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34話☆

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朝が来た。
今日から俺は騎士見習い。
軍医見習いの服を脱いで騎士見習いの服を着るのだが……朝食前に部屋の扉がトントンとノックをされた。
「サハル様、お迎えに参りました」
聞き慣れたラーシュ様の声がした。お迎えに参りました!?
迎えに来ちゃったよ、ラーシュ様!!
えっ、えっとわたわたしていると、扉が開いて壁際に纏めて置いておいた包みをラーシュ様が軽々と持ち上げ、止める間もなく荷物を持って行ってくれる。
それを慌てて追いかけるようにして暫く歩くと俺は騎士団入口の門の前で固まった。
数人の騎士が出迎えてくれるのも、仰々しかったが流石に隣に副騎士団長様が立っているとなると、ぎょっとした表情をしたがそれは刹那の事で、こほんと咳払いをして何も見なかったことになった。
あまり良く知らない騎士団の敷地を誰かか案内してくれたらいいななんて思っていたが、さすがにこれは……いち騎士見習いの案内に副騎士団長が付くなんて、ありえないのだ。
「ミゲル団長から申し使っておりますので」
お手をどうぞと、どこぞの姫にされるように差し出されるのをうっかり取りそうになり、嫌々と頭を振った。
自然にこんなことできるなんて、怖いよ騎士団!
「副騎士団長様……」
「…………ラーシュと」
何だその間。
抗議だよね!?名前で呼べと言う。
「ラーシュ様、特別扱いは困ります」
「ですが、ミゲル団長の弟となる方なのですから」
ラーシュ様の言葉に周囲にいた騎士がざわついた。
「副騎士団長が団長の弟って言ったか?」
「マジかよ……」
「確かに何かあれば弟だと言えとは言われましたが……実際血の繋がりなんてないのに……」
「兄弟制度は血よりも重いですから」
ん?何それ、ちょっと怖いよね。
ミゲル様、聞いてないよ!
そう思っていると、俺は建物の中に通され、その奥まった部分、何度か来たことのある団長の執務室に到着した。
「ラーシュです、お連れしました」
すると、入れと言う返事があり、ラーシュ様が扉を開けてくれ俺は中に入る。
ラーシュ様は一緒に入ってはこず、背中でそっと扉が閉まった。
俺の荷物はミゲル様の執務室、入口の扉の内側にそっと置かれていた。
「まずは、騎士団に来てくれたことを感謝する」
机に座ったままのミゲル様は凛とした佇まいで、いつもの影は無かった。
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