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83話

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「サハル今日は休みだろ?身体大丈夫か?」

すれ違う人に時折聞かれて笑顔で返す。 

「ありがとう大丈夫」
「無理すんなよ?代われることなら代わってやるぞ?」
「その時はお願い!」

そんな会話をしながら書類配りをしてから執務室に戻る。
書類を配った先で貰うお菓子にポケットはパンパンだ。

「戻りました」
「お帰り…サハル悪いが魔石が来ているから、無理の無い程度に付与を頼む」

応接セットのローテーブルには抱えるくらいの大きさの箱が置かれていた。

「はい!全部回復で宜しいですか?」
「あぁ、悪いな」

箱を開けると、小隊くらいの数の魔石が柔らかな布の上に鎮座していた。
これくらいなら、1刻からもう少しくらいあればできるだろう。
難しくはないが時間が取られる付与なのだ。

「先にミゲル様、お茶はいかがですか?お菓子をたくさんいただきましたから」
「いただこう」

貰ったお菓子を器に並べてから俺はお湯を沸かし始める。
今日は何にしようか…
ゆっくりと茶葉を選んで沸いたお湯をポットに注ぐ。
香りを楽しみながらカップに移して砂糖を添えた。

「ミゲル様、どうぞ?」

ミゲル様が好む少し酸味のあるハーブティー。

「ありがとう」

少しぬるめが好きなミゲル様が直ぐに口を付けないのはそう言うこと。
そんな小さな事を知るのが楽しい。

「野菜のクッキーです、ハチミツと一緒にどうぞ」

一瞬、うっとなるが何とか食べてくれるミゲル様。
くすりと笑うとポットを片付けてソファーに戻るときにミゲル様がこちらを見ているのに気づく。

「どうかされましたか?」
「いや、マーサ殿から連絡があってな…の体調が思わしくないようだ」

とうとう来たかとサハルは笑う。

「それは…でも、運命には逆らえない…ですね。いくら大聖女様でも。
ミゲル様、大聖女様にはお世話になりましたので、1度会いに行きたいのですが」
「そうだな、休暇を申請しておけ、俺はついていってやれないが」
「ありがとうございます、大丈夫です」

お祖父様の顔も見たいし…

「何なら今から行ってきたらどうだ?」

ミゲル様の言葉に思い立ったら吉日かと、俺は頷いた。
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