【BL】かつて大聖女様と呼ばれていた俺は現在男ですが何か。

梅花

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44話

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座学は、多岐に渡る。

天文学から薬学、生物学など。

途中から入った俺は、わからないことばかりだった。

すり鉢状の教室には、200人程の座席があるが、現在埋まっているのは半分程度だろうか。
俺は窓際中程の場所に座った。
特に指定はないと聞いていたからだ。

講師は年配の男性。
初めての座学は、薬学だった。
知らない草が沢山ある。
…でも、どうして。
薬学など必要あるのだろうか。
聖女がいればと思ってから俺は手にしていたペンを握りしめる

聖女がいれば必要ない…のは

なのだ。

知識としては、あった方がいいと割りきって俺は新しいノートにペンを走らせる。
ミゲル様から貰ったインクのいらないペンはさらさらと紙の上を滑る。
あまり、模写は得意じゃないけれど。

「はー…凄い楽しいなぁ」

座学が終わると、ノートにはびっしりと文字と絵が書かれている。

「えっと…次は体力作り…」

ノートとペンを置いてから、靴を履き替えて騎士団の運動場に集まる。
暖かい陽射しが降り注ぐ。
恐らく動いたらしっとりと汗をかくくらいの陽気。

集まれと言われて騎士の元に集まると、半分程度にわかれての走り込みと筋力作り。
俺は走り込みを選んだ。
まだ、筋力作りは早いかなと。
やることは、広大な騎士団の敷地の中を走る。

走る前には少し身体を伸ばして走る。

走り始めると、適当にバラけるか数人の集団になるかして走っていく。
俺は適当な位置取りをした。

中段よりやや後方。
辺りの景色を見ながら走りたいと思うくらい景色がいいのだ。
林の中や池の横など、そよぐ風に揺れる花たちを見るだけで疲れも吹き飛ぶのだ。

「うわぁ…綺麗」

タッタッとテンポ良く走って辺りを見回す。
足元に咲く白い花に目を奪われて躓き転びそうになったのを後ろから支えて貰った。

「っ、危なっ!」
「ご、ごめん…ありがとう」
「いや。大丈夫か?さっきからキョロキョロしていて…」
「うん、大丈夫…何か綺麗だなって、見てたからさ…俺、サハル」
「俺はノア」
「ありがとうノア、よかったら一緒に走ろ?」

俺も相手もまだ息が上がっていないから、喋りながらも走れるだろう。

「あぁ、いいせ。ビリにならないように、少しスピードあげるか」
「いいよ」

そうして走り出した俺達は集団の中程でゴールした。
ノアに色々なポイントを教えて貰いながら楽しい時間を過ごしたのだった。
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