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108話

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朝食を二人分違うものを選んで運んでから、執務室で二人で食べる。
ミゲル様に好きなものを先に選んでもらうようにすると、ミゲル様の好き嫌いがわかるようになってきた。
肉か魚なら魚が好き。
甘いものは俺にくれるから、俺はメインの料理を少しミゲル様に取り分ける。
スープは野菜のスープが好き。
パンは固めのバゲットを好む。
何でも食べるし好き嫌いは無いと言うミゲル様も嫌いな物は無くても好きな物はあるのだから。
何日かそうして過ごす間に俺がミゲル様の弟分であることが浸透していく。
薄々勘づいていた者はいたらしいが、会議時にミゲル様が上役には通達をしたらしい。
俺はそこまでしなくていいと伝えたのに、俺に手を出す輩がいたら気に食わないと言うのだ。
そんな仲間は居ないと言っても、ミゲル様は首を縦には振らず頑として聞き入れなかった。

「ミゲル様、今朝のお食事は白身の魚をフライにしてバンズに挟んだサンドイッチですよ、スープはコンソメスープか、コーンポタージュですが」
「サハルは何にした?」
「俺はたまごサンドにしました、美味しそうだったのでミゲル様はスープはコンソメですか?」
「あぁ、コーンポタージュはサハルが好きだろう?」
「はい!」

朝食はフルーツがつくが、ミゲル様はあまりフルーツは好まない。
甘味は好きだから、その時は半分こ。
今日は、ライチが三粒ついているのをミゲル様手づから俺の方に皿ごと出してくる。
それを受け取り俺はミゲル様の食事に一口たまごサンドを置く。

「本当に少食だな」
「そんな事ありませんよ、昔からこのくらいです。むしろ中身が豪華なのでいただけるのが嬉しいです」

神殿の食事はとても身体良い食事で、育ち盛りだった俺には足りないくらいだったが、それでも慣れたのだ。

「いただきませんか?ミゲル様」
「あぁ」

最初は向かいあわせでテーブルに着いていたが、今はこうして隣に並んで食事を取れることが幸せだ。
この方が距離が近い。
それに、あたたかく美味しい食事を現在も過去もあまり食べることは無く、騎士団に来てからあたたかいものが食べられるのも嬉しい。

「今度、ゆっくり外食でもしよう。サハルとデートだ......休みを合わせて出掛けよう」
「ミゲル様のお休みですから二人でのんびりしてもいいですから、たまには身体を休めていただかないと」
「サハルは俺と出掛けたくないのか?」

拗ねたようなミゲル様にそんなことはありませんと笑う。

「ミゲル様は何処に行きたいですか?俺、ミゲル様とお揃いが欲しいです。沢山ティーカップはありますが、安くていいから二人だけのカップとか、ピアスもお揃いを......それから、ずっと一緒に過ごしたい......」

俺は素直にそう言葉にした。騎士団長だからそれはなかなか難しいのはわかっているけれど。
でも、ミゲル様はわかったと頷いてくれた。
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