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19話

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「なぁ、サハル……最近夜に出ていくのは騎士団長様の部屋に行っているんだって?」
同室の1人が聞いてきた。
「あぁ、うん……ちょっとね」
あれから、時折騎士見習い君が呼びに来たりして、俺は深夜にミゲル様のところへ訪問することが増えた。
「へぇ、そうなんだ?」
少し含みのある言い方に、俺は首を傾げた。
「なんだよ……」
「団長様のって、良いか?」
「何が」
「ナニが、だよ」
はっきりとは言わないが、その言葉の濁し方にピンときて、俺は笑みを浮かべた。
「俺、行ってるのは身体のほぐしをしに行ってるんだよ。
団長様、以前疲れていらっしゃったときに少し肩や腰を揉ませて貰ったらその施術が気に入ってくださってさ?それからどうしても辛くなると呼ばれるんだよ」
俺とミゲル様が秘密の仲じゃないのかなんて勘ぐっているのだろう。
確かに、騎士団や神殿などは異性との交流が極端に少ないため、同性での恋人を作り互いに慰めあうこともある。
現に俺も神殿で誘われたこともある。相手は俺を男と知らない聖女だったのだけれど……
女性同士ならば、破瓜をしなければいいのだ。
まぁ、その申し出は丁重にお断りをしたが。
そもそも俺は破瓜するわけがない!
「えぇ!?じゃあ?」
「思ってるようなことは無いよ?」
残念だとばかりに肩を落とす青年に苦笑を向けた。
スキャンダルやゴシップは生活の上での甘露の蜜なのだ。
残念でした。
俺は心の中で舌を出して見せた。
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