俺は執務室の中を一回り探して、やはり無いのを確認すると鍵を掛けてから会議室へと向かったのだった。
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