【BL】かつて大聖女様と呼ばれていた俺は現在男ですが何か。

梅花

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30話☆

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「おっ、おい……サハル殿……」
おろおろとしだしたミゲル様に俺は涙を拭って笑みを向けた。
「すみません、大丈夫です」
大丈夫じゃないよ、悔しい。
でも、それをミゲル様に言うのは違う。
ミゲル様は悪くないから。
なら、悪いのはどこ。
真実を隠していた神殿?
いや、真実を知ろうとしなかった自分なのだ。
神殿のやりかたは今も昔も変わらない。
それをわかっていた筈なのに。
唇を噛み締めると、認められると様の手がそっと頬を撫でた。
「サハル殿のせいではない…」
「でもっ…ミゲル様、俺、やっぱり騎士団が遠征するときには一緒に行きます!どうしたらいいですか!?騎士になれないなら、料理人とかで雇って貰えませんか?」
そうミゲル様に詰め寄った瞬間、コンコンと扉にノックがあった。
「ミゲル様、騎士団より早馬が参りまして……」
「入れ」
ミゲル様は俺を座らせて自分は立ち上がる。
扉を開けて入ってきたのは初老の男性だった。
「失礼いたします。こちらが早馬で届いた書簡です」
差し出された二巻の書簡。
それをミゲル様は無造作に取り上げ、開いた。
「ほう」
「やはりな」
片方を読むと、俺に差出し、もう片方も中身を読む。
俺は受け取った書簡に目を落とした。
片方は神殿から、もう片方はから。
んんっ!?
俺はいつこの書簡にサインをしたの?
一番下を見ると、本物に似せて書かれた俺のサイン。
中を読むと、本当に腹が立つ内容だった。
何がお役に立てて良かっただよ。
お前誰だ。
「マーサ殿にサシャ様あてに書簡が届いていないことを確認している。外部に出す書類ではないため、騎士からサシャ様から預かった魔石で騎士団が助けられたと噂で聞いた神殿が捏造したのだろうな……それに、こちらも吐き気がするほど事務的な内容だが」
神殿から来たという書簡にも目を通す。
俺は最後まで読めずに項垂れた。
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