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127話

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「......あと、10個で終わりにしようかな」
俺はミゲル様と離れると、自室で購入した石をもう一度寄り分けた。
「浄化......は、サシャ様の石の力って事にさせてもらおう」
回復や状態異常を付与するのは問題ないが、浄化については俺にはあってはいけない物だから。
お祖父様の所に一度行かなければと思う。
それをミゲル様に伝えなければと、まだ残ったままの石を片付けて俺は立ち上がった。
「ミゲル様、まだ起きていらっしゃいますか?」
扉をノックして声を掛けると、少し間があって扉が開いた。
「サハルどうした......まだ、起きていたのか?」
「え、あ。はい......あの、明日お祖父様の所へ行ってきてもよろしいでしょうか?サシャ様のネックレスをお借りしたいと......」
「それならば、俺も行こう......夕方になら時間が取れる。ミゲル一人では出歩くな、何があるかわからないからな?」
ミゲル様は心配そうに俺を見下ろしている。本当に不安そうな表情が、怒られた時の犬のようで少し可愛いと思ってしまう、
「ミゲル様、夕方までなら俺はゆっくり付与をさせていただきます」
「訪問の事は手紙を送っておく」
「お願いします」
「それで、俺の可愛らしい恋人は、同じ部屋に眠りに来た訳では無さそうだな」
そう言われて、ハッとした。
恋人になって結婚の承諾をして......今夜は......。
「ミゲル......様」
「冗談だ。だが、睡眠時間を削ってまで付与をしなくていい」
ミゲル様の優しい手が頭を撫でてくれる。
「はい......あの、ミゲル様......一緒に寝ても?」
「構わないが狭いぞ?」
俺はこくりと頷いた。
「ほら、何か飲んで寝るか?」
「ミゲル様は......ホットワインか何かを作りましょうか?」
「サハルはミルクティくらいにしておけ......酒は駄目だぞ?」
そう言われて首を傾げる。
あまり酔った記憶はないのだが......と、考えて一つだけ心当たりがあった。
「俺、そんなに酒癖悪かったですか?」
問い掛けて、ミゲル様の口角が上がった。
「あんな、可愛いサハルを周囲に見せたくないな、いつも以上にニコニコ笑って抱きついてくるようなサハルが、可愛くないわけないだろう?」
そっと抱き寄せられて額にミゲル様の唇が触れる。
「飲み物はサハルが飲むものだけでいい、行ってこい」
「いえ、無くて大丈夫です」
特に喉が渇いている訳では無い。
だから、大丈夫。
ミゲル様の腕にそっと触れると、やんわりと腰を抱かれてミゲル様の寝台に促される。
俺はそっとその大きな寝台に座り、ミゲル様を見上げた。
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