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74話
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誰も口にしないけれど、気付くと誰かが傍にいてくれるようになった。
勿論、ノアはあの後謹慎させられている。
回復魔法を掛けようかと思ったら、色々な人に全力で止められた。
確かに怖かったけれど…
そして、俺の寝る場所はサディ様の天幕になった。
「皆さん食事ができましたよー」
サディ様の食事を用意してから声を掛けていくと、少人数の騎士達は順番に食事の配膳に並ぶ。
「サディ様、今日は雨になりそうですけれど…」
あまり空の様子が芳しくない。
どしゃ降りにならなければいいが。
あくまでも此処は夜営地なのだ。
晴れ雨、寒暖。
自然現象がある。
「そうねぇ…」
雨避けのまじないや防水機能は備わっているが、あまり雨が酷いと調査もできないし、食事を作るのも儘ならない。
「お早いお帰りをお待ちしています」
そっと、果実水を置く。
「ありがと。そろそろ調査も終わるから雨が上がったら帰還作業に入りましょうか…雨が続かなければ良いわね」
そう言ったサディ様の懸念は当たってしまった。
雨が降り続いて3日。
村の向こうにある川が氾濫した。
帰還の支度も出来ぬまま、俺達は住民の避難等に手を貸す事になる。
そのどさくさに紛れてノアが逃げ出したのに気付いたのは漸く雨が上がり、晴れ間が覗いた頃だった。
「やったわね…」
サディ様が爪を噛む。
せっかく綺麗に整えてあるのにと思いながらそれを見ていた。
騎士達総出で不眠不休の作業を行っていたため、誰もが疲労困憊。
他人の事まで気が回らなくても仕方ない。
「サディ様、温かいお茶です…全員に休憩と軽い食事を配りますね?」
配るのができるのは、携帯食くらいなのだ。
当面の食料は、村に置いていく。
サディ様がそう決めた。
流されてしまった家も、流されてしまった家畜も流されてしまった畑もある。
辛いだろうが此処からまた始めて貰わなければならないからだ。
直ぐに王城から別の騎士達が来るだろう。
それに任せて小隊は帰還する。
「無理はしないで?ノアも何処にいるか…必ず誰かといて頂戴?」
「ありがとうございます」
俺は頭を下げてから、飲み物を配る。
少しでも皆の身体が回復するように。
「どうぞ、お茶です…携帯食ですが、お腹に入れてください」
一人一人座り込んでしまっている場所に行って配る。
配膳の仲間も、勿論駆り出されたため、くたくたで、食事など作ることも出来ていないのだ。
ただ、その疲労を残したまま馬に揺られるのは避けた方がいい。
「一口だけでも食べておいてくださいね…」
咀嚼すらも面倒だろうけれど。
ただ、良かったのは死者がでなかったこと。
負傷者はかなりの数にのぼったが、全て何とかなる範囲だった。
俺は全員に食事を回すと、漸く自分の分を口にしたのだった。
勿論、ノアはあの後謹慎させられている。
回復魔法を掛けようかと思ったら、色々な人に全力で止められた。
確かに怖かったけれど…
そして、俺の寝る場所はサディ様の天幕になった。
「皆さん食事ができましたよー」
サディ様の食事を用意してから声を掛けていくと、少人数の騎士達は順番に食事の配膳に並ぶ。
「サディ様、今日は雨になりそうですけれど…」
あまり空の様子が芳しくない。
どしゃ降りにならなければいいが。
あくまでも此処は夜営地なのだ。
晴れ雨、寒暖。
自然現象がある。
「そうねぇ…」
雨避けのまじないや防水機能は備わっているが、あまり雨が酷いと調査もできないし、食事を作るのも儘ならない。
「お早いお帰りをお待ちしています」
そっと、果実水を置く。
「ありがと。そろそろ調査も終わるから雨が上がったら帰還作業に入りましょうか…雨が続かなければ良いわね」
そう言ったサディ様の懸念は当たってしまった。
雨が降り続いて3日。
村の向こうにある川が氾濫した。
帰還の支度も出来ぬまま、俺達は住民の避難等に手を貸す事になる。
そのどさくさに紛れてノアが逃げ出したのに気付いたのは漸く雨が上がり、晴れ間が覗いた頃だった。
「やったわね…」
サディ様が爪を噛む。
せっかく綺麗に整えてあるのにと思いながらそれを見ていた。
騎士達総出で不眠不休の作業を行っていたため、誰もが疲労困憊。
他人の事まで気が回らなくても仕方ない。
「サディ様、温かいお茶です…全員に休憩と軽い食事を配りますね?」
配るのができるのは、携帯食くらいなのだ。
当面の食料は、村に置いていく。
サディ様がそう決めた。
流されてしまった家も、流されてしまった家畜も流されてしまった畑もある。
辛いだろうが此処からまた始めて貰わなければならないからだ。
直ぐに王城から別の騎士達が来るだろう。
それに任せて小隊は帰還する。
「無理はしないで?ノアも何処にいるか…必ず誰かといて頂戴?」
「ありがとうございます」
俺は頭を下げてから、飲み物を配る。
少しでも皆の身体が回復するように。
「どうぞ、お茶です…携帯食ですが、お腹に入れてください」
一人一人座り込んでしまっている場所に行って配る。
配膳の仲間も、勿論駆り出されたため、くたくたで、食事など作ることも出来ていないのだ。
ただ、その疲労を残したまま馬に揺られるのは避けた方がいい。
「一口だけでも食べておいてくださいね…」
咀嚼すらも面倒だろうけれど。
ただ、良かったのは死者がでなかったこと。
負傷者はかなりの数にのぼったが、全て何とかなる範囲だった。
俺は全員に食事を回すと、漸く自分の分を口にしたのだった。
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