【BL】かつて大聖女様と呼ばれていた俺は現在男ですが何か。

梅花

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38話☆

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お茶をいれてからミゲル様の机にたら、ミゲル様に自分の分はどうしたと聞かれて後でいただきますと伝えると、そうかと寂しそうに笑った。
何、一緒にお茶をしたいの?してもいいのだろうか。
そうしたら、ミゲル様が立ち上がると貰い物があったんだがなと、大きなクッキー缶を出してくる。
ちょっ!それを先に言ってって。
狡いとジト目で見ると、自分の分もいれてこいと言われた。

「カップを買ってきていないので、お借りしてもいいですか?」

軍医見習いの時に使っていたのは配給品だったため、置いてきたのだ。
お茶をいれて飲むのは直ぐではないだろうから、次の休日に買いに行こうと思っていたところだったのだ。

「あぁ、なら気に入ったのがあるかはわからないか、茶葉が入っている下の棚に貰い物のカップ等が入っている。それでいいなら使っていいぞ?」

ミゲル様がそう言ってくれたため、見てみます!と、俺は立ち上がった。
騎士団にあるようなものだから、見た目や品質には期待しない方がいいだろうけれど……と、棚を開けて俺は悲鳴を上げそうになる。
何で雑多に入れられているんだよ!
箱に書かれているのは、誰もが知っている有名どころの陶器店。
一組で軽く金貨が飛んでいく。
それも、中には国宝級の腕をもつ職人の名前のものも含まれていて、コレクター垂涎の物もあるのだ。
何故知っているかと言うと、過去の記憶もあるからだ。
それだけ長く続いている陶器店。
そるるがこうして残っているのも今までに戦闘がなく平和だったと言う証でもあるのだけれど。

「これも……こっちも?」

本物ならば、かなりの額になるがそれを勝手に使っていいと?

「ミゲル様、これ……」
「あー、全部使えと貰ってな……俺はいつものこれが一番しっくり来るから割れたら同じものを買って使ってるんだ……そこにあるのは気に入らなかったか?」

そう言う問題じゃなくてミゲル様、これ、割ったら怖いからどうしよう!
悩む俺に、ミゲル様の声が頭上から降ってくる。

「そろそろ邪魔だから処分も考えて……」
「駄目です!俺が日替わりで使いますから取っておいてください!」
「お、おう……」

それから数時間、俺はお茶も飲まずに茶器と戦うのだった。
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