【BL】かつて大聖女様と呼ばれていた俺は現在男ですが何か。

梅花

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64話

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「えーと、負傷者はもう大丈夫?ですかー?状態異常者集まってくださいねー?」

切り傷擦り傷くらいならポーションで何とかなるからと、軽傷者は井戸水を仲間から浴びせられていた。
状態異常者を治療していた瞬間、後ろから抱き締められて、首の辺りに痛みが走る。
なにっ!?
吃驚して振り向くと、其処には騎士がひとり。

「ひゃっ!」

チクリとした部分を舐められる感触。
ぬるりとしたのに嫌悪して声をあげると、気づいた他の騎士達が慌ててその騎士を剥がしてくれた。

『魅了』

ドライアドの状態異常の1種にかかっていたのだろう、虚ろな眼。
暴れる訳ではないが、こちらをターゲットにするように手を伸ばしてくるその姿に少しだけ恐ろしさを感じる。

「サハル大丈夫か?」
「あ、はい…ちょっとびっくりしただけですから」

そっと拘束された騎士に近付き状態異常やわ治すと、ぐったりとしてしまい心配になるが、転がしておけと言う意見に頷いた。

「サハル、これ使え」

ひとりの騎士がハンカチを差し出してくる。
ん?
取り敢えず受け取るが、何に使う?触られた場所を拭けと言うのかと、受け取ったが、自分もハンカチくらいは持っている。
怪我人の応急手当に使うからね?

「首、赤くなっている」

トントンと首を指差している姿にハッとした。
キスマークか。
さっきの痛みはそう言うことなんだと赤くなり、すみませんと受け取った。
洗ったら返しに行こう…。
そう思いながらハンカチを開いて首に巻いた。
取り敢えずこれで全員の状態異常を回復したし、今から撤収準備をするよりは明日の朝に撤収さした方がいいだろうと副団長の考えでそうなった。
まだ、洗い物が途中だったかもと、焦りながら戻ると、既に食器は綺麗になっていて、食事の準備も終わっていた。
配膳の手伝いと言われて、俺は持ち場に戻る。
食べて少しでも体力回復して欲しいと、綺麗に焼けた鶏肉に回復魔力を流し込み、順番に配るようにしていった。
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