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63話

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「大丈夫ですか?状態異常の方?」

バタバタと倒れた騎士の状態異常を治しながら前線に向かうと、くうを切る音が聞こえる。
モンスターのしなる腕からくる鞭のような斬激だ。
ヒュンヒュンと音が聞こえ、時折、人の呻く声が聞こえる。

騎士の背中しか見ることはできないが、モンスターを囲み、少しずつ攻撃を与えているようだ。

「うわぁっ!」

一際大きな声が上がる。
俺はそっちへ駆ける。
そこにあったのは凄惨な騎士の姿。
ざっくりと腕の肉が削げている。

どうして?
防御壁は展開してあるのに。

「すみません、通してっ!」

俺は声を上げる。早く処置をしなければ聖女にもどうしようもなくなる。
万能ではない能力。
大丈夫、痛みを取って肉を盛り上げる。

「誰か救護に運んでポーション水を、掛けてください!」

大丈夫、生きている。

「次っ!」
「サハルがいるから何とかなるぞ!」
「いけっ!」

騎士の言葉にちょっと待てよ!と、思ったが、それだけ信用されているのかもしれない。
一撃離脱。
それを繰り返していると、ドライアドが弱くなっているのがわかる。
もう少し、もう少し!

暫くすると、ドライアドが倒れた所を息の根を止める。

「討伐完了!」

誰かの声にわっと歓声が上がった。

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