【BL】かつて大聖女様と呼ばれていた俺は現在男ですが何か。

梅花

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27話☆

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「……どこ……?」
目が覚めると、そこは豪奢な作りの一室だった。
ただ、見たことがない。
とりあえず記憶があるところまでを辿ってミゲル様に謝らないとという考えに至った。
たぶん此処へ運ぶように指示してくれたのはミゲル様。
此処がどこかはわからないけれど。
「お目が覚められましたか?」
女性の声がしてそちらを見ると、優しげな初老の女性がいた。
「すみません……ここは何処ですか?」
上体を起こすとくらりと目眩がした。
「まだ、急に動いてはなりませんよ、此処はミゲル様のお屋敷です。魔獣討伐が終わりまして、戻ってきたところです。サハル様お腹は空いていらっしゃいませんか?」
まずは、少しでもお水をどうぞと指さし出されたグラスに入っていたのは冷たいレモン水で、ふわりと蜂蜜の甘さが香った。
それを飲み干すとお腹が鳴る。
昔から具合が悪くても食欲は落ちない。
「何かありますか?パンとスープがいただけると嬉しいですが……」
他人の家なのに図々しいかななんて思いつつ聞いてみると、女性はお待ちくださいね?と、出ていった。
それにしてもミゲル様のお屋敷なのか……調度品や壁紙等は華美でも質素でもなく程好い華やかさで、あの無骨そうなミゲル様からは想像できないもの。
「でも、よく考えたら騎士団長様なんだよなぁ……偉い人なんだ……」
それなのに前線で戦っちゃうけど……。
そう言えばあの魔獣が出た場所は大丈夫だったのだろうか。
俺は早々に意識を失ったから、どうなったかを知らない。
まだまだやらなければならないことが山のようにあったのに。
やはり前世の力ほどは魔力が使えないのだと痛感した。
あのくらいならば、以前は魔道具に頼らずとも1人でどうにでもなったはずなのだ。
それに、情報さえあれば魔獣と激突する前に防護壁を展開させることもできたし、それができれば怪我人が少なくて済んだはず。
今回の遠征の死者はいかほどか……
「ミゲル様に聞かなくちゃ……それにしても……」
聖女は何をやっているのだろうか。
そう言えば……俺が神殿に居たときに1度も魔獣討伐の情報が入ってこなかったのは……どうして……
その事に気付き、俺はまさかと、顔面蒼白になった。
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