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123話

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円卓では、今後の対策を話し合う。
「蔓延する前に焼き払ってしまえ」
誰が言ったかその言葉に、流石の俺もキレた。
「待ってください、どうして聖女様達が行かないのでしょうか」
「なっ、何だお前は」
「騎士団所属、サハルと申します」
俺はちらりとミゲル様を見るが、ミゲル様は円卓の中心部を見つめたままこちらを向くことはない。
そのまま続けろと言うことだろう。
「騎士風情が何を」
違う貴族から声が上がる。
「仮に、焼き払うとしたら誰が火を付けに行くのでしょうか」
「それは......」
「此処にいらっしゃる方のどなたかが行かれますか?誰かをお金で雇いますか?その雇われた方が感染したらどうしますか?、村にいる健康な方々はどうされるのですか」
淡々と俺は事務的に喋る。
「だが、今のままでは......」
「だから、浄化ができる聖女さまが赴かれるのでは?大神官様いかがでしょうか」
俺はちららりと、円卓の対岸にいる大神官へと声を掛けた。
「そんなこと出来るわけがなかろう」
「何故ですか」
「王都を護るための聖女を駆り出すなど、王都に......王族に何かあった時は責任が取れるのか?」
「王都を護るためにまずは地方で発生した疫病を沈めるのが一番の得策かと」
「その疫病の原因がわからないのだ、だから闇雲に聖女を向かわせる訳にもいかん」
口を開いたのは、その場にいた王だった。ザワザワしていた室内が静かになる。
「失礼を承知で発言させていただきますが、宜しいでしょうか?」
俺も、言葉を挟んだ。
この場で身分などと言っている時間は無いのだ。
「原因は、ユキウサギでしょう」
俺はそう切り出す。
「まだ、冬になっていないのに、ユキウサギか」
「はい。古い記述を確認いただければと思いますが、今年は山の頂上に雪雲が掛かるのが早くなっています。ですが、海からの風により私たちが住む場所はまだ暖かく雪は当分降らないでしょう......ですが、山の方はもう既に寒くなりユキウサギが動き始めている関係で、ユキウサギが持つ病原菌が早く人里に降りてきているのです。ですからそのユキウサギが歩く大地を浄化できれば大丈夫かと」
「世迷言を!そんな文献があるか!」
貴族が吠える。
「400年前、大聖女様が浄化を行っているかと。いかがですか大神官様」
「む」
口を噤んだ大神官。
「本当か?誰が文献を確認しろ」
王の一声で動き始める。
「大神官様、聖女様たちなら何とかしてくださるでしょう。まさか、疫病が怖いからと見習い聖女様を派遣されませんよね?勿論護衛には騎士団が着く事になると思いますが......ミゲル様」
「そうだな、急ぎ編成を組むことになるか......王、騎士団は動き始めますが、文献を確認した後、早急に神殿に指示をお願い致します。一刻を争う故」
ミゲル様は椅子を鳴らして立ち上がる。
「此処に座する皆様からも、多大な協力がいただけると助かりますが?」
暗に遠征の金を出せと言うミゲル様の言葉にうっと息を飲んだ貴族たち。
「サハル、行くぞ?」
「はい、団長」
俺はミゲル様と部屋を出た。
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