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39話
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無造作に積まれた箱。
その中から流石に処分しようと思ったティーセットを選び、ミゲル様に確認する。
それでもまだ使えるもので、休みの日にでも古物商に持っていこうと決めた。
あっても使わないし、ミゲル様も許可を…ミゲル様と一緒なら街へ出ていいと。
俺の休みは5日後で、ちょうどミゲル様も休みだったようだ。
必要なものもわかってくる頃だし、軍医見習いのお給料も山のように出た。
びっくりするくらいに。
ただ、俺はこの時は先の魔獣討伐の手当が含まれていたなんて知らなかったから、のほほんと受け取ってしまったのだが。
それでなければ、きっとこの手当で花を買い、共同墓地へ向かったと思う。
「ミゲル様、このティーセットのお金はミゲル様にお渡ししますね?いくらになるんだろう」
ちょっと楽しみだとワクワクしてしまう。
ミゲル様が食べるかはわからないが、ちょっとした屋台の串焼きくらいの金額は手数料として貰ってもいいかななんて考えながら、ミゲル様が書類に目を通すのを見ていた。
「何かお手伝いできることはありますか?」
さすがにずっとソファーに座っているのも飽きてきて、そう問い掛ける。
ミゲル様は少し考えてから机の上の山になった書類を見せる。
「此処に部署の名前が書いてあって、不受理のものだ。部署ごとに返却するから纏めてくれると助かる」
「はいっ!」
仕事を任されるのが嬉しい。
洗濯でも掃除でもやります!と言ったらそれはやる人がいると断られてしまった。
それから、言われた通り書類を仕分け終わった頃にノックがあり、顔を覗かせたのはユスラさんだった。
手招きをされると、入り口に近寄る。
夕飯の配膳があるということだった。
「ミゲル様、書類、こちらで終わっています。明日返却に歩きますので、そのままでお願いします。夕飯の用意をして参りますのでお待ちください」
「あぁ、ユスラも頼む」
ミゲル様がヒラヒラと手を振るとユスラさんは頭を下げた。
「ユスラさん、俺達は何処で食べるのかな…食堂?」
「私はラーシュ様が居るときは執務室でご一緒しながら色々と話をしますが、居ないときは食堂ですね」
「俺、何も言われてないから…とりあえずミゲル様の分だけ用意すればいいかな…」
「最初ですから、慣れるまではミゲル様の執務室で一緒にお食事をしてはどう?ミゲル様に食堂でと言われたら行けばいいかと」
そう言われればそれでいいかなと思ってしまう。
食堂に足を踏み入れると、ざわざわとした喋り声が一気に静まった。
「サハル、こちらがワゴンです。ふたり分ですから此処に乗せて運び、使った食器を乗せて戻ってきます。こちらが団長用ですね」
ユスラさんに渡されたのは腰の高さくらいの押しワゴン。
1人用みたいに見えるほど、あまり大きいものではなかった。
「基本、どんな方でも同じようなもので、場合によって食べられないものかあると違うものを用意してある場合がありますが、サハルは好き嫌いは?」
「ありません!何でも食べますから」
そう言って俺はふたりの食事を用意し始めた。
その中から流石に処分しようと思ったティーセットを選び、ミゲル様に確認する。
それでもまだ使えるもので、休みの日にでも古物商に持っていこうと決めた。
あっても使わないし、ミゲル様も許可を…ミゲル様と一緒なら街へ出ていいと。
俺の休みは5日後で、ちょうどミゲル様も休みだったようだ。
必要なものもわかってくる頃だし、軍医見習いのお給料も山のように出た。
びっくりするくらいに。
ただ、俺はこの時は先の魔獣討伐の手当が含まれていたなんて知らなかったから、のほほんと受け取ってしまったのだが。
それでなければ、きっとこの手当で花を買い、共同墓地へ向かったと思う。
「ミゲル様、このティーセットのお金はミゲル様にお渡ししますね?いくらになるんだろう」
ちょっと楽しみだとワクワクしてしまう。
ミゲル様が食べるかはわからないが、ちょっとした屋台の串焼きくらいの金額は手数料として貰ってもいいかななんて考えながら、ミゲル様が書類に目を通すのを見ていた。
「何かお手伝いできることはありますか?」
さすがにずっとソファーに座っているのも飽きてきて、そう問い掛ける。
ミゲル様は少し考えてから机の上の山になった書類を見せる。
「此処に部署の名前が書いてあって、不受理のものだ。部署ごとに返却するから纏めてくれると助かる」
「はいっ!」
仕事を任されるのが嬉しい。
洗濯でも掃除でもやります!と言ったらそれはやる人がいると断られてしまった。
それから、言われた通り書類を仕分け終わった頃にノックがあり、顔を覗かせたのはユスラさんだった。
手招きをされると、入り口に近寄る。
夕飯の配膳があるということだった。
「ミゲル様、書類、こちらで終わっています。明日返却に歩きますので、そのままでお願いします。夕飯の用意をして参りますのでお待ちください」
「あぁ、ユスラも頼む」
ミゲル様がヒラヒラと手を振るとユスラさんは頭を下げた。
「ユスラさん、俺達は何処で食べるのかな…食堂?」
「私はラーシュ様が居るときは執務室でご一緒しながら色々と話をしますが、居ないときは食堂ですね」
「俺、何も言われてないから…とりあえずミゲル様の分だけ用意すればいいかな…」
「最初ですから、慣れるまではミゲル様の執務室で一緒にお食事をしてはどう?ミゲル様に食堂でと言われたら行けばいいかと」
そう言われればそれでいいかなと思ってしまう。
食堂に足を踏み入れると、ざわざわとした喋り声が一気に静まった。
「サハル、こちらがワゴンです。ふたり分ですから此処に乗せて運び、使った食器を乗せて戻ってきます。こちらが団長用ですね」
ユスラさんに渡されたのは腰の高さくらいの押しワゴン。
1人用みたいに見えるほど、あまり大きいものではなかった。
「基本、どんな方でも同じようなもので、場合によって食べられないものかあると違うものを用意してある場合がありますが、サハルは好き嫌いは?」
「ありません!何でも食べますから」
そう言って俺はふたりの食事を用意し始めた。
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