【BL】かつて大聖女様と呼ばれていた俺は現在男ですが何か。

梅花

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113話

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一番の目的だったカップは買えた。
ティーカップではなく、マグカップに近いけれど、普段使いにはこれでいいとミゲル様を見上げた。
「次のお店はどうしますか?俺はよくわかってなくて………どんなお店に行きましょうか」
相手が何を見たいのだろうか。
ピアスと言っていたが、いきなりそんなお店に行っていいものなのかそもそも金属店など店を知らない。
「サハルがいいなら少し歩くが……他に見たい店もあるし、喉が渇いたらカフェでもいいな」
「わかりました」
小さな紙をちらりと見るミゲル様。
そんなに気にしなくてもいいのにと笑いながらもミゲル様が立ててくれただろうプランに従った。
ゆっくりと会話をしながら向かった先は小洒落た金属店ではなく、裏路地を入った所にある少し寂れた……いや、かなり寂れた店構えをしている一軒の店だった。
「此処ですか?」
「ああ」
ミゲル様は頷いて、俺が一瞬躊躇ったのがわかったのだろう。先に入口を開けて中に入った。その背中を俺は追った。
「わぁ!」
店の中はとても外からはわからないほど綺麗で色々なものが置いてあった。
「どうだ?」
「凄い、見たこともないです」
置いてあるのは無数の石。
石と言っても宝石だろう。キラキラと輝くものから様々な物がある。 
「サハル、この中から一緒に選んでピアスにしてもらおうと思ってな……ホールも開けたく無ければそのようにしてもらうが……どうしたい?」
俺は、自分の耳に触れる。
ついているのは、耳朶を挟むタイプのもので、ミゲル様から贈られたものだ。
「開けるのは少し怖いですが、ミゲル様とお揃いの物をいただけるなら。ミゲル様がホールを開けてくださいますか?」
開けてくれるなら、きっと怖くない。
「俺がしていいなら……あぁ、此処に最強の回復術士がいるじゃないか」
「あっ!そうですね」
痛いものだと思い込んでいた俺はミゲル様の言葉に笑ってしまう。
「じゃあ、ミゲル様の耳には俺があけます、絶対に痛くはしませんから」
そう言った俺に、ミゲル様は頼むと頭を下げる。
「さぁ、石を選ぶか……この店からサハルが付与する宝石を買っているんだ。裸石を扱っているからな」
宝石店では裸石を研磨したものを売っているが、此処のお店は掘って出てきたものをそのまま販売しているのだ。
「人の手が入る前だから力が強い石が多いのだと聞くが……」
そう言いながら並べられた石を俺はミゲル様と一緒に見ていくのだった。
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